2011年03月29日

東京電力株(9501)についての現状下の検討まとめ(UP-date) 2011/3/29

前回記事アップ時(2011/3/17)から多くの状況変化がありましたので、その後の情報収集したものをアップデートします。
前期記事:http://money-learn.seesaa.net/article/191158505.html

((東京電力株式(9501)についての個人的な雑感))
(注)本記事はブログ運営者のただの趣味及び自分の考えの整理としてまとめたものであり、個人的には、第三者に東京電力の株の売買をすることは全くお勧めするものではありません。
(注)雑感コメントの当たり外れに拘りはなく、示すべき結論はありません。状況が刻一刻と動いており、本記事アップ後、私の個人的雑感は180度変更するかもしれません。

・東京電力株は3/18〜3/29までで、高値1,175円(3/23)、安値566円(3/29)と乱高下が続いている。2011/3/29は5千万株以上の売り注文を残してストップ安となった。国有化懸念報道や、周辺の土壌からプルトニウムが検出、被害の拡大が警戒され、売りの理由と報じられている。
・東京電力株の年初から2011/3/11までの1日の平均値幅は22円、変動率は前日終値との比較で1.06%だったが、震災後、1日の値幅38円〜500円、変動率4%〜25%となっている。
・災害に伴う業績変動要因として、原発事故関連損失(事故処理コスト、福島原発の減損損失や資産除去債務の計上額見直し額、賠償額等)、供給力減に伴う売上減少が不明、火力燃料への移管によるコスト増、信用リスクの悪化による金利コスト増加が指摘されているが、不確定な要素が多く、フェアバリューは算定不能である。時間の経過とともに影響見込額は報じられるようになってきている(下記の記事サマリー等を参照)。思惑や不安心理を反映した投機的な変動は当面続くものと思われる。機関投資家は不透明な要因が多すぎる現状下では買う説明がつかないため買えないと思われ買い手不在の中で短期的にはどこまで下落するか分からない。その後は圧倒的に買いが不足している下げと捉えられ「売られすぎ」との見方も出来なくはないのではとも考えられる。とはいえ、足元は、原発の事故処理の進展に懸かっている。ボラティリティの高さゆえに、「売られすぎ」だから、いきすぎればリバウンドするかもしれないという感覚以外に、アップサイドの要因も見当たらない。
・地域住民の全てに関わる電力というライフラインの提供主体であり、事業体として東京電力がなくなることはないものと考えられる。
・単純に経済的な観点だけで考えると、地域独占事業であるため、電力料金の需要サイドへの価格転嫁により、事業の継続はされ得るものとも思われる。
・国有化するかどうかの議論は、補償を最終的に国が負担するのか東京電力が負担するのかという議論とも言えるが、単純に経済的な観点だけからすると、税金により国が負担するのか、電力料金の割増により電力需要者が負担するのかという問題に過ぎないのではないかとも考えられる。
・2011年3月期決算(第4四半期)において2010年12月末日現在の純資産2兆9821億円を超える3兆円以上の損失が計上され債務超過に陥ると国有化懸念が現実となる可能性がかなり高まる。
・国有化懸念は、世論の動きと政治的な問題もあり、どう進展するか読めない。
・仮に、一時的な国有化として国の資本が入っても、直ちに東京電力が倒産することは考えずらく、倒産処理後国有化よりは、優先株での出資になる可能性もあるだろうから、現在の普通株が紙くずにはならないのではないかとも考えられる。優先株での出資の場合、国が東京電力を支えるという意志が信用補完となり、希薄化の程度、買戻し価格やその他の条件にもよるが、普通株の保有株主にとって悪い話だけとも言えない。2011年3月中の2兆円の融資も報道されており、直ちに東京電力が資金に窮して国有化が実行されることは考えずらい。
・従って、超長期で見れば、ゴールドマン・サックスのアナリストによると向こう5年は配当ない見込みが報道されているが、東京電力が現在の普通株の発行体として存続を前提に、保有し続ければ、将来的に良い配当利回りを生む可能性はある。
・そうであっても取得すべきタイミングは神のみぞ知るである。最終的にはどう転ぶか不確定要素があるため、結局ギャンブル的要素を多様に含む。

参照URLまとめは下記の通り
・原子力損害賠償法について
・国有化懸念について
・注目記事

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ラベル:東京電力 国有化
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2011年03月17日

東京電力株(9501)についての現状下の検討まとめ 2011/3/17

東京電力株が非常に興味深い局面となっています。
私自身もまだ状況把握について未消化であり、かつ、まとまった情報になっていませんが、現状認識のシェアのためアップ致します。

東京電力(9501)についての検討まとめ(*個人的見解を含み、まだ消化し切れておりません)
・地震後に初めて寄り付いた2011/3/17は安値715円、高値860円で変動幅は145円、始値を基準とした変動率は19.6%である。出来高は181,489,400株、発行済株式数1,607,017,531株であり、出来高の発行済株式数に対する比率は11%)
・2010年12月末の純資産は2兆9821億円で、一株当たり純資産は1,833.16円。2010年3月末の福島原発を含む発電所数3か所(福島第一、福島第二、柏崎刈羽)の固定資産の簿価は6,709億円。
・2010年秋に公募増資により4,468億円を調達しており、2010年12月末の現金及び現金同等物残高は4,320億円ある。ただし、有利子負債は7兆4711億円ある。
・電力供給地域へのほぼ完全独占の事業であり、生活に必要不可欠である。今般の停電等の影響により、いかに必要不可欠であるかが逆に実感される。
・極めて公益性が高く、事業体が存在しなくなる可能性はないが、万が一の場合にはJALのように倒産後に国有化される可能性が絶対にないとは言えない。
・供給地域へのライフラインとして極めて公益性が高く、かつ、競合もなく、他社の参入は事実上不可能であり、現実的な値段の上下では需要の変動は大きく変化しないとも考えられる。中長期的には価格転嫁により存続がされると考えられる。政治的な意図により現時点で想定せざる事態が起こる可能性はある。中長期的には画期的な発電手段の発明により、電力の伝送機能以外に競合が現れる可能性は完全には否定できない。
・現状の不透明な要因
 ・福島原発の行方が極めて不透明であり、また、余震も続いており、どのような事態が起きるか想定できず、進展を見守るしかない。
 ・福島原発に変わる電力供給手段への投資規模、福島原発が廃炉になった場合の処理コスト、今般の事故の対応費用及び近隣地域や住民への保障費用の発生等の定量的な規模が想定できない。例えば、平成23年3月期年度決算への影響としては原発の固定資産の減損損失の発生、資産除去債務の計上額の修正、災害損失関連の引当金等が考えられる。
 ・東京電力へのネガティブキャンペーンが行われ、想定されない方向へ向かう可能性が完全には否定できない。
・保守的に考えるならば、2011年3月期の配当は期待しない方がよさそうである。
・現状の不透明な要因は、今から年度決算短信発表及び来期計画等の発表までの間にかけて、徐々に株価に織り込まれていくとみられ、それまでの間、高いボラティリティが継続するものと思われる。

東京電力関連リンク:
東京電力IRページ
http://www.tepco.co.jp/ir/index-j.html
プレスリリース 2011年
http://www.tepco.co.jp/cc/press/index-j.html
東京電力グループ 中長期成長宣言 2020ビジョン(平成22年9月)
http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/company/philosophy/vision2020/index-j.html
平成23年第3四半期の四半期報告書
http://www.tepco.co.jp/ir/tool/yuho/pdf/2010_3-j.pdf
平成23年第3四半期の決算短信
http://www.tepco.co.jp/ir/tool/kessan/pdf/1103q3tanshin-j.pdf
2011年3月期第3四半期決算補足資料(アナリスト向け説明会資料)
http://www.tepco.co.jp/ir/tool/setumei/pdf/110131setsu-j.pdf
平成22年3月期 有価証券報告書
http://www.tepco.co.jp/ir/tool/yuho/pdf/201006-j.pdf

トップページ > 原子力
http://www.tepco.co.jp/nu/index-j.html

3/11終値
2,121円

3/14終値 *ストップ安値付かず
1,621円(比例配分 1,775,800株)

3/15終値 *ストップ安値付かず
1,221円(比例配分 2,125,400株)

3/16終値 *ストップ安値付かず
921円(比例配分 6,251,000株)
(Bloomberg)終値ベースでの1000円割れは、1983年9月19日以来、約27年半ぶり。時価総額は14日から3日間の急落で1兆9284億円が吹き飛び、1兆4800億円になった。

3/17 *売買成立
終値 798円(変動幅は145円、始値を基準とした変動率は19.6%)
高値 860円
安値 715円
始値 741円

・午前9時58分に前日日20%安の741円で4営業日ぶり完全合致で寄り付き
・売買成立後、午前中は、株価はいったん715円まで下げ、その後791円まで上昇するなど乱高下
・午前中出来高 97,887,900 株 *平成23年に入っての出来高は概ね3百万株〜6百万株程度の日が多い
・午後も乱高下は継続、終値は798円、終値での時価総額は1兆2823億円。純資産は2兆9821億円。
・一日出来高 181,489,400 株(発行済株式数 1,607,017,531株 出来高の発行済株式数に対する比率は11%)

平成22年12月末
総資産 2,982,150百万円
純資産 13,795,134百万円
一株当たり純資産 1,833.16円
発行済み株式数 1,607,018千株
*平成22年10月に公募増資 254,150千株増加(現発行済株式数に対する割合15.8%)
*2011/3期の株式の発行による収入は446,893百万円
現金及び現金同等物(キャッシュ)期末残高 432,082百万円
従業員数 53,036人

(百万円)
   H22/12末   H22/3末
流動資産        1,381,594   982,586
 現金及び預金      366,494   180,183
固定資産        12,413,540 12,221,400
 うち電気事業固定資産 7,781,698  7,814,291
  うち原子力発電設備  852,449   667,866

流動負債 2,079,673 1,913,019
固定負債 8,724,727 8,769,385
*資産除去債務 772,165 -

有利子負債
固定負債-社債 4,504,633 4,739,625
固定負債-長期借入金 1,566,677 1,614,384
流動負債-1年以内に期限到来の固定負債 1,015,158 747,606
流動負債-短期借入金 384,645 363,643
合計 7,471,113 7,465,258

純資産 2,982,150 2,516,478

(百万円)
平成22年4月-12月
売上     3,959,930
経常利益    278,640
純利益     139,896
1株当たり純利益   97.82

平成22年3月期の有価証券報告書より:
原子力発電設備
提出会社の設備概況
平成22年3月31日現在
区分
原子力発電設備 発電所数 3か所
最大出力 17,308,000kW
設備概要
簿価(百万円)
土地 22,884「土地」の面積は9,740千u)
建物 61,193
機械装置その他 586,866
計  670,944
従業員数 3,225人

原子力発電設備
平成22年3月31日現在
発電所名 所在地        出力(kW) 土地面積(千u)
福島第一 福島県双葉郡大熊町 4,696,000   3,944
福島第二 福島県双葉郡楢葉町 4,400,000    1,575
柏崎刈羽 新潟県柏崎市     8,212,000   4,231

平成22年度第3四半期 四半期報告書より
平成22年4月〜12月
発受電電力量  20,997百万kWh
全電力合計   75,278百万kWh
原発の発電量割合  27.9%

関連ニュースへのリンク及び記事サマリー等へ続きます。

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ラベル:東京電力
posted by ASK at 23:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 金融・資本市場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする