2012年06月11日

野村の「野菜ホールディングス」他の株主提案はアメリカのルールでは出来ないらしい

野村ホールディングスの株主提案はかなりふざけている内容で、ネット界隈では大変盛り上がりました。
あまり大手メディアでは目にしなかったこの話題ですが、2012年6月10日付の日経ヴェリタスの記事「株主提案は節度をわきまえて」で取り上げられています。本記事では、「株主提案も使い方を誤ると、株主の権利を制限する新たな糸口になりかねない」と論評されています。このような提案が増えると「米国並みの厳しい規制を求める声も出てきそう」であるとして、規制により「建設的な提案がしにくくなれば、株主にとって不利益」だとして警鐘を鳴らしています。

アメリカでは日本よりも株主提案を行うのが厳しいようです。
日本では、株主提案は基準日(期末の総会時点での株主の確定日)に議決権株式の1%以上または300単位株以上を6か月間継続保有が要件です。米国では、議決権比率の1%以上または時価2000ドル相当以上の株式を1年間継続保有しかつ総会当日まで継続保有だそうで、保有要件が厳しい。議案数も日本では無制限だが、米国では1人1議案まで。
また、総会当日には日本では本人の出席義務がありませんが、米国では本人か代理人が必ず出席し、違反した場合、その後2年間は当該株主の提案を委任状説明書に記載しないでいいとのことです。
野村の提案は誰だという興味もわくところで、残念ながら出席義務はないとのことですが、当該株主はご出席はされるのでしょうか。




日本では、「法令や定款に違反する議案、虚偽やもっぱら人の名誉を侵害し、侮辱する目的の提案」は排除できるようですが、「株主総会に付議するための要件を満たした」という18議案にも常識からしたら外して良さそうなものもあるような気はしますが・・

また、米国では、違法性要件をクリアしても、会社が証券取引委員会(SEC)に合理的な説明をして承認を得れば、(日本の招集通知に当たる)委任状説明書に株主提案を記載しなくて良いとのこと。このルールは手続きが面倒そうではありますが、合理的ではありますね。


【本ブログでの関連記事】
2012/6/5  2012年6月総会で株主提案権を行使された主な会社
http://money-learn.seesaa.net/article/273639426.html
社名を「野菜ホールディングス」に変更するとか、
(第3号)略称は「YHD」と表記し、「ワイエイチデイ」と呼称する。営業マンは初対面の人に自己紹介をする際に必ず「野菜、ヘルシー、ダイエツトと覚えてください」と前置きすることとし、その旨を定款に定める
(第12号)オフィス内の便器はすべて和式とし、足腰を鍛練し、株価四桁を目指して日々ふんばる旨定款に明記する
など・・・
(野村ホールディングスの平成24年3月期の招集通知)
http://www.nomuraholdings.com/jp/investor/shm/2012/data/report108.pdf
招集通知の英訳↓もまた「よく訳した」と好評ですw
http://www.nomuraholdings.com/investor/shm/2012/data/report108.pdf

(追記と関連リンク)
「野菜ホールディングス」は議案としては提出されなかったのですが。
(参考)
・ビジネス法務の部屋 「野菜ホールディングス」への商号変更議案はなぜ上程されないのか?
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2012/06/post-90e2.html

株主提案と委任状勧誘
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2012年06月09日

相続で遺産が少ない場合でも親族での争いは起こる

1400兆円の日本の個人金融資産は高齢者が保有しており、今後、相続によって次世代へ移っていくことにより日本のマクロでは大きな金額が動いていくことになります。
受け継ぐ方も長寿化・高齢化に伴い高齢化していくと思われますので、さらにまた二次相続・三次相続で遺産の分け方も問題になってきます。
後に残された親族が揉めないよう、遺産の分割方法の検討、国の課税強化もありますから相続税も含めた対策を事前にしっかりと考えていくことが必要です。

2012年6月6日付の日経新聞では、遺言がなかったために係争になった事案を紹介し、「全員遺言時代」として遺言の作成を進める記事が掲載されています。

遺産分割事件と遺産の内訳のデータでは、家裁で調停などが成立した遺産分割事件の件数は2010年には8000件程度であり、2000年代を通じて増加傾向のようです。これは、裁判まで行った件数ですので、水面下で争いや揉め事になっているケースは、かなり多いのではないかと思われます。
遺産争いと言うと「お金持ちの問題でしょ」と思いがちですが、うち74%は5000万円以下の遺産の分け方で揉めているようです。また、分けられない資産の自宅不動産の評価などが揉めやすく、過半は不動産を含むケースということです。

増加傾向にある遺産分割事件と遺産の内訳.jpg
(増加傾向にある遺産分割事件と遺産の内訳 日経新聞2012/6/6)

全体の数で言えば5000万円以下の遺産を残す人数が圧倒的に多いからだということかもしれませんが、マイホームがある一般家庭であれば、十分に相続争いになる可能性はあるということです。
せっかくの親族間で、お互い感情的に嫌悪感が残るのは避けたいものですが、法定相続によりもらえる額は法律で決まっていますから、親の口頭の意向にどのような事情があれ、遺産をもらう方も特に生活が大変だったりすると「もらえるものはもらいたいと思う」という場合もありそうです。

日経記事では、遺言を残しておくことが大切と指摘されています。
事前に協議したり家族間で納得がいくなら自作でも良いのでしょうし、裁判でも耐えられるようにするには公正証書にする必要があります。各親族の事情で最適なものを選ぶことになります。
日経記事では、遺言の方法で3つ紹介されています。書きやすい順から挙げると、エンディングノート、自筆証書、公正証書遺言です。
1.エンディングノート
自分で市販のノートに記入。人生の最終章を迎えるにあたりご自身の思いやご希望をご家族などに確実に伝えるためのノートとして販売されています。
ただ、法的には、「通常は遺言としては認められない」ということです。裁判で争いになった場合にはこの通りにならないということで、相続人で不満のある人がいると、裁判沙汰の可能性がありそうです。

2.自筆証書遺言
市販の遺言書キットを使用。自分で遺言の要件を満たすように作成したもので、証人もいない。全文自筆で、作成日・署名・押印が必要。形式に不備があったり内容が曖昧だとやはり問題が起こる可能性があります。

3.公正証書遺言
公証役場で立会人のもと作成するもの。費用も数万円掛かりますが、公証人が手続をするので法的には遺言の効力に問題が起こる可能性は低い。

経済産業省の調査(2012年)では、70歳以上でいずれ作成するつもりなのは41%で、実際に遺言書を作成しているのは4%しかいないようです。

経済産業省でも取り組みが行われていますので、また下記も読んでみようと思います。
安心と信頼のある「ライフエンディング・ステージ」の創出に向けて
http://www.meti.go.jp/press/2011/08/20110810002/20110810002.html

[本ブログでの関連記事]
・2012/6/5 (本の紹介)モメない相続 長谷川裕雅/著
http://money-learn.seesaa.net/article/273484677.html

(参考記事)
2012/6/6 日経 「全員遺言時代 間近に 財産少なくても「争族」の恐れ 年代問わず準備を」
http://www.nikkei.com/article/DGKDZO42233460V00C12A6PPF000/


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ラベル:遺産争い 遺言
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