2015年12月20日

忙しいビジネスマンが実践しやすく成果が見込める資産運用を考える キーワードは「長期」「グローバル」「分散」「低コスト」

(ちょっと掲載から間が空きましたが)マネーフォワードの運営メディアの「マネトク」にて「忙しいビジネスマンのための長期投資の賢い必需品 「ETF」って何?」という記事(2015/12/07付)を執筆しました。

同じく掲載記事の「マイナンバー制度「通知カード、個人番号カードの交付申請が届いたら知っておくべきこと」は、11月月間ランキングで3位をいただいたようです。ちょうどマイナンバー通知カードが届き始めた時期だったのもありタイミングがよかったのもあるかと思いますが、ありがとうございます。

「忙しいビジネスマンのための長期投資の賢い必需品 「ETF」って何?」では、長期的な資産運用をこれから考えたいという関心のあるビジネスパーソンに向けて、インデックス投資を動機づけになるよう、なるべく平易な解説文を心掛けました。

端的なポイントとしては、私は、「長期」「グローバル」「分散」「低コスト」を挙げています。
私が、なぜ、自らの資産運用の実践において、この観点からの資産運用に主軸を置いているのか。(主軸というのは、いわゆるコア&サテライトで言うところのコア部分ということです)
本記事ではこの点について補足をしていきたいと思います。

まず、基本に立ち返りましょう。

これだけは投資をする人全員に当てはまるという資産運用の目的は何でしょうか?

資産運用には様々な方法があります。その中から、自分が納得がいき、望む成果を出せるものであれば、どんな方法でもいいと思います。
あらゆる投資手法で、誰もが目指していることは「リターンを上げること(利益を出すこと)」です。
損をしようと思って資産運用をする人はどこにもいません。

資産運用の方法を投資家として考える場合には、常に、この「リターンを上げること(利益を出すこと)」が出来るのかどうかという目的にこそフォーカスを当て、重点を置くべきです。資産運用のことをよく分かってないFPとかが書いた解説に見られるような、投資先の選定で「投資先の理念に共感」とか「応援」とかいう観点が典型ですが、必ずしも「リターンを上げること」に直接に結びつかない理由で投資をするときは、本来の目的とは別枠で考えるべきです。
(注)「投資先の理念に共感」とか「応援」のために投資をするなというわけではありません。リターンを上げるという本来の目的からは切り離し、利益を上げるための元本とは別口で楽しむ分には個人の自由ですよ、という話です。

タイトルにあげたキーワードである「長期」「グローバル」「分散」「低コスト」というのを、「リターンが上がるのかどうか」という観点から、正しい知識を身に付けて理解をしなければいけません。
この点について簡単な整理をしてまいりましょう。

○長期
なぜ、長期投資なのでしょうか?

長期投資が短期投資よりも「儲かるか」という点で考えてみましょう。

短期投資というのは、基本的にはゼロサムに近い勝負です。参加者の誰かが儲かれば、誰かが損をするという一定のパイの奪い合いでの勝負です。
一方、長期投資は、正しい方法で行えば、パイの広がりにより、参加者全員が平均的にリターンを享受することが出来るというプラスサムの世界です。
ただし、1つの重要な前提条件があります。それは、投資対象のファンダメンタルズが長期的に成長していく場合で、かつ、将来のファンダメンタルズの価値と比べて投資時の価格が割高でないことです。(←これは結構重要で、十分に理解が世間に浸透していない気もしていますが、このことを満たしていない長期投資はリターンが出る保証はありません)
ここで、長期というのは、最低でも5年程度、私自身は、10年以上、数十年という時間軸を想定しています。

また、短期売買の主戦場では、世界中の天才がシノギを削っています。忙しいビジネスパーソンが金融のプロに立ち向かってやり合うことでリターンを上げやすいかどうかも十分に吟味する必要があります。
忙しいビジネスパーソンは、短期売買でマーケットを気に掛ける時間を減らして、本業に専念した方がいいでしょう。私自身も、短期利殖狙いに精を出すよりも、長期投資に軸足を置いている理由はこれが大きいです。

ゼロサムの短期投資より、プラスサムの長期投資の方が、忙しいビジネスパーソンにとっては合理的ではないのか。
これが、私が長期投資に軸足を置く理由です。

○グローバル
なぜ、投資先を日本だけでなく、世界に目を向ける方がいいのでしょうか?

日本に住んでいる以上、日本国内への投資対象への投資情報の方が、海外の投資対象よりも、日本語での情報がはるかに充実していますし、日常的な接触頻度も多く、投資機会にも触れやすく、理解もしやすいのは事実です。
また、円資産で生活している以上、円換算での資産価格のボラティリティ(変動)は「円」だけを持っている方が安定するように見えます。

「リターンを上げる」という観点から、世界に目を向けると何が良いことになるのでしょうか?
それは、残念ながら、日本国内の投資機会が、低金利・低成長という事実があるからです。
言うまでもなく、日本国内の金利は国際的に最低水準です。
また、歯止めなく増え続ける国家債務、膨張する社会保障費、人口減が確実な人口動態といったマクロ環境を考えると、マクロ的には日本経済のグローバルでの相対的な低成長が見込まれると思われます。
もちろん、ミクロには成長分野等は出てくるでしょうし、海外への成長機会により成長をしていく企業もありますから、そういったものを狙って投資していけばいいのですが、そもそもの投資先がマクロ的に成長するところへ乗る方が、投資はリターンは上げやすいです。

すなわち、低金利・低成長な日本よりも、世界中を見渡して、経済の相対的な高成長を取り込んでいく方が投資リターンは上がりやすいと言えるでしょう。
また、投資によりグローバルな経済成長を享受できる方が、日本が低金利・低成長であることの仕事の収入面なんかのリスクヘッジにもなるかもしれません。

○分散
なぜ、分散投資なのか?

まず、知っておかなくてならないことは、「分散」投資は利益を最大化する方法ではありません。

利益を最大化するには、少数の「集中」投資を当てる方が効果的です。
これを実践し見事にやり遂げたのが、世界有数の富豪となり、賢明なる投資家として尊敬を集めているウォーレン・バフェットです。
それと、世間の水準から突き抜けた富豪の職業の1つは上場会社オーナーですが(フォーブスの富豪ランキングでも上位の多くは成功した起業家です)、彼らは、自分の資金で起業し自社の株主になり、資金もリソースも自分の事業に集中投下してビジネスを成功させた人たちです。
人より優れた成果を出すには、「集中」しなければなりません。

それでも、資産運用においては、なぜ分散をした方がいいのかというと、大失敗しないためです。
投資の格言に「卵を1つのカゴに盛るな」という有名な言葉があります。どんなに卵が増えても(資産が増えても)、その後に、カゴごと落として全てのタマゴが割れたら(集中投資の投資先に不測の事態が起きたら)おしまいです。
BPの原油流出事故、フォルクスワーゲンの検査不正、エンロンの粉飾決算、原発事故の東京電力・・、個別企業ではたびたびクリティカルな事故や不祥事が起きますが、これらは事前に回避することはほぼ不可能です。分散投資は、個別企業に起きるクリティカルな事故の影響を限定的に抑える効果があります。
投資で元本を増やし続けることも易しいことではありませんが、大損してしまった場合に損失を取り戻すのはもっと難しいものです。
もう1つ大きな問題は、特定の投資対象に対して、何をどのタイミングで売買すると儲かるかを当てることはなかなかに難しいということです。

ポートフォリオのリスク分散効果というものもあります。価格変動の相関の異なる複数の資産の組み合わせにより、資産価格の変動の大きさを緩和しながらリターンを見込むことができるというものです。

どんなものでも暴落する局面ではポートフォリオのリスク分散効果がどこまで有効なのかという議論はありますが、私は、個別要因による最大損失の回避は長期的にはケアしておきたい問題であると考えています。

ちなみに、自らは集中投資で多大な富を得たウォーレン・バフェットも、われわれのような凡人で情弱な一般人にはインデックス投資を推奨しています。
ウォーレン・バフェットが経営する投資会社・バークシャー・ハサウェイの2014年3月での「株主への手紙」の中で、自分の妻の遺産相続についての方針を「10%を米国政府短期証券(現金に近いもの)に置き、残りの90%は非常に低コストのS&P500指数インデックスファンド(バンガードのものがいい)にする。私(=バフェット)はこの運用による投資成果は、ほとんどの投資家のものより、よりよいものになると信じている」と語っています。
類まれな頭脳、相当な先見の明と好奇心、投資先の研究、時代、運、優れたパートナー(バフェットにはチャーリー・マンガーという相棒がいます)など、誰にでも出来るものではないということなのでしょう。

○低コスト
資産運用に伴うコストというのは、投資家にとってはリターンを阻害するもの以外のなにものでもありません。
売買等に伴う手数料というのもあります。
グローバル分散投資を簡単に行うためには、ETFにせよインデックス投信にせよ、パッケージを利用することが1つの近道です。

リターンを上げることは不確実であるが、金融の世界では、同じ効果が期待されるものであれば、コストの増加はリターンの減少を意味します。それも、確実に複利での利回りの減少(=投資家の実入りの果実を減らす)の要因となります。
金融商品は、お金の増減そのものである経済効果が商品の品質であり、コストアップは品質自体の低下になります。一般的なカバンや時計などの物や飲食や行楽などのサービスの購入は、コストが高いと品質も上がることが期待されますが、金融商品に関する限り、コストの増加に伴い確実にリターンが上がるわけではない限り、コストの増加は投資家のリターンの減少を招きます。
もちろん、グローバル分散投資の手段のパッケージを提供いただく運用会社にとって事業が成立し、継続していかなくてはいけませんし、そもそも、どのように運用の方針をしていくかなどが分からない人へのアドバイスや教育などの機能は別のものかもしれませんが、本質的には、商品自体とは切り離されて議論されるべき話になります。


このように「長期」「グローバル」「分散」「低コスト」というのは、金融マーケットの一線から離れている本業のあるビジネスパーソンにとって、資産運用により合理的に利益を上げていき、資産形成を実現するための1つの有効な手法であると私は考えています。

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