2015年11月04日

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2015」に投票しました!

Fund of the Year 2015に投票しました。
・「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2015」の公式ページ
151103 投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2015.png

Fund of the Year は、ブロガーのrennyさんイーノ・ジュンイチさんm@さんまっき〜さん、そして、竹川美奈子さん(金融ジャーナリスト)、島田知保さん(イボットソン)、えんどうやすゆきさんによって企画されています。

Fund of the Yearは。証券会社(投信販売会社)の宣伝やうたい文句にまどわされず、自分たちにとって本当によいと思える投資信託を投信ブロガーたちが投票で選び、それを広めることで「自分たちの手でよりよい投資環境を作っていこう!」というイベントです。
投票資格は「投信ブロガー」であることで、投信ブロガーか否かの判断は運営委員会が行います。
自分の票が有効になったのかどうかはよく分かりませんw。なりすましのために投票を宣言したブログ投稿日を入れるなど、厳重な集計体制がとられています。
投票者一人について5ポイントを持ち点とし、この5ポイントを1つから5つまでの投資信託に振り分けて投票する仕組みです。
結果の発表は2016年1月15日、日比谷コンベンションホールで行われます。

私は、2012年、2013年と投票しましたが、2014年は投票していません。忙しかったからというのが最大の理由です。
2014年度の結果はこちら↓
・2015/1/11 個人投資家が買いたい投信と金融機関が売りたい投信は全然違う 〜投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2014より〜

近年、じわじわではありますが、資産形成世代での積立投資が少しずつ普及してきており、低コストのインデックス商品が日本でも充実してきました。

2015年のインデックス商品のビッグニュースは下記2つでしょう。
特に、楽天証券と三井住友アセットマネジメントが、確定拠出年金(DC)用にのみ取り扱っていた低コストインデックス商品を楽天証券が通常の投資信託で取り扱うようにする、というニュースです。信託報酬が0.2%とかの商品投入なので、ほぼ限界の領域に近づいてきたと思われます。他の運用会社がどう追随してくるか見ものです。
恐らく、2015年度はこのニュースに関する新商品に投信ブロガーたちの投票が一定割合で流れると予想されます。ただ、4本同時とかで、商品が分散されるため、結果にどう反映されるかは未知数です。
Fund of the Yearと合わせて、インデックス投資家の選ぶ2015年度のビッグニューストップ10とかもあったら面白いかも・・

○ブラックロック(2015/9/29)ETF のトップ・ブランド「i シェアーズR」が国内初の最小分散 ETF など日本株を投資対象とする ETF4 銘柄を東証に同時上場予定
http://www.blackrock.com/jp/literature/press-release/blkj-20150901-press-release-jp-ja.pdf
(追加されるETF4 銘柄)
銘柄コード 銘柄名 対象指数 信託報酬(税抜)
1475 i シェアーズ TOPIX ETF 東証株価指数(TOPIX) 0.06%
1476 i シェアーズ J リート ETF 東証 REIT 指数 0.16%
1477 i シェアーズ MSCI 日本株最小分散 ETF MSCI 日本株最小分散インデックス 0.19%
1478 i シェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF MSCI ジャパン高配当利回りインデックス 0.19%

○楽天証券・三井住友アセットマネジメント(2015/9/14)楽天証券で最も低コストのファンドが登場!低信託報酬のDCファンドを一般向けに販売開始
プレスリリース https://www.rakuten-sec.co.jp/web/company/newsrelease/pdf/press20150914.pdf
楽天証券での解説ページ https://www.rakuten-sec.co.jp/web/info/info20150911-02.html
(新規取り扱い商品)
・三井住友・日本債券インデックスファンド:NOMURA-BPI(総合)連動
 信託報酬 年率0.1728%(税抜き0.16%)
 信託財産留保額 なし
・三井住友・DC外国債券インデックスファンド:シティ世界国債インデックス(除く日本、円ベース)連動
 信託報酬 年率0.2268%(税抜き0.21%)
 信託財産留保額 0.2%(購入時0.1%、解約時0.1%)
・三井住友・DC全海外株式インデックスファンド:MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本、円ベース)連動
 信託報酬 年率0.27%(税抜き0.25%)
 信託財産留保額 なし
・三井住友・DC新興国株式インデックスファンド:MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、円ベース)連動
 信託報酬 年率0.6048%(税抜き0.56%)
 信託財産留保額 なし

私の個人的な2015年ホットニュースは、今まで恐らくどこにも開示がなかったと思われる、ネット証券での海外ETFの残高ランキングが日経新聞の記事で明らかになったことです。ここにちなんで、VTに投票したいところですが、自分は持っていないのでやめておきます(笑)。
(参考)2015/8/8 海外ETFのネット証券大手3社の残高ランキング ダントツ1位はVTで残高299億円、上位20本の合計残高は1178億円

前置きが長くなりましたが、2015年度の私の投票です。
実は個人的には現在ホールド中で「運用会社グッジョブ!」と5票を入れたい某ETFが1つあるのですが、一部のマニア向けで、まあ他に誰も投票しないだろうし、やめようと思いました。
低コストインデックス商品発売ウェーイや、VT(バンガード・トータル・ワールド・ストック)などは、私じゃなくても他の皆さまが投票されると思いますので、これもやめようと思いました。
また、インデックス商品での長期運用は、ポートフォリオをどう組み合わせるかが重要であって、個別の商品で低価格化が進むことは個人投資家にとっては良い話ですが、特定の商品を選ぶのは本質的でもないので、やめようと思いました(ポートフォリオ的に5票を按分するのはありかもしれませんが)。

というわけで、今回は、いろいろあるにせよ、既存の金融機関の販売姿勢と比べるとはるかに顧客志向で日本国民の資産形成に貢献しようという志をもって日々精進しておられる独立系投信にしようと思いました。顧客志向ある挑戦者を投票で少しでも引き上げよう、という趣旨です。

とはいえ、ビジョンに共感したからとか、そういうカッコ悪い理由で投票もしたくないので、モーニングスターのサイトで確認できる、過去5年のトータルリターン及びシャープレシオ、最低条件として、長期実績(過去5年程度)がベンチマーク(インデックス)に負けていたら棄権にしよう、という判断軸で判定しました。
Fund of the Yearは、過去の傾向を見るとインデックス商品に偏るので、少しでも独立系投信の引き上げに貢献すべく集中投票にするという方針です。
さわかみファンド、ひふみ投信(+ひふみプラス)(レオス・キャピタルワークス)、コモンズ30ファンド、ザ・2020ビジョン(コモンズ投信)、結い2101(かまくら投信)、みのりの投信を対象にしました。セゾン投信はバランスファンドなので他が日本株アクティブ運用の中でパフォーマンス比較ができないので今回は除外しました。
ブログ執筆時の2015年11月3日時点の情報で判断しています。

このような厳正な審査の結果、「ひふみ投信」に5票としました。
151103 ひふみ投信パフォーマンス(201509現在).png

トータルリターンは過去5年年率22.59%(カテゴリー比+1.64%)、過去3年年率31.73%(カテゴリー比-1.70%)、過去1年年率16.54%(カテゴリー比+9.39%)で、過去5年でのカテゴリ順位は上位42%で平均よりちょい上といったところ、過去1年は上位19%と奮闘しています。過去5年のシャープレシオ1.54。
トータルリターンは過去5年で「超すげー」というほどでもないですが、シャープレシオはカテゴリー順位上位10%(過去1年は上位19%)と、安定度が高く収益を上げているということになりますので、「優秀」であると言えます。勝負に行かれるより「下げない運用」の方が重要でしょう。過去3年の実績がベンチマーク比で負けてますが、過去1年は優秀ですしファンド・オブ・ザ・イヤーは2015年度の投票なので、うるさく言うのはやめておこうと思いました。
ひふみ投信の運用の詳細については運用報告書とか詳しくチェックしていないのであんまりよく知りませんが、シャープレシオが優秀なのは、藤野英人さんのFacebookの投稿を見ている限り、資金流入が増加基調なのとキャッシュを持っておいて下げたときに買いに行く運用をしているためっぽいです。詳しくは機会があれば取材したいですね。「ひふみプラス」(ひふみ投信と中身は同じだが、直販ではなく販売会社を通じて買える投信)は私も一応少し持ってるんですが、運用報告会とか行ってみたいですね。いつやってるのか知らないけど(笑)。

ザ・2020ビジョンは、運用実績が1年半ちょっとで、実績判定が難しく、過去1年のパフォーマンスはひふみ投信が上なので今回はひふみ投信の勝ちとしました。過去1年でどうとか言っても仕方ないですが、シャープレシオは過去1年0.38あまりよくないです(暴れすぎ?)。ひふみ投信は過去1年1.38です。糸島孝俊さんというファンドマネージャーが運用する投信ですが、どんな方か存じませんが伝聞情報では優秀なファンドマネージャーらしいので頑張っていただきたいところであります。ちなみに、私は雀の涙ほどの口数を買わせて頂いております。

みのりの投信も運用実績が1年半ちょっとで、実績判定が難しく、過去1年のパフォーマンスはトータルリターンでひふみ投信が上なので回はひふみ投信の勝ちとしました。ただ、シャープレシオは2.21でカテゴリー順位は1位です。シャープレシオが2を超えるとは超優秀と言えますが、ただ、キャッシュ割合が40%と、ちょっと運用が保守的すぎるという見方も出来ます。今後のトータルリターン向上に期待したいですね。そういえば、みのりの投信は独立系投信ではありますが、マーケティングは直販方針ではなく、ネット証券経由での資金獲得狙いですね。ですので、あまり活発に表にも出てこない印象があります。ちなみに、私は雀の涙ほどの口数を買わせて頂いております。

さわかみファンド、結い2101、コモンズ30は、カテゴリー比での運用実績マイナスなのと、明らかにパフォーマンス実績を見てもひふみ投信の勝ちと判定しました。(さわかみファンドは過去10年でかろうじてベンチマーク比プラスですが、過去5年以内が良くない)
なお、この3本は私は持っておりません。結い2101は以前に資料請求だけして力尽きて離脱しました。

というわけで、ひふみ投信さん、勝手におめでとうございます(^^)/
とは言え、実は私は、ひふみ投信はファンドサイズがひふみプラスと合わせて運用残高が800億円を超えるところまで来ているので、今後のパフォーマンスの再現を危惧しています。特に中小型株の運用に強いのがひふみ投信なので、ひふみ投信の売買が投資対象の企業の株への影響が大きくなったり、大型株での運用が増えていって運用スタイルが変わる可能性もある気がします。アクティブ運用はどんなプロに聞いても運用残高は小さいほど運用の自由度が高いのでパフォーマンスが出しやすく、だいたい日本株の中小型株の運用は200〜300億円程度までが望ましいいと言う中、私の不安を払拭する実績を将来において出していかれることを祈念しています。

なお、今回、日本株の過去5年の上位投信を見ていたら、私はふだんアクティブ投信をチェックしないので知らないものもありまして、けっこう面白そうなのもあるんだなと思いました。
モーニングスターで投資信託 >ファンドランキング >リターン >国内株式型 >5年間です。
なお、ひふみ投信はトップ20に入っておりません。
執筆時の過去5年リターン実績上位5本
1 DIAM 新興市場日本株ファンド(DIAM)過去5年年率36.91% 純資産40億円
2 SBI 中小型割安成長株F ジェイリバイブ 『愛称:jrevive』(SBIアセット) 過去5年年率33.78% 純資産93億円
3 証券ジャパン日本株オープン 『愛称:きらめき』(DIAM) 過去5年年率32.23% 純資産15億円
4 大和住銀 日本小型株ファンド(大和住銀) 過去5年年率30.12% 純資産82億円
5 日本新興株オープン(日興) 過去5年年率28.35% 純資産105億円

人知れず、100億程度未満の運用残高で高パフォーマンスな投信というのは、実在するようです。もちろん、事前にどう見つけ出すか、あるいは、実績が良かったが再現性がいかがか、という問題はあります。過去のパフォーマンスが良くてまだ残高が大きくないから買えば良いっていうものでもありません。
SBI 中小型割安成長株ファンド「Jrevive(ジェイリバイブ)」という投信には興味を引きました。エンジェルジャパン・アセットマネジメントという会社の代表取締役・宇佐美博高氏が助言しSBIアセットマネジメントが運用しているので、実質的なファンドマネージャーは宇佐美博高氏という方のようです。外資系運用会社出身です。中小型割安成長株が投資対象で、「財務健全性に優れ業績も安定しており、割安性・成長性の高い企業」をタイミングよく売買するようです。信託報酬は1.836%(税込)と低くはないですが、今のところパフォーマンスを出しているので構わないでしょう。チーム体制、代表の宇佐美博高氏のご経歴やビジョンの詳細、ポートフォリオの売買プロセス、リサーチ方法など、少しネットで調べたくらいでは分からないことがたくさんあり、運用パフォーマンスのの再現性はよく分かりませんでした。
アクティブ運用の5つのP(「フィロソフィー(Philosophy)=投資哲学」、「ピープル(People)=人材」、「プロセス(Process)=投資プロセス」、「ポートフォリオ(Portfolio)=ポートフォリオの構成」、「パフォーマンス(Performance)=運用効果」)と言いますが、もっと個人投資家への情報開示等が進んでいくと望ましいですね。

【関連記事】
2015/11/1 長期資産運用の手順と考え方:どのように自分のアセットアロケーションを決めていくか おすすめのアセットアロケーションを考えよう(シリーズ中間まとめ)
2015/9/27「日本の投資家の皆さまが成功する投資家になるためのバンガードの4つの基本原則」(byバンガード)はインデックス投資のためのエッセンスが詰まっている良コンテンツ(何よりも無料!)
2013/11/19 「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2013」に投票しました!
2012/11/30フロンティア市場へ投資する海外ETFが登場 投資妙味を考える
2012/11/19「投信ブロガーが選ぶ Fund of the Year 2012」に投票しました!






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2015年11月01日

長期資産運用の手順と考え方:どのように自分のアセットアロケーションを決めていくか おすすめのアセットアロケーションを考えよう(シリーズ中間まとめ)

本シリーズでは、長期的な資産運用を行っていくにあたって、個人投資家が自身のアセットアロケーション(どのような資産配分で資産運用していくかを決めること)を考えるにあたって、知っておくべき基本事項について解説をしてきました。今回は今までの中間まとめです。
ここで提供する知見は、長期的志向で合理的な考えのもとに、世界中の株式・債券・不動産(REIT)・通貨などへグローバル分散投資により資産運用を実践していくことを念頭に置いたものです。資産運用で予測する将来の平均利回りである「期待リターン」というのは、リターンはリスクを取った結果でしか得られないもので、事前に測定できないのであまり定量的な指針を示したくはないのを、これから資産運用を始める方にイメージになるようあえて示しますが、生活の中心は投資ではなく、他の趣味や仕事や家庭や人間関係など、大事なことに時間や労力を優先したいという方向け(本業が資産運用業ではない忙しいビジネスパーソンや資産運用経験の浅いリタイアしたシニア向け)に、資産運用に掛ける時間や労力を最小限にしながら、「長期的(10年以上のスパン)にリスクを取って5%プラスαくらいの利回りを目標にしましょう」または「リスクを抑えつつ、2〜3%くらいの利回りを狙っていきましょう」「リタイア後の安定運用をしましょう」という運用法です。
他人を出し抜き、毎年10%とか20%とかの利回りを、しかも安定的に得たいという人は、それを実現できるかどうかはともかく、投資対象の個別選定や投資タイミングの巧拙を磨いていくべきで、あまり参考にはならないかもしれません。
(参考)2015/7/11 インデックス商品(ETF及び投資信託)による長期志向でのグローバル分散投資のメリット・デメリット

下記@〜Dが、「お金」という観点からライフプランを考え、実行するための大まかなステップです。
@目標設定する(どういう人生にしたいか?ライフスタイルやキャリアプランをどうしたいか?)
A目標に合わせて、いつまでにいくら必要か?いくらの安定収入を目指すか?などを、リスクとリターンが見合っているかを踏まえて考える
Bどのような資産配分で運用していくかという方針を定める(アセットアロケーション)
C運用方法、銘柄選定や具体的な投資対象を定める
D実行とメンテナンス及び@〜Cのプラセスの適宜見直し

今回は、これらを踏まえて、実際に自分のアセットアロケーションを決めていく手順や考えるべきことについてまとめていきます。

○どのような投資期間で、どのくらいの利回り目標をもっていくべきかを考えることが1番重要
資産運用を始めるスタートとして、まずは、「目標設定」を定めることが重要です。

いつの時点までに、どのくらいの資産形成をし、どのようなライフスタイルを実現していきたいか?
あるいは、今ある資産を有効に運用していくことで、どれくらの安定収入を得ていきたいか?

資産運用について詳しくなると聞かれることで多い質問に、「何に投資すると儲かりますか?」「何か儲かる投資対象を教えて」というのがあります。このような質問に「これです!」と答えられる人は、神か詐欺師のどちらかです。現実には、ほとんどが詐欺師です。
投資というのは投資したお金を増やして儲けるために行うものです。損を望んで投資をする人は誰もいません。
多くの人は、必要なステップをすっ飛ばして、ステップCの「何に投資すると儲かるか」に意識が傾きます。これでは切った張ったのギャンブルになってしまいます。合理的かつクールに資産運用成果を出していくには、どの期間で何%の利回りを目指し、そのためにどのようなリスクを取っていくか、ということを考えるのが先決です。

「お金」を増やしたい動機は様々でしょう。
セミリタイアに到達したい。
今後の日本では年金や社会保障の公的制度の持続が困難なことが懸念されるので、自助努力で解決しておきたい。
趣味や娯楽に使えるお金に余裕を持たせたい。
何にせよ、お金で幸せや、良き友人や人間関係、幸せな家庭、心の豊かさなどは買えませんが、お金がより多くあった方が楽しく、便利で豊かな人生を過ごすことが出来ることと、人生の選択肢が広がることは間違いありません。仮に、一生働かなくても好きなように遊んで暮らせるお金があっても、今の仕事をずっと変わらず続けたいという人はどれだけいるでしょうか。自分自身に対して嘘偽りのない理由と目標を明確化しましょう。

○いつまでにいくら必要か?目指すべき利回りは?
長期資産運用は、文字通り、何十年という長いスパンで続けていくものです。そのためには、自分に対して動機をしっかり確認し、正しい知恵を身に付け、継続していくことが、良い結果に繋がります。
なぜ長期かというと、複利の力が働いてくるからです。また、短期的に確実な利回りの追及は難しいのですが、投資対象の経済的な成長に乗っていけば、短期的には変動があっても、長期的にはその成長に応じた投資成果が期待できます。
複利での投資元本増価の二次関数を見たことがある人は多いでしょうが、実際に1000万円を長期的に複利運用した場合の投資成果を見てみましょう。より高い利回りで、期間が長期になるほど、資金増加率が増えていくことが分かります。平均利回り5%で20年間運用できると2653万円(2.6倍)に、30年で4322万円(4.3倍)になります。
151101 1000万円の元本を複利運用したときの資産金額.png

積立投資の場合の利回りと元本増加率はどうでしょうか。仮に、毎月1万円を積み立てていくと、平均利回り5%で20年間運用できると投資元本累計240万円に対して411万円(1.71倍)に、30年で投資元本累計360万円に対して832万円(2.31倍)になります。
151101 積立投資で複利運用したときの元本増加率.png

複利での利回りと投資元本の増加率をイメージするには、72の法則も知っておくと便利です。
(参考)2010/12/30  72の法則 とは

また、長い期間で1%の差は結構あることが分かると思います。投資対象の金融商品に掛かるコスト(手数料)は利回りを下げる要因ですので、投資家にとってはとにかく下げることが重要です。

○目標利回りと資産配分(アセットアロケーション)の決定プロセスで考えること
将来の目標資産額と目標利回りが決まったら、どのようなアセットアロケーションとリスクを取ることにより実現可能か認識してみましょう。特に初心者の方に重要な点は、どの程度までのリスクを取ることは大丈夫か?ということです。

冒頭で申し上げた通り、グローバル分散投資で、労力を掛けずに無理なく実現可能だと推察される利回りは、まずは「平均年利回り5%(+α)」を目安にしてみましょう。
(5%以上は無理だというわけではありませんし、筆者ASKとしてはもう少しアグレッシブな目標にしたい気持ちはありますが、ここでは話がそれるので、おいおい論じていきたいと思います。)
資産運用にはリスクと不確実性が伴いますので、高い利回りを目指すほどより大きいリスクを取る必要があり、また、実現可能性も確実性が下がります。長期的にあまりに高い利回りを目指して絵に描いた餅に終わるよりも、まずは実現可能性がある程度高い水準から考えてみましょう。
投資対象の証券価格は日々変動し、平均利回りより大きい価格変動があります。
それぞれの投資対象(アセットクラス)のリスク・リターンの実績を確認しておきましょう。
2015/10/5 おすすめのアセットアロケーションを考えよう(1) アセットクラス別のリスク・リターンの計算と分析

ざっくりしたイメージとしては、目標利回り5%のリスク(変動率)は20%程度、目標利回り2〜3%のリスク(変動率)は10%程度だと思っておきましょう。リスク(変動率)は標準偏差という統計指標で、×2までは95%の範囲内で起こり得る変動率の水準なので、通常で起き得る変動率ということです。リスク(変動率)20%とすると、20%×2の40%の変動はあり得るので、1000万円を投資したら1年後という短期的な間には600万円になっている可能性は十分にある、ということです。それは怖いという人は、リスクのより小さい投資対象でのアセットアロケーションにしたり、投資余裕額をいきなりリスク資産への投資にするのではなく、キャッシュ(預金)を残しておいて、徐々にリスク資産に回していくなど、リスクを管理しながら進めていくことが大事です。
マーケットがどういう動きをしていくかを当て続けることはプロでも困難で、投資で確実なリターンはコントロールできませんが、リスクは一定の範囲でコントロール可能です。

分散投資は、なるべくリスク(変動率)を減らしながら、長期投資していくための必須手法です。初心者には難しいかもしれませんが、分散の意味や、相関という考えを知っておくことは自立した長期投資家になるための第一歩と言えます。
2015/10/10 おすすめのアセットアロケーションを考えよう(2) ポートフォリオのリスク分散効果ってなに?
2015/10/11 おすすめのアセットアロケーションを考えよう(3) アセットクラス間のリターンの相関係数

また、分散投資やリスク・リターンという概念だけを学んでも実務では通用しません。実際のマーケットではどうであったか、という検証ツールも試作してみました。下記で事例も付けていますので、ご参考にして頂けますと幸いです。
2015/10/18 自分のアセットアロケーションの損益ってどうなの?という検証ツール@(一括投資の場合) おすすめのアセットアロケーションを考えよう(4)
2015/10/24 自分のアセットアロケーションの損益ってどうなの?という検証ツールA(積立投資の場合) おすすめのアセットアロケーションを考えよう(5)

○実務上のいくつかのヒント
今ある資産運用可能なお金のうちキャッシュ(待機資金)とリスク資産(投資資金)の割合をどうしていくか、リスク資産のアセットアロケーションでどのような資産配分にしていこうか、というのは慎重に考えましょう。
住宅の頭金や車の購入、子供の学校の入学金など、大きな支出が予定されている場合、運悪くマーケットが下がっている時に損切りして換金しなくてはいけないようなことはないようにしましょう。
価格変動を許容範囲内に抑えるためには、ある程度のキャッシュ(待機資金)を残しておくことが望ましいですし、マーケットの下落時のバッファーになります。資産運用を始めたばかりで、自分の資産の価格変動に慣れてないうちは、少しの変動に一喜一憂しがちですので、少しずつリスク資産へ移行していくべきです。多くの投資家は、上げ相場で強気になり、下げ相場で弱気になりますが、勝つ投資家は逆です。
(参考)2015/9/5 MUMS藤戸氏の日経平均予測(マネーの羅針盤) 「下がった時に弱気になっていては株式投資は儲からない」
2015/8/25 日経平均下落や世界同時株安に長期投資家はどう対処すべきか

アセットアロケーションは、厳密に定めようとすると、訳が分からなくなったり、一生決まりません。ある程度ざっくり決めて、やりながらメンテナンスしていけばOKです。
投資対象の経済成長が信じられないものは、わざわざ投資対象にする必要はありません。
「これが良い!」と思う投資対象があっても、あまりに偏らせすぎると、その投資対象特有の思わぬリスクの顕在化により大きな損失を受ける可能性がありますので、特定資産へのリスクの偏らせすぎには注意が必要です。一方、人より大きな投資成果を上げるのは集中投資を当てることですので、腕に自信があって自己責任でやるのは良いと思いますが、人からの受け売りでの集中投資は危険なので慎重に考えてやりましょう。
期待リターンが低くても、他のアセットクラスよりも相関が低かったり、シャープレシオ(期待リターン÷リスク)が高ければ、アセットアロケーションに組み入れを検討する余地があります。

長期的な運用利回りを手間を掛けずに追及していくためには、対象アセットクラスの手数料の低い商品(具体的にはインデックス投信やETF)を活用するのが合理的な手法です。
(参考)2015/9/12 「やり直し相場ではじめるETF超入門」週刊東洋経済(2015年9月19日号)を読み解く
2015/8/8 海外ETFのネット証券大手3社の残高ランキング ダントツ1位はVTで残高299億円、上位20本の合計残高は1178億円
2014/12/23 モーニングスターETFカンファレンス2014に行ってきました。2015年の投資スタンスは「用心深く、楽観的に」(朝倉智也社長)で


「バンガードの4つの基本原則」も参考になります。
(参考)2015/9/27 「日本の投資家の皆さまが成功する投資家になるためのバンガードの4つの基本原則」(byバンガード)はインデックス投資のためのエッセンスが詰まっている良コンテンツ(何よりも無料!)

その上で、超過リターンを狙う運用(運用の上手な投資信託やヘッジファンドを探して投資する、自分で個別銘柄や売買タイミングを研究する)をしていくことは良いと思いますが、資産運用に掛ける時間や労力に見合うかどうか、本当に運用の上手な投資信託やヘッジファンドが再現性をもって超過リターンを上げていくかは冷静かつ客観的に検証しましょう。運用パフォーマンス以外の要因である、理念に共感したり、応援したいという判断基準は、合理的ではありませんが、合理的な人生が楽しいわけでもないので、余裕や遊びの範囲内では良いと個人的には思います。

このように自分でアセットアロケーションを考え、商品選択をして、ポートフォリオを管理していくことは、ある程度の金融リテラシーがないと難しいものです。
実行の手続きとしてはネット証券でクリックするだけですが、きちんとした理解がないともやもやしたり不安が生じたり、技術的・精神的に難しいかもしれません。
そういう場合は何らかのサポートを活用する必要があります。
その時、対面の金融機関(銀行の窓口や証券会社)に相談に行くことを考える人も多いと思います。残念ながら、現状の日本の対面の金融機関では、ぼったくりとも言える手数料の高い商品を販売して収益を上げることに注力がされており、また、資産運用がきちんと分かっている販売員はあまりいません(資産運用をまるで知らない人に対して、あたかもよく分かっていると思わせる程度の力量はあります)。もちろん信用できるプロもたくさんいますが、たまたまそういう人に出会うのは難しいというのが正直な現実です。
相談は無料でも、うまく口車に乗せられて、手数料の高い商品を買ってしまわないように気を付けましょう。金融商品を買わせることによって収益を得る商売で、売ることにプレッシャーを受けている現場の金融マンは、適正なアドバイスではなく、後先を考えない「説得」で何とか金融商品を買ってもらおうと頑張っています。
エセファイナンシャルプランナーや何ちゃってプライベートバンカーもたくさんいますので、やはり見極めが大事になります。
相談相手がどのようにビジネスが成立しているかは、きちんと認識しておきましょう。タダというのは後で高くつくものです。
(参考)2014/12/29 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その1)
2014/12/30 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その2)
2015/9/22 銀行の投信販売現場に行ってきました。親が銀行のお客様(上カモ)だった!(その3)

うまくやるためには、どこまでは自分でカバーし、どこからは任せるか(お金で解決する)が大事です。
面倒くさがらずに、多くの詳しい人と会って話を聞いたり比較したり、本やブログを読んで最低限の基本を勉強し、実践しながら学んでいくことが本当は大事です。
大きく外さないように(大損しないように)、だけは気を付けましょう。
これを読んでくれた方が、資産運用をうまくやり、楽しい人生を謳歌できますよう。グッドラック!







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