2019年07月08日

インデックス投資ナイト2019@渋谷カルカル 楽しく盛り上がりました!

インデックス投資ナイト2019を渋谷・東京カルチャーカルチャー(カルカル)にて7月6日(土)にて開催し盛況に終了しました!
インデックス投資ナイトは、個人投資家の個人投資家による個人投資家のためのボランティアの手作りイベントで、スポンサー等は一切付いておりません。私も実行委員の一人として運営に参加し、本年は第三部のセッションで司会を務めさせていただきました!本年実行委員長のybさん、お疲れ様でした。
100名を超える参加者とともに楽しく過ごすことが出来ました。無事に終了して何より。
チケット発売管理や当日の会場の運営面を全面的にカルカルさんがやってくれるため、ボランティアメンバーだけで何とか開催できております。カルカルさん、毎年ありがとうございます。

インデックスファンドを積立投資している方が参加者の9割以上、つみたてNISAを利用している方も3割程度というインデックス投資ナイトという名前にふさわしい参加者層で、懇親会も盛り上がりました。
帰り際には山崎元さん他2名の参加者とビル下で遭遇し、実行委員のybさん、水瀬さん、セロンさんと3次回へという流れになりそこでもまた議論の続き(?)を楽しみました(笑)。(山崎さんご馳走様でした!)
190708写真 インデックス投資ナイト2019.jpg

インデックス投資ナイト2019の当日の様子です。

第一部「インデックス投資の生みの親 John C. Bogle氏追悼」
インデックスファンドの父と呼ばれる、Vanguardの創設者の一人、John C. Bogle氏がご逝去されたことに伴う特別企画でした。
<登壇者>
・塚本俊太郎氏(バンガード・インベストメンツ・ジャパン 投資戦略部長)
・今井利友氏(総務企画局 政策課 総合政策室 金融税制調整官)
・田村正之氏(日本経済新聞社 編集委員兼紙面解説委員)
・水瀬ケンイチ氏(梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)
・司会 イーノ・ジュンイチ氏

ボーグル氏がインデックスファンドと共に歩んだ軌跡を振り返り、個人の資産運用にもたらした変革などを登壇者に語ってもらいました。
バンガード・インベストメンツ・ジャパンの塚本さんよりボーグル氏の人物像やバンガードの生い立ちをお話いただきました。投信業界との出会いは20歳の頃で、金融雑誌のフォーチュンを読んでいて、まだまだ投信業界は小さかったが、今後伸びるという記事を読んだということで、運用会社のウェリントンに入り、その後、ファンドの管理だけを行う会社を作り、2〜3%のアクティブファンドが多いなか、1976年にSP500のインデックスファンド(0.5%)を作ったのが最初のインデックス商品とのことです。(・・1976年って、私まだ生まれていないです。今でこそインデックス商品は大きな市場ですが、当時としては画期的なことだったのだと思います。長い歴史です。何事も先人の最初の一歩あり。)

また、金融庁の今井さん、日経新聞の田村さんからも談話をいただきました。
つみたてNISAの商品選定がボーグル氏の影響を受けているという今井さんのお話は興味深かったです。

水瀬さんからはバンガードの訪問記をボーグル氏の名言と共に語られました。
「投資の世界では、感情は必ず間違った方向に投資行動を導くものである」
「気分の高揚している時(大抵は市場がピーク)、買いたくなり、気分が低迷していること(市場が低迷しているとき)売りたくなる」
「複利の魔法は、驚異的である」
「常に成功するファンドマネージャーは存在しない」
「長期の複利で計算される利回りの奇跡を、長期のコストで制圧されないようにすること」
「お金はゴールではなく、ゴール達成の手段」
「投資家は自分のコントロールできるもの(手数料や税金)をコントロールし、できないものは諦めるべき」
「投資家にとって勝利の戦略はインデックスファンドを購入し、それを保有し続けること」
(・・・インデックス運用の要諦ですね。)

第二部 投資ブロガー座談会「若手投資ブロガーさん、集まれ!!」
若手投資ブロガーさんに、投資のことやブログのことをお聞きし、同世代へエールを送ってもらうセッションです。
<登壇者>
・シオイ氏(お気楽インデックス投資ジャーニー
・青井ノボル氏(インデックス投資で長期縦走へ
・柴崎シュンスケ氏(インデックス投資で長期航海
・ザリガニ氏(ザリガニの米国株と資産運用の日記
・カン・チュンド氏(司会:インデックス投資のゴマはこう開け!

各ブロガーの生の資産運用やマネーマネジメントのお話です。着ぐるみを着ての登場と登壇者の気合を感じました(笑)。
実際の身近な人の話は大いに参考になるところです。登壇者は皆さん既婚者で、30代から40前後の年代。マネーフォワードを奥さんとも連携して全てを見える化してるというのが今風な感じだなと思いました。「共有しているけど、興味なさそう」との声も。(・・共有しているよという信頼が大事なのかも。)
さすがブログをされているような皆さん、しっかりと軸をもって取り組んでいるようで、カンさんのテンポの良い仕切りとともに楽しいセッションでした。






第三部 ゲスト座談会「なぜインデックス投資は広まらないのか?日本のインデックス投資の未来」
<登壇者>
・山崎元氏(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員)
・柴山和久氏(ウェルスナビ代表取締役)
・虫とり小僧氏(いつか子供に伝えたいお金の話
・司会 ASK

インデックス投資ナイトも12年目。「インデックス投資」という言葉はだいぶ市民権を得てきてはいますが、まだまだ主流ではないのが現状といったところでしょうか。実際、投信残高に占めるインデックスファンドの比率は約15%程度と伝えられています(日経記事「つみたて元年、インデックス型投信の選択肢広がる」2018/12/3より)。
本年はロボアドのサービス会社のウェルスナビ柴山さんを初登場でお迎えしました。
山崎元さんと柴山和久さん(ウェルスナビ代表)の「プロレス」を期待(?)する向きもあったようですが、楽屋での事前の打ち合わせでは山崎さんも言葉少なげで、虫とりさんは「試合前のボクサー」だと言ってたり、どうなるかと思いましたが、お互いの主張はし合いながらも温和に進行できて主催者としてはホッと一息w。
柴山さんのそもそも投資をしていない人たちにいかにインデックス投資を広げていくかという熱いパッションと、大事なのは必ずしもウェルスナビのサービスよりも「長期分散国際投資」なのだという誠意あるお話ぶりが来場の皆さんにもしっかり伝わったようです。柴山さんご自身も、ウェルスナビ創業前からインデックス投資を実践していて今でも続けているとのこと。「支え合う仲間が大切」「投資は孤独」「説得力ある成功体験の共有」という言葉が印象的で、まだまだ少ないインデックス投資の仲間を増やしていこうという今回のテーマにふさわしい話をいただけてとても良かったなと。
山崎さんから柴山さんに「提案」として、お金全体のファイナンシャルプランニングやお金全体が最適かされているかのチェックが大事なので、どうせロボアドに資産運用を任せるなら、悪い部分を排除した、家計や資産全体を見る良心的な腹黒くない電子FPみたいなものがあるといいという話もあり、柴山さんが「作ります」と即答し、「そのときは私を雇ってくれますか?」という融和モードな展開は面白かったです。

虫とりさんも適切に合いの手を入れて頂きながら、「年金報告書は炎上商法として成功」「インデックス投資を広げるには、芸能人に歌ってもらったり、やらざる得ない、勉強せざる得ない状態にする」というお話も。手間や時間を使いたくないし、世界に分散投資したいので、消去法でインデックス投資だとのこと(ブログに使ってる時間はw)。

司会進行の反省点も多かったですが、概ねは事前の想定通りにスムーズに進行・終了が出来て、ツイッターも盛り上がって一安心です。

最後に第三部のテーマに補足した私の所感も少し述べておければと。
長期分散投資で低コストは意識すべきは重要な要素です。私自身もインデックス商品は最低コストのものを選びますし、特にインデックス投資ナイトに参加されるような層の方々はコスト意識に敏感で、そうすると、ロボアドの手数料(1%)ってどうなのだろう、という考えにいきます。ただ、運用の仕方がきちんとしていないと簡単にコスト以上の損失を出してしまいます。
自分で運用設計・管理・実行が出来る人はロボでも人間でもアドバイザーは不要で自分でやればいいのですが、世間のほとんどの人は資産運用プロセスのトータルを自分で正しく実行するのは難しいのが現実です。投資教育なんて他人に強制できるものでもないし、インデックス投資をどう広げるかという観点で言うと、そもそも投資や資産運用に絶対の正解などないので、より投資への第一歩を踏み出す実行の後押しだったり、UIの使い勝手や安心感を持って続けていけるサービスの工夫が一助になるのだと思います。
どんなに低コストのインデックスファンドがあっても売買するのは自分自身の意思決定と行動です。
バンガードのレポートに人間のアドバイザーの付加価値を分析し定量化した「Quantifying Vanguard Advisor's Alpha - Vanguard Funds」というレポートがあります(残念ながら英語版しかないようですが)。それによると、人間のアドバイザーの付加価値で最も大きいのは「行動のコーチング」とされていて、これにより1〜2%の付加価値があると分析されています。コスト効率的な実行、リバランス、アセットアロケーションよりも、相場環境に右往左往しないような「行動」こそが大事だと分析されています。
私も投資を始めて緩いながらももう15年以上になりますが、長く経験していて自分自身の実感や他の人たちを見ていて思うのは、長く投資を続けリターンも上がるためには、上げ相場で調子に乗らず下げ相場で悲観的になりすぎず、高値で沸いている時に流されず相場の底で買いにいく、欲張りすぎず感情のままに下手に売買してしまわない行動様式を身に着けることが大事な気がします。何に投資するかとか、売買の技術的なことよりも、マーケットに向き合うマインドや正しい行動と経験がリテラシーなのではないかと。
特にリーマンショックから10年以上が経ち、アベノミクス相場からもう7年以上経ち、アベノミクス開始以降は暖かいマーケット環境がずっと続いてます。本格的な下げ相場や大きな金融ショックが起きた時に、同じように投資行動を続けて行けるかどうか、一時的な損失や不安を乗り越える後押しがあるかどうかは大きいかもしれません。日本で長期分散投資の文化を増やすには、身の回りで資産形成をうまくやった友人知人の成功体験があることで輪が広がっていくことが要因として大きいのだと思いますが、これには時間も掛かるでしょう。

今回、インデックス投資ナイトに先立ち予習をしていて、「WealthNaviの運用アルゴリズム」というホワイトペーパーが公表されていて読んだのですが、ファイナンスを勉強した人にとってはなかなか興味深い内容で、分かりやすく書かれていると思いました。他社のものも読んでみましたが、ウェルスナビのものがよく出来ている印象です。まさにこれを作成したという、牛山さん(ウェルスナビ執行役員 リサーチ&クオンツ)ともお話が出来て楽しかったです。
ウェルスナビのサービスは運用残高1500億円を超え、利用者数はおよそ15万人、1人当たり約100万人が投資をしているようです。約7割が積み立てで利用しているとのこと。つみたてNISAは2018年で口座数103万、買付額931億円で、ざっくり1人当たり約10万円です。年間40万円の枠は使い切ってない人が多いのですね。スタートアップ1社のサービスがつみたてNISAより使われているというのはなかなか凄い。
ロボアドのサービスのスケールのためには、長期分散投資の文化の裾野を広げることと、手数料の問題でいうと、運用残高も増えて経営も安定すればローコストにしていく余地もあるようですが、資産に掛かる料率なので、100万円を預けて年間1万円ですが、仮に1億円を預けると年間65万円(3000万円超の手数料率は0.5%)で、金額が大きいと支払額が大きくなる中で大口の流入をいかに増やせるかで、山崎さんのお話のような資産の全体設計のアドバイスのような付加価値を付ける1つのアイデアなのかもですね。オンラインでユーザーにどう「行動のコーチング」をするかは容易ではないですが、個人的には興味深いテーマでもあります。話が逸れましたが。

柴山さんのご著書も大変読みやすく面白いです。興味がある方にはお勧めです。



他の参加者のブログ記事のレポート等は水瀬さんの記事でリンクがまとまっています!
梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー「インデックス投資ナイト2019」が無事終了しました! ほっ

来年も楽しみです。

2018年09月09日

バンガード主催のブロガー交流会に参加してきました。〜運用資産5.2兆ドルのインデックス運用会社の内側に迫る〜

2018年9月7日(金)に開催されたバンガード主催「第2回 ブロガー交流会」に参加してきました。
溜池の山王パークタワーのバンガード・ジャパンで、20名弱のブロガー達とバンガードの方々との情報交換及び交流会をしました。
180909 バンガード.png

広報のショウジさんの進行で、Senior Investment Strategist のZahmさんから市場動向、ポートフォリオの構成についての講義と、投資戦略部長の塚本さんからはたっぷりとブロガーからの質問に答えるQ&Aコーナーで、その後は懇親会で個別にバンガードの方からのお話をお伺いすること出来ました。

米国では「ボーグルヘッド」という、バンガード創始者のボーグルの投資の仕方に賛同している人々がいて、ボーグルヘッドフォーラムという掲示板で情報交流がされているようです。また、ボーグルヘッドカンファレンスというイベントでは200人が投資テーマについてディスカッションをするそうです。
いずれ日本でもボーグルヘッドカンファレンスのようなイベントが出来ればということでした。


直接、運用会社の人たちと対話が出来る機会で身近に感じると、その運用会社についてよく知ることが出来るし、好感も持つようになりますね。よく知っている運用会社の商品には信頼性も増しますし、口コミなどでの信頼の輪も広がる気がします。バンガードの方々、ブロガーにお声がけ頂いたブロガーの水瀬ケンイチさん(梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー)、このような機会を提供いただきありがとうございました。

以下、交流会の概況です。

まず、Zahmさんから英語の資料をもとにマーケットの概況やバンガード流の投資の哲学をレクチャーいただきました。
バンガードではグローバルで運用資産5.2兆ドル、400商品を扱っている。
投資においてコントロールできることに時間を使う、注力するべき。成功できる可能性が高くなる。
コントロールできることは、資産配分、貯蓄/投資に回す資金、運用コスト。コントロールできないことは、市場の動向。
というようなお話。
180909 バンガードZahmさん.png

ブロガーとのQ&Aの内容
・日本株の期待リターンが低い要因
人口動態(高齢化)、技術革新やグローバル化によるコスト低減により金利が引き下がることにより期待リターンが引き下がる。
・貿易戦争の影響は
年初は大きな影響はないと思っていたがエスカレートしている。全面的な貿易戦争には至らないだろう。全ての国が影響を受けることになる。
・日銀金融緩和の行方
ベースケースとしては現在の政策を当面続けるだろうと見ている。
買う国債やETFがなくなる時期には、何らかの形で別の成長を促進する措置を取るだろう。成長刺激策の継続が必要だから。
・香港でも投資ブロガーはいるのか。同じようにブロガーミーティングはしているのか
世界的に金融関連のブログは増えている。いずれの市場でもブロガーの影響は増えている。個人への影響や、FA(ファインシャルアドバイザー)向けにも影響力がある。
・富裕層向けのサービス
3年前にパーソナルアドバイザーサービス(PAS)。資産額5万ドル以上の人向け。費用が0.3%のフィー。もっと多くの資産を持つ人には信託、不動産、税務のサービスを提供。
・直販投信をやる予定は
Bloombergでニュースが出た。直販は重要なビジネスで、バンガードとして体制面等で様々な投資が必要になる。真剣に考えないといけないと思っているが、現段階では予定がない。
・楽天バンガードで組み込んでいる全世界債券(バークレイズ指数)にこれから中国が入る予定と聞いたが、どういう姿勢か
グローバルインデックスに追加すると発表された。変更に合わせて影響する全ての商品について、ポートフォリオ変更のコスト、最終投資家へのメリットやリスクを分析する。ポートフォリオレビューチームが分析のプロセスをしている。

次に、投資戦略部長・塚本さんとはたっぷりQ&Aの時間を頂きました。
主なやり取りは以下の通りでした。
180909 バンガード塚本さん.png
・コストゼロファンド(フィデリティ)をどう思うか
*参考:日経(2018/8/17)「投信の手数料競争、過熱 米フィデリティ「ゼロ」型発表 日本でも顧客拡大へ 」
ニュースが出た瞬間からバンガード社内でもグローバルに話題になった。どんどん競合含めフィーが下がっていくのは顧客にとっていいこと。
ただ、コストがゼロなのが良いことなのかどうか。
バンガード社の運営の仕組みとして投資家がバンガードの株主になるため、経費控除後で顧客に還元している。アットコストにすることが良いことだと思っている。
ゼロコストは他で収益を得ないといけないのに、その収益源が分からないのは不透明感がある。腹切りのレベルのコストが良いことだろうか。
別ビジネスで儲けるのか?分配金を減らして配当金込のパフォーマンスを下げている?などの疑念が生じてしまう。
他のファンドで元を取る。自社証券に口座開設してアドバイスの中身でのコストが考えられる。また、ポートフォリオの中で貸株でリターンを得ることは可能。バンガードは貸株収入は100%投資家へ還元しているが、他社は半々にするなどで利益を得ていることがある。
他社がどういう運用をしているかは、目論見書・運用報告書の両方を見る必要がある。
・楽天、セゾン以外との提携は
バンガードの名前が入るので、責任を持ってプロダクトを作る必要があると考えている。投資哲学に本当に合意してもらえているかを気にしている。
セゾンは、中野社長がかねてより長期・分散・低コスト・積立を提唱している。パートナーとしても啓蒙したい。
楽天は、幅広く出している。ウェブでコーナーを作り、バンガードの哲学を掲載している。考え方が一致している。
長期・分散・低コスト・積立の理念が共有できれば今後も提携先は増えていく可能性はある。
中身が全く同じファンドを出すと顧客が迷うかもしれないので考慮するかもしれない。
月に1回は日本の証券会社・運用会社が米国本社を訪問している。色々な形でパートナーシップのミーティングをしている。
・スマートベータETF
日本での登録は出来ていない。昨年アメリカで立ち上げた。ヨーロッパでファクターETFを数年前に出している。
ファクターETFの購入は機関投資家だと思っている。個人にニーズがあれば検討したい。
他の市場でアドバイザーが活用している例がある。プレミアムを取る。
・VTへの投資について、税金控除後で海外ETFでのVTがいいか、楽天バンガードへの乗り換えがいいのか。
米国で分配金時に税金が源泉徴収により取られているので、確定申告で外国税額控除を取るのであれば直接VTを買う方がいい。
楽天バンガード投信では米国での源泉を取り戻されない。ただ、楽天バンガードでは分配金を再投資する複利効果はある。
・為替のヘッジコスト
ヘッジコストは足元1.5%。債券を持つ意味は株式と合わせた緩衝材という意味がある。
バランス型では債券をヘッジした方がいいのではないか。
長期でインフレ率を考慮した利回りは同じくらいになる。
現状、日銀金融緩和の影響で日本国債と株式の相関が低く、クッションが低い。今の環境だと海外債券の方がいいかも。
・バランスファンドの為替ヘッジについて
セゾンだと為替ヘッジなし。楽天だと為替ヘッジあり。
ヘッジあり、なしはどういうポイントがいいか。
セゾンは為替リスクは長期では中立であると考えている。長期は為替リスクを取っても大きなリターンの差は出ないだろう。過去11年では為替ヘッジなしで、円高になっていない、ヘッジコストがない点。ただ、リスクはヘッジありより高い。
楽天は、トータルでポートフォリオのリスクを抑えた方が良い。安定度合いは高い。
・運用資産(AUM) 5.2兆ドルのうち、3.6兆ドルが株式、債券は1.2兆ドル。残りがMMF、バランス型で0.4兆ドル。
バンガードはアクティブもやっている。インデックスが3.9兆ドル、アクティブが1.3兆ドル。
同じ運用をファンドとETFを別々、機関、個人などで別商品だったり、米国籍、ヨーロッパ籍などで分かれている。元が同じでも商品が別だったりする。
投信4.2兆ドル、ETF1兆ドル。積立は米国でも投信の方が多い。コストは投信の方が掛かる。直近の流入額ベースでは流入額の3割くらいはETFに流入していてETF割合は増えている。
機関投資家の利用。アクティブからパッシブへの流れ。アメリカはFAがやっていて、低コストを志向するのでETFを選ぶ。少しアクティブな資産配分にしたりする。ETFは使い勝手がいい。FAの活用が増えるとETFの活用が増えるのでは。
*懇親会で塚本さんから伺った話では、日本の投資家の運用残高は非開示とのことでしたが、まだまだ大きくはないが採算は取れている水準であるそうです。
・オフショア商品について。香港のHSBCのアリアンツが出しているS&P連動の保険商品で7%などある。香港で口座を作る魅力がある。他社の商品を見てどういうスタンスで営業しているか。
保険商品は複雑かつコストが理解されていない。約束されたリターンの実際のダイナミクスが個人投資家に理解されていないことが多い。実際にS&P500で7%は資本の低減を考慮していない。
バンガードの香港では、香港上場のETF、PBと連携、プロフィデントファンド(年金の一環としてのバランスファンド)などのサービスを提供している。
・ミューチュアルファンド。マネックスがかつて高コストでやっていた。他の国では直販等の状況は。
一般の個人投資家へ投信を販売するのはコミッションにバイアスを掛けないことが難しい。アメリカは例外的で規制が変更になったわけではなく、投資家教育が出来たため。イギリス等は規制が変わりローデットの商品が提供できるようになった。
日本での懸念は、販売手数料と信託報酬の中で販売会社が取っている手数料が大きい。日本では二重にコストが掛かる。楽天やセゾンとパートナーシップを取っているが、販売会社が取らないようにするのが難しい。
ファンドを提供する形はできるが制約が掛かる。
顧客本位の業務運営で変化の兆しは見えているが、全体としてまだ投信残高は増えていない。
ヨーロッパでは販売手数料をゼロにしている。
・インデックスの過去の値動きのデータがクローズで出てこない。アメリカでは大学でデータをプーリングしているなどあるのか。
指数はお金払って買っている。投資運用でインデックスコストは大きい。プロバイダーをクリプスというところに変更している。
・取り崩しの時の考え方。積み上がってからどうしている人が多いのか。
ETFの利点は柔軟であること。売却時に重要な点は税制。あまり上がっていないものを売る。
どういう時が売るべき時かは、ポートフォリオ全体のリバランシングを考慮するのが良い。元の資産配分に戻す。
ビットアスクのスプレッドの影響を考慮。成り行きではなく指値で行う。
退職後の所得という意味では、ハイブリッドアプローチで決めていく方法がある。
退職を迎える人に予測可能な所得にしたいニーズがある。市場環境を無視するとポートフォリオ全体が毀損する可能性がある。
ダイナミックスペンディングはポートフォリオから引き出す額を決める方法。市場が悪い時に取り崩しを減らす、良いときに取り崩しを増やすなど、ある程度の幅をもって行う。
かなり複雑なのでFAのようなプロのアドバイザーの価値がある。なかなか1人でマネージできないので、アドバイザーの助言に価値がある。
ポートフォリオのパーセンテージで売っていく。マーケットが悪い時は支出を減らす。
・アメリカのバンガードでは口座管理がシステム上で出来るし、社内にアドバイザーがいる。
アメリカでは直販をやって顧客が自分でポートフォリオを作るツールを与えている。調査するとアドバイスしてもらいたいニーズがあった。フィーをいくらなら払うかをデータを取ると0.3%だとニーズが多かった。
直販のプラットフォームが前提になっている。
・フィー自体が下がっているので、フィーの中でのベンチマークのコストが上がっている。
ファンドサイズが大きくても運用会社が0.1%取ることもある。VTは全部で0.1%。
インデックスの構成が優れているものを使いたいが、インデックスのフィーも定額、残高が増えたらフィーのパーセントが減るような契約をしたい。バンガードがインデックスを変更するニュースが出たら、変更前のインデックス提供会社の株価が大きく下がるということも起きている。インデックス提供会社もフィーの取り方を変えてきている。
・運用のコストの中身でインデックスプロバイダーへのコストが高いという話があるが、自前でインデックスを作れば良いのではないか。
セルフインデックスが流行っている。インデックスは第三者が提供するから公正でトラッキングエラーが測られている。その方が計算も向上していくと考えている。

交流会では、参加者のブロガーの皆様との交流や、塚本さんやショウジさんからバンガードでの仕事内容やどのような組織運営やがされているのかなどについての貴重なお話を伺うことが出来ました。

バンガードの運用資産は2016年末では3.9兆ドルだったのが、5.2兆ドルに増加しているのは地道に投資哲学を啓蒙してきて多くの個人投資家に支持されてきた活動の成果も大きいのかもしれません。日本の全ての運用会社の投信残高合計が113兆円なので、1社で日本の投信残高合計の約5倍を運用していることになります。
今回、全体として感じたことは、バンガードの運用資産5.2兆ドルのうち過半は米国での預り資産のようですが、ETF・投信信託の商品提供だけではなく、誰しもが投資の仕方を自分でできるわけではないので外部のフィナンシャルアドバイザー経由やバンガード自身でのアドバイスや情報提供の付加価値と合わせ、車の両輪となってワークしているようでした。アメリカでは1万人を超える従業員がいるようですが、カスタマーサポートの人員が多いようです。このようなブロガー交流会もバンガード投資哲学の啓蒙活動の一環と言えるのでしょう。
バンガードのレポート「Putting a value on your value:Quantifying Vanguard Advisor’s Alpha」ではアドバイザーの付加価値について分析されています。間違った投資意思決定や行動にならないよう補正してもらうのがアドバイザーの役割のようです。自分で資産運用設計や商品選定、投資の継続が出来る人は自分の力で足りますが、興味深い内容ではあるので、こちらについてはまたブログ記事で紹介できればと思います。

また、夜の時間での開催だったため、今半のすき焼き弁当も頂きました。美味しかったです(笑)。
180909 今半のすき焼き弁当.png

【関連記事】
2015/9/27「日本の投資家の皆さまが成功する投資家になるためのバンガードの4つの基本原則」(byバンガード)はインデックス投資のためのエッセンスが詰まっている良コンテンツ(何よりも無料!)
2015/9/12「やり直し相場ではじめるETF超入門」週刊東洋経済(2015年9月19日号)を読み解く








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