前回は、予め定めたアセットアロケーションに一度に投資をした場合の実際のマーケットデータを使用しての損益実績を見てみましたが、今回は、積立投資の場合の運用実績例を見ていきます。
まず、前回同様、国内株式・国内債券・先進国株式・先進国債券を25%ずつの等配分で試しに入れています。
アセットアロケーション配分割合(資産配分)
国内株式 25%
国内債券 25%
先進国株式 25%
先進国債券 25%
まず、リバランスなしの場合(積立投資を決まった資産配分で投資していくのみで、投資後の組み換えはしない)です。
2001年初から積立投資
毎月積立額 1,000
積立累計額(2014年末) 168,000
2014年末の残高 265,958 コストなし
2014年末の残高 247,355 コストあり
*コストありは、前回同様、年率1.0%で計算
コストなしシミュレーション
2014年末での元本増加 1.6倍
平均リターン(年率) 4.7%
変動率(年率) 9.5%
最大下落率(月間) -13.7%
次に、リバランスありの場合です。リバランスの方法は、積立投資を決まった資産配分で投資していくとともに、毎年年末に、投資ポートフォリオの残高を資産配分と同じになるように調整するように計算しています。ただ、売買コストや利益が出ている場合の税金については考慮していません。
2001年初から積立投資(リバランスあり)
毎月積立額 1,000
積立累計額(2014年末) 168,000
2014年末の残高 279,865 コストなし
2014年末の残高 259,987 コストあり
コストなしシミュレーション
2014年末での元本増加 1.7倍
平均リターン(年率) 5.4%
変動率(年率) 10.0%
最大下落率(月間) -12.8%
リバランスのあり・なしは、リバランスありが、やや優位な結果になりました。取引コストや税金を考慮すると、そんなに変わらないくらいかなってとこでしょうか。
結果としては、2000年代の不動産ミニバブル期の2006〜2008年のリーマン・ショック時までは含み益がありましたが、その後低迷し、2012年秋からのアベノミクス相場のスタートまで損益はトントン、2012年秋以降からの好調相場に乗って、2014年末には良好な結果にはなっています。2001年〜2012年までの12年間は報われなかったと・・
今回は、もう1つ、30代後半アラフォー独身の女性ブロガーのopal (おぱる)さんのアセットアロケーションの場合を見てみましょう(ご本人からの依頼により)。
アセットアロケーション配分割合(資産配分)
国内株式 10%
先進国株式 80%
新興国株式 10%
リバランスなしの場合
2001年初から積立投資
毎月積立額 1,000
積立累計額(2014年末) 168,000
2014年末の残高 343,777 コストなし
2014年末の残高 318,816 コストあり
コストなしシミュレーション
2014年末での元本増加 2.0倍
平均リターン(年率) 7.8%
変動率(年率) 19.9%
最大下落率(月間) -24.8%
リバランスありの場合
2001年初から積立投資(リバランスあり)
毎月積立額 1,000
積立累計額(2014年末) 168,000
2014年末の残高 350,201 コストなし
2014年末の残高 324,985 コストあり
コストなしシミュレーション
2014年末での元本増加 2.1倍
平均リターン(年率) 7.6%
変動率(年率) 19.3%
最大下落率(月間) -23.7%
国内株式・国内債券・先進国株式・先進国債券を25%ずつの等配分との違いは、リターンが良くなっているが、変動率(リスク)が年率10%前後→20%前後と、上昇しています。
2012年秋まで損益はトントン、2012年秋以降からの好調相場に乗って、2014年末には良好な結果にはなっています。2012年秋以降からの好調相場は、円安と、先進国株式(主に米国市場)のリターンが好調だったことにより、投資元本から倍ほどの投資成果が出ています。
注意点は、月間の最大下落率がマイナス24%と大きいことです。これは、2008年10月です。リーマン・ブラザーズの破綻は2008年9月で、その月は17%ほどの下落ですから、もし今、リーマン・ショック級のイベントが発生すると、2ヶ月で40%ほどの下落が起きて、今の含み益の多くが吹っ飛ぶ、ということになります。2ヶ月で40%なので、標準偏差(年率)の20%前後×2の変動率より年率換算でははるかに大きい下落です。もちろん、「もし」リーマン・ショック級のイベントが発生「したら」、の話です。
実際に、リーマン・ショックの後は投資元本より穴を掘る期間が続くわけですが、逆に、きちんと続けていると、リーマン・ショックも乗り越えて、2014年末の時点では良い結果になっています。
2012年秋以降のマーケットが今後も同じペースで続いていくのかどうかという点は、個人的にはそこまで楽観的には思えないですが、低成長、円高の時代が戻ってくるのか、ある程度の好調相場が今後も続いていくのか、それがいつまで続くのか、ということは分かりません。歴史的には金融市場のバブルとその崩壊は繰り返しており、今後も起きるでしょうが、インパクトとしてリーマン・ショック級の衝撃が発生するかどうかは分かりません。
目的が長期的な資産形成であるのなら、1番重要な点は、リバランスとか0.数%の手数料の違いに過度にこだわるよりも、投資対象のファンダメンタルズの成長を信じて、きちんと続けていくこと、適度にアセットアロケーションを見直していくこと、と言えるでしょう。
次回へ 長期資産運用の手順と考え方:どのように自分のアセットアロケーションを決めていくか おすすめのアセットアロケーションを考えよう(シリーズ中間まとめ)
【おすすめのアセットアロケーションを考えようシリーズ】
・2015/10/5 おすすめのアセットアロケーションを考えよう(1) アセットクラス別のリスク・リターンの計算と分析
・2015/10/10 おすすめのアセットアロケーションを考えよう(2) ポートフォリオのリスク分散効果ってなに?
・2015/10/11 おすすめのアセットアロケーションを考えよう(3) アセットクラス間のリターンの相関係数
・2015/10/18 自分のアセットアロケーションの損益ってどうなの?という検証ツール@(一括投資の場合) おすすめのアセットアロケーションを考えよう(4)
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