2012年08月17日

世界の各国指数のPERの指標はどこで見るか

ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」さんのエントリー「【特別寄稿】 世界でいちばん割安なのはどの国?世界各国のバリュエーション表(2012年7月版)」で「世界各国のバリュエーション表(2012年7月版)」が出ています。これは参考になります。

株価は需給や期待等の様々な要因を織り交ぜながら上がり下がりし、時には上にも下にもオーバーシュートしますが、適正水準のレンジ(ファンダメンタル価値)から長期的に乖離し続けるものではないと信じるとすれば、タイミングを見ることは非常に重要です。
タイミング良く割安な時に多く投資をして、割高になったら売却しつつポジションを調整するというのが理想ですが、実際に「タイミングを当てる」ことは困難で、どのタイミングが適切だったのかというのは後解釈でしか分かりません。
個人投資家のレベルでは、大きく外さないように心掛けることが大事なのかと私は思っています。

特に各国の市場の代表値であるインデックス(指数)が割高か割安かという判断はなかなか難しいものがありますが、大きく外さないための参考材料の1つが市場平均のPERやPBRだと思います。市場平均のPER・PBRは月1回くらいチェックしたい指標だと思っていましたが、なかなかチェック出来ずにいました。
世界各国のバリュエーション表」は、各国のPER、PBR、ROE、実効為替レート、長期金利、配当利回りetcといったデータが載っています。「タカちゃん」さんから提供されているとのことですが、個人でこのようなものを作成し、シェアされることは素晴らしいですね。

PER、PBRはmyINDEXからデータを取得しているようです。
myINDEX: http://myindex.jp/global_per.php

キャピタル・パートナーズ証券のサイトには、各国指数の予想PERがデイリーで公表されています。
投資情報という項目の「世界の株価指数」でPDFにリンクが繋がります。
キャピタル・パートナーズ証券: http://www.capital.co.jp/

また、定点のPERよりも過去からのPER水準のトレンドが見たいところですが、Ginkou.Infoというサイトで図表が示されています。データはキャピタル・パートナーズ証券のサイトから引用とのことですが、キャピタル・パートナーズ証券のサイトでデイリー以外のデータがどこにあるかは確認出来ませんでした。
Ginkou.Info: http://www.ginkou.info/modules/per/

このような長期投資向けのデータ提供に本気で力を入れてくれる金融機関も多くないように見受けられますが、長期的な観点から参考になるデータ提供がされていくことに期待したいところであります。

PERがどの水準が適正なのかは測定が難しいのですが、簡単な考え方イメージとして、山崎元さんの「ホンネの投資教室」での解説では、株式の期待リターン=益利回り(PERの逆数)+利益成長率とされています。益利回りはPERの逆数で、PER20倍なら1÷20=5%といった感じです。
山崎元さん「ホンネの投資教室」第五十三回 株価の適正水準に関する雑考:
http://plaza.rakuten.co.jp/isyamazaki/diary/200704200000/

投資家の期待リターンや利益成長率のマーケットコンセンサスがあれば良いのですが、私の知るところではないので、自分なりの割高、割安といった目安を持ちつつ、定期的にチェックしていきたいところです。
PERは簡便ではあるが異常値等も出やすくあくまで1つの参考材料ですし、全体平均と離れているから売りや買いという判断をしてしまうと間違えることもあるので注意が必要です。例えば、日本市場は2000年代半ば位までPERが米国等と比較して常に高かったが現在は米国等と同水準になっている、ロシアはほぼ1桁のPERで一貫しているといったそれぞれ各市場の特徴も合わせて押さえつつ、個々に今のPERになっている要因は何故かを考えながらタイミングを大きく外さないように捉えていくことも重要です。


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2012年08月14日

債券、株と一体課税の方向(日経より) 10%の軽減税率は終了か!?

2012年8月14日付の日経新聞朝刊一面で「債券、株と一体課税 配当・利子・譲渡損益を合算」と報じられています。
・電子版へのリンクはこちら。(有料会員限定記事になっています)
・マネーのネタ帳「債券、株と一体課税に 配当・利子・譲渡損益を合算(日経より)」
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/08/blog-post_976.html

本記事では、「財務省と金融庁は個人の金融所得課税で、債券の譲渡損益を損益通算の対象に加える方針」を伝えています。時期は2015年1月よりとされています。
現在、株式のキャピタルゲイン課税や投資信託の分配金の源泉徴収は10%の軽減税率が適用されていますが、2013年12月末で終了しようとしています。2014年1月からは20%(所得税15%・住民税5%)が予定されています。
これについて、軽減税率の延長が証券関係者や個人投資家からは望まれています。しかし、「財務省は債券売却に伴う損失を損益通算できるようにする前提として、株式や株式投信の税率を14年1月から20%に戻す考え」とも報じられています。

ネット証券4社(SBI証券、カブドットコム証券、マネックス証券、楽天証券)が2013年末で証券税制優遇が終了することに伴い、延長を求める署名活動を2012年6月27日(水)〜7月27日(金)に行いました。703,346名もの署名が集まったとリリースされています。

プレスリリース(平成24年8月3日)
インターネット証券4社共同実施「証券税制の10%軽減税率延長を求めるオンライン署名」の結果について〜総数70万名の方々からご賛同いただきました〜
https://www.sbisec.co.jp/ETGate/WPLETmgR001Control?OutSide=on&getFlg=on&burl=search_home&cat1=home&cat2=corporate&dir=corporate&file=irpress/prestory120803.html

残念ですが、記事のタイミングや日経1面という扱いの大きさから察するに、軽減税率の延長を認めまいとする財務省や金融庁による牽制の意図がありそうです。




現行の個人の課税関係では、公社債、公社債投資信託の売却益は原則非課税とされ、売却損はなかったもの(益が出ても課税されないが、損があってもどこかの所得から差し引けない)として取り扱われています。なお、利付債の償還差益は雑所得として総合課税、割引債の償還差益は原則として購入時に所得税18%が課税、公社債の利子については20%の源泉分離課税となっています。ややこしいですよね。
証券税制はかなりややこしくなっており、もっと税制をシンプルに分かりやすくというのと、特定口座の幅を広げて、可能な限り全てを完結するか確定申告に必要な金額を簡単に集計出来るような仕組みの導入や、債券と株式との損益通算というだけでなく、もっと抜本的な制度改革をして頂きたいところであります。

例えば、海外ETFはマネックス証券が特定口座対応を表明しているものの、現状ではどの証券会社でも一般口座対応となっています(軽減税率の適用もありませんので現行で20%課税)。税制の問題とはちょっと違いますが、手続の煩雑さは、海外ETFの普及を阻害する大きな要因の1つではないかと思います。海外商品を国内と同等に扱えば、海外商品の購入が進み、円高対策になるという大義もたちます。
他にも、株式等とオプションや先物との損益通算も出来ません。外貨建て資産を購入したがFXを使って為替ヘッジをした、日本株式を保有していて動向が不安なので日経平均先物でヘッジしたりプットオプションで損失を限定したとしても、税金が合算出来ないので、利益が出た方に課税がされてヘッジが十分に行えない、という不便さがあります。

記事では、「軽減税率を廃止すれば、個人の株式投資への意欲は一段と冷え込む恐れがある。年末の税制改正の論議は軽減税率の廃止を巡り、難航する可能性も残っている」とされていますので、かすかな期待に望みを繋ぎたいところです。

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・Twitterにて主に自分の関心事の経済系のニュースやネタをクリップしたり雑感をツイートしています。
http://twitter.com/#!/ASKLearn

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