2015年12月26日

草食投資隊の講演書き起こし「長期投資という文化を日本全体に広げたい」

2015年11月22日に開催された「お金のEXPO2015」でのセッション、草食投資隊による「地に足の着いた投資で人生を変える!〜 長期投資の大切さ 〜」の書き起こしです。
*「お金のEXPO2015」の全体的な様子は別記事の「お金のEXPO2015(マネーフォワード主催)に参加してきました。」にてアップしています。

草食投資隊とは、独立系投信会社3社のコモンズ投信・渋澤健会長、セゾン投信・中野晴啓社長、ひふみ投信のレオス・キャピタル・ワークス・藤野英人社長が結成しているチームです。独立系投信をそれぞれやっている3名は草食投資隊という名前で日本に長期投資という文化を作りたいという思いで全国行脚しているそうです。
お揃いのネクタイでご登場です。本セッションの進行はフリーアナウンサーの内田まさみさん。

草食投資隊のきっかけは、2009年、日経マネーでの鼎談(ていだん)で大いに盛り上がったことで、「長期投資が根付いていないよね、根付かせたいよね」という3人共通の長期投資に対する熱い思いを改めて確認し合い、これをなんとかカタチにしたいということから始まり、共著で本の出版もしています。
運用のプロが教える草食系投資
渋澤 健 中野 晴啓 藤野 英人
日本経済新聞出版社
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会場への質問では、草食投資隊を知っているという人はかなり少数の様子でした。また、既に何らかの投資しているという人=4割、これからという人=1割くらいの様子です。
内容は、これから資産運用をやっていこうかなーという若い世代に向けて、投資の技術的な話は一切なく、投資という考え方や心の持ちようといったものを分かりやすく3名がそれぞれに話をされていました。
共感できる良い話をしていたと思います。全国行脚しているだけあり、場数も感じ、3名の息も合ってました。

以下、トーク内容の書き起こしです。(発言者はメモしていませんが、内容的には統一感をもって3名が交互に話をされていました。)

草食投資隊というのは、奪い合うという肉食の投資ではない、という思いを込めている。投信会社のトップとしてライバルのようにも見えるが、そうではない。
長期投資という文化を日本全体に広げたい。全国130か所でセミナーをやってきた。
NISAの導入、401Kの拡大、年金不安の中、自分で資産運用しないといけないという機運が広がっている。

日本で販売されている投資信託本数は5700本を超えている。
R&Iのファンド大賞に3社揃って選ばれた。定量的に評価されるもの。
長期投資は結果を伴うものである。最初は結果もなく言ってきたが、実際に結果が出てきた。運用上の努力もあるが、長期投資の考え方が結果にも出てきた。
(筆者追記)R&Iファンド大賞は、R&I(格付投資情報センター)が投資信託、確定拠出年金、NISAの3つのカテゴリから優秀な投信をジャープレシオを基準とした定量評価に基づき選定、優秀な投信を表彰するものです。
2015年では、国内株式部門でひふみ投信が優秀賞(NISAの国内株式では最優秀)、外国株式部門ではセゾン資産形成の達人ファンドが最優秀賞、NISA部門の国内株式部門ではコモンズ30ファンドが優秀賞を受賞しています。

草食投資隊の3名は、それぞれ独立系運用会社をやっているのでライバルでもあるが、徹底した長期投資という価値観を共有している。
有名で、大きなところがいいという常識にとらわれてはいけない。
安心・安全は危険な言葉。有名なもの、大きなもの、知っているものは安心できると思ってしまいがち。投資で大事なことは投資対象が成長するかどうかという観点。大きい、有名かというのと、成長するかは関係ない。投資においては有名=安心ではない。大きいところにお任せていれば安心だというのがよくある間違い。

上がったものを再投資する複利。成長がいかに大切か。長期投資は時間を味方にする。時間という資源は毎日1日減っていく。なるべく早く時間を味方にするといい。

リスクが相場にはある。多くの人は相場の値動きを見る。本当の意味での投資からするとどうでもいいこと。値動きを見るのは値段を当てに行くゲーム。投資したものの実態が変わったわけではないのに値段が下がった、というのがリーマンショック。価格を追っかけない。実体経済の価値をどう見るかが重要である。

長期投資で最悪のタイミングはバブルのピーク。日経平均はピークの時に一括投資をしていたら半分になっている。1990年の1月から毎月定額投資をしていれば現在プラス40%になっている。
長期投資は積立投資が基本。
投資はお金がまとまってないといけないとみんな思っている。
無理のない範囲で少しずつ投資をしていけばいい。誰でも長期投資家になれる。

「ためふや」。貯めながら増やす。
お金が貯まったら投資する、と言う人がいる。お金を持っている人がお客様だというのが銀行。お金を持っていない人たちこそ貯めながら増やすが必要な人。
安全で無理のない将来の備え。
未来のために少額で始めていく。SBI証券で最低月500円から始められる。

日本の年金は賦課方式。これから少子高齢化になり、受給が減るか保険料が増やすかしかない。
国外からの成長を取り組む。自分たちで積み立てていくことが重要。

何で投資に関心があるのか説明できる人は少ないかもしれない。
自分の人生を自分の意思と行動で何とかしないといけないと漠然と思っているのではないか。
日本は大きな成長もないし、社会不安も増していく。自分のための長期投資が豊かになりたい世界の人たちを幸せにするために動かしていく。お金を通して経済活動に参加する。投資を通じて経済に貢献することができる。

株式投資は企業を応援すること。価値とは会社で働いている人たちが作っている売上と利益。
株式には会社の売上や利益という価値がある。長期的には営業利益と株価の動きは一致する。投資とは価値あるものの活動の一部に参加する権利である。会社と一緒に大きくなるチケット。
投資先の会社の社長の後ろのお客さんをどうやって満足させているか、という話を聞く。大事なのは会社のお客様である。誰よりも真剣にお客様のことを考えている経営者が結果を伴っている。
投資というのは生々しい経済活動とダイレクトに繋がっている。
ビジネスは世の中の人をたくさん幸せにしていく。
金儲けしか考えない人はいずれ馬脚が現れうまくいかないケースが多い。長い年月で社員が気づき、お客様も気づいてみんなが離れていく。

投信会社は集まったお金で運営している。誰よりもお客様(投資家)に尽くさないといけないと思っている。

成長していく会社を選別する。日経平均には成長しない会社も入ってくる。成長する会社に投資していきたいという思いがある。目先ではなく持続的な成長を見ている。
新しいイノベーション、市場を開拓する力が成長の源泉。世界の成長を取るよう事業展開していく会社に投資したい。

こういう投資信託はよくない、という選び方のポイント。
地に足が付いた投資とは何か。すぐ儲けたいと思って、人の話に安易に乗るのがよくない。
資産運用を知らないことは恥ずかしいことではない。だが、銀行や証券会社に、何となく聞きに行っちゃうと、今すぐ売りたいものをうまいこと言って勧めてくるというのが残念ながら現実。今すぐ売りたいというのは、みんながすぐに納得しやすいものになる。みんなが良いと思っているものは儲からないのが投資の鉄則。ブラジルに投資する投信などがいい例(いわゆるテーマ型投信)。何がいいのかというと、ふつうのもの。当たり前のことを当たり前にやること。シンプルに考えて行けば難しくない。
よくヘッジファンド等の投資行動をハゲタカだと言うが、日本人の投信の売買動向こそがハゲタカである。投資は汚いと思っている人は投資は投機だと思っている。

日本で長期投資が根付かないのは昔からのお金の教育。
小さい頃からお年玉をもらったら銀行に預金しときないさい、と育てられてきている。
投信80兆円は高齢者のお金がほとんど。若い人は参加していない。たくさんお金を持っている人を顧客にするよう、一発当てたい・儲かるものを知りたい、という人に買ってもらえるよう投信を作る、という構造がある。

1000万の貯金がある。今まで投資をしていなかった。3社に300万ずつ投資すればいいのか。
証券会社に行けばそれでOKと言われるかもしれないが、私たちは違う。今までゼロだったのをいきなり投資にするのは極端。投資ゼロの人は少しからでも始めればいいよ、という話をしている。お金の持ち方にグラデーションをつけよう。少しでも始めてみようというのが伝えたいこと。
ビジネスマンで成功している人は投資もうまい。
マーケット感覚を身に付けるとビジネスにも通じる。お金を実際に動かすと自分事になる。それを続けていると、日々の値動きなんて、どうでもよくなる。その日の値動きなんて、誰にもコトロール不能なもので、気にしても仕方がない。日々のニュースにあたふたしない。それが長期投資家の姿。

投資の減速。小さく、ゆっくり、長く。
最初に小さく始めること。いくらか、というのはその人によって違う。手に汗握らない程度でスタートする。
投資するタイミングを何回かに分ける。何十年というスパンで考える。まずは数年スパンでの景気循環を体験すると、分かってくる。

積み上げていった最後は。何のために貯めていくのか。出口のアドバイスを。
人間の出口は1つ。死ぬことしかない。必ず来るがいつ来るか分からない。あまり投資で出口を気にしすぎない方がいい。必要なときに使えばいい。その時にならないと分からないこともたくさんある。予期しないことが起きたときに蓄えがあるといい。おおらかにやっていった方が結果富は積みあがるのではないか。
何で辞めないといけないのか。仕事には引退がある。お金を引退させないといけないなんて決めごとはない。お金は元気に働かせておけばいい。使いたいときに使いたいだけ取り崩せばいい。使わないなら成長させていけばいい。次の世代に残していけばいい。

お金が本物で株は偽物だと思っている。お金はただの紙切れで国の信用がある。株は投資先会社の価値を表しているものでリアル。お金はバーチャル。
預貯金が多いというのはバーチャルな資産をたくさん持っていることである。国の価値が減っていくときにどうするのか。

最後に一言ずつ。
渋澤さん 投資は投げる資金。バクチと思ってる人が多い。英語ではインベストメント。世の中の成長をベスト(身に付ける)こと。
中野さん これからインフレ前提の時代になる。お金の機能も変わってくる。そういう面も捉えてお金を動かしていくべき。
藤野さん 投資に限らず、リスクに対してチャレンジすることは、勝つか負けるかではなく、勝つか学ぶか、と考えるといい。失敗というのは学びのチャンス。学びがあれば次にうまくいく可能性が高くなる。
―――――(以上)

なお、私は。投信ブロガーのファンド・オブ・ザ・イヤー2015では、独立系投信を選定対象にひふみ投信に5票を入れておきました。2016年1月のファンド・オブ・ザ・イヤーでは独立系投信はどういう結果になるでしょうか。


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