2015年09月12日

「やり直し相場ではじめるETF超入門」週刊東洋経済(2015年9月19日号)を読み解く

週刊東洋経済(2015年9月19日号)の特集では「やり直し相場ではじめるETF(上場投資信託)超入門」というタイトルで、p56〜p97の21頁にわたりETFに特化した特集記事が組まれました。
週刊東洋経済 2015年 9/19号[雑誌]

東洋経済新報社 (2015-09-14)


私は10年位前からETFを資産運用の投資ツールとして活用してきましたが、当時は情報も少なく、日本で上場する国内ETFはラインナップが少なく、ネット証券でアメリカで上場している海外ETFがようやくちらほらと扱われ始めた時でした。
現在では徐々に個人投資家に浸透してきてはいて、投資になじみのある人には存在が知られてきましたが、まだまだ一般には知られていません。
ETFというのは、投資家にとっては便益のある金融商品ですが、金融商品の販売業者・運用会社にとっては儲からない商品であるため、資産運用をビジネスにしている人たちにとって「知られては困る商品」だからです。
ついに経済誌での特集の目玉にまでなったのかと思うと隔世の感があります。もともと週刊東洋経済や週刊ダイヤモンドの定期的な資産運用特集では毎回ちょこっとETFの紹介はされてきましたが、ETFが中心的に扱われるようになったのか、と。

さらに、ETFを活用した資産運用法の基本から商品の紹介、ETFにまつわる金融界のトピックなど、非常に充実した内容でした!

今回は、東洋経済(2015年9月19日号)ETF超入門を読み解いていきたいと思います。
記事の内容の紹介とともに、「→」部分は筆者(私)のコメントです。

Part1 市場動向こそ好機 完全入門!今なぜETF投資か(p58-61)
Part1では、6つのETFのポイントが挙げられています。
1.下落相場に強い 国際分散投資に最適
「一昔前なら年金基金など機関投資家しかできなかった国際分散投資がいとも簡単に個人でもできる時代が到来している」。
国際分散投資の考え方は、株式・債券の個別銘柄ではなく各資産分野の多数の銘柄を分散して組み込んだインデックス(指数)に投資することにより、個別企業の将来性に賭けるのではなく、資本主義市場や世界経済の全体(平均値)に賭けるものであると紹介されています。
そんな中で、8月下旬の下落相場でも当初決めた資産配分に沿って少しずつ積み立て投資をしていくという投資家が紹介され、@自分のリスク許容度に沿って国際分散ポートフォリオを組み、Aそれにより長期投資でリターンを狙う(バイ&ホールド)という投資スタイルが示されています。
一例として、MSCI ACWI(配当込み)(先進国23ヵ国・新興国23ヵ国を組み込み全世界の株式85%をカバー)はITバブル・リーマンショックを乗り越え、長期的に安定したリターンと下落相場からの強い復元力があると説明されています。(過去20年間の年率上昇率は6.9%とグラフとデータがありますが、円建てかドル建てかの記載がありませんでした。)
→ETFというのは指数をパッケージに商品化したものであるため、国際分散投資のツールです。株式の価値は世界経済の発展と成長に伴い増加していきます。世界経済の長期的な成長に乗っていくべく、一時の下落相場でも継続的にホールドあるいは買い増ししていくことで、果実を生むということです。また、ETFでの国際分散投資は長期投資志向に合致しやすいものです。

2.圧倒的な低コスト 長期投資で最大の武器
投資信託よりもETFの方が信託報酬(コスト)が安いことが紹介されています。おおよそ、ETFは0.5%程度コスト面で有利であると例示されています。
→投資家にとっては、同じ中身であれば、投資信託(インデックス投信)でもETFでも、大ざっぱには、基本的にはどちらでも良いと思います。近年では、インデックス投信のコストもかなり引き下げられてきたため、必ずしもETFが0.5%程度有利とは言えないと思いますが、個別のアセットクラスの投資対象の選定にインデックス投信とETFは並列で検討すれば良いものと思います。
長期投資により資産形成をしていくには、コスト差は確実な利回りの差を生みます。30年複利では1%の差で1.35倍、0.5%の差で1.16倍の差異になります。どの程度が気にするほどの差であるかどうかは個々人の判断で、分配金の再投資や税金も考慮し、どこまで突き詰めていくかということになりますが、長期になればなるほど差は大きくなります。

3.短期売買も得意 レバレッジ型、VIX連動が急増
長期投資目的ではなく短期売買(トレーディング目的)でのETF活用として、長期的な分散ポートフォリオをコア、一部の余裕資金を使った短期売買益狙いをサテライト(衛星)とする「コア・サテライト戦略」による紹介がされています。
レバレッジ型(指数の2倍などの値動きをする。例えば、日経平均がその日に10%上昇したら20%上昇するような仕組み)、インバース型(指数の逆の値動きをする。例えば、日経平均がその日に10%上昇したら10%下落するような仕組み)のETFは日本では人気で、8月下旬からのマーケット変動時にレバレッジETFの買いが急増しました。VIX(恐怖指数)に連動するETFも紹介され、VIXインバース型ETFの売買高も足元で過去最高を記録しました。
→日本では日々の売買ではETFはレバレッジ型が人気です。ボラティリティに対してより高い投資リターンを狙うには良いのでしょう。私には、レバを掛けて短期売買するのに、なぜ先物ではなくレバレッジ型ETFを使うのかよく分かりませんが(*)、マーケットの変動が大きい時ほど出来高が増える傾向があります。東証の出来高ランキングでも全ての個別銘柄を抜き日経平均レバレッジETFがトップだったりしています。
(*)p72では、225先物ではなくレバETFを使うアクティブトレーダーの声として、現物株口座と先物口座を別個に開き2つの口座にまたがってトレードするのは管理も資金移動も面倒で、レバETFだと現物株取引と同じ1つの口座で完結できるので便利という声が紹介されています。

4.高い優良株不要 同じ成績で紙くずになる危険もない
国際優良株は、最低売買単位が数十万円になります。例えば、トヨタは約80万円、ファナック200万円、武田薬品工業55万円であり、100万円程度からの投資にはハードルがあります。日経平均ETFなら約2万円から購入可能ということで、分散投資により個別リスクもなく、少額から投資が可能という点が紹介されています。
→少額から分散投資が出来るという点は、ETFの便益の1つです。個別企業は優良だと思っていても不測の事故などが万一でも起きると大きく値を崩す可能性があり、個々の企業のリスクを限定的に出来る点が分散投資のメリットでもあります。一方、分散投資は逆に個別企業の成長により大きく値を上げることもありません。
実は私は、20〜50銘柄程度のポートフォリオの方がインデックスより面白みがあるとは思っています。ただ、これは、個別の分析をしっかりやらないといけないので、「仕事」でないと難しいかなと思います。

5.簡単・格安に取引 ネット証券でいつでも売買
ネット証券で株式の売買をしたことがあれば、ETFも株式売買と同じように取引が出来ます。手数料も株式と同じように安く、一部では無料で、海外ETFも比較的手頃な手数料で購入できることが説明されています。
→ネット証券での売買が出来ない人(やろうとしないという方が正しいかもしれませんが)もいるんですけどね・・w

6.投資対象が多様化 新興国や商品、債券にも投資可能
2015年8月で国内に上場するETF(ETN含む)は218銘柄で、この2年半で約1.5倍になっています。カバーする投資対象も、外国株の各国指数、債券、レバレッジ・インバース型など多様になっています。
→数年前までは、国内ETFは商品ラインナップが少なく、また相対的な手数料を考慮すると、米国上場の海外ETFが有利だなというアセットクラスが大半でした。近年は商品ラインナップも少しずつ重質してきており、おおどころの指数で、個人投資家レベルで流動性もあまり気にしなくて良い程度ですと、国内ETFもだいぶ投資対象として検討に値するようになってきたと思います。

○1000人アンケート
30代以上1079人にアンケートをしたようです。
・ETF投資をしているか、YESの場合の運用資産額
1億〜10億が20〜25%の間、5000万〜1億が35%
→本当か?と思いましたが・・。お金持ちに絞ったアンケートなんでしょうか。。
・国際分散投資をしてみたいですか
してみたい(すでにしている) 34%
してみたくない 27%
わからない 39%
→それなりにニーズはあるようです。
・してみたい(すでにしている)人を対象に 国際分散投資を行う上でのネックは何ですか
上から順に「海外は知らないことが多いので怖い」「大手証券会社では手数料が高い」「どのようにやったらよいかわからない」「投資運用金額が小さいのでできない」といったあたりのようです。
→やり方を知らない、分からない、という人が多いことが窺えます。
「投資運用金額が小さいのでできない」というのは私の周りでも20代・30代のビジネスパーソンからよく聞く声なのですが、「数万円から出来るのだから、資産運用は慣れることと経験値が重要なので、将来業者にカモになるようなことになりたくなければ、むしろ投資運用金額が小さいうちに始めなさい」というのがASK資産運用実践研究会の指針です。

○データ解説 ITバブル崩壊、リーマンショックで起きたこと 国際分散投資は暴落相場を乗り越えた(p62-63)
チャート図は誌面をご覧頂くのがよろしいかと思いますが、2つのチャートが示されています。
1つは、1990年からの国内株式と海外株式・債券の比較チャートで「25年間で国内株マイナス、海外は年率9%で成長」と説明。(円換算という記載がどこにもないので気になりましたが、もし通貨が別々だったらちょっと酷いチャートになります。さすがに円換算したものかなと)
もう1つは、1987年度末からの国内株式・国内債券・外国債券・外国株式の各ポートフォリオを示しています。1987年度末以降、国内株式のパフォーマンスはほぼゼロ、国内株式・国内債券・外国債券・外国株式の各資産25%ずつの均等ポートフォリオだと4.5倍になっていることが示されています。
日本はデフレや低成長に伴い日本株の長期投資はパフォーマンスが良くなかったことが、日本人が投資を敬遠する傾向に大きな影響を与えていると分析し、海外株・債券や、国内債券・外国債券・外国株式とのポートフォリオであれば、運用成果が出ている、また、各アセットクラスをポートフォリオに組み込むことで、リスク低減になることが説明されています。
→投資と言えば株式投資、株式投資と言えば日本株、という人は多いので、日本株と他のアセットクラスに焦点を当てた説明をしたのかなと思いました。

○10分で学ぶETFの基礎知識(p64-65)
ETFってどういうもの?という人のための項目の説明がされています。詳細は誌面をご覧ください。
Q1 ETFの仕組みはどうてなっている?
原資産を分別管理し投資家を保護
Q2 信託報酬はなぜ安い
販売会社への手数料が不要だから
Q3 誰が買っているのか
個人投資家から銀行、ヘッジファンドまで
Q4 上場廃止になったらどうなるのか?
ごく一部の例外を除き「紙くず」にはならない(純資産総額(NAV)を基にした基準価額で償還される)
Q5 連動する指数との価格乖離は?
ありうる(トラッキングエラー)。それの小さいETFが優秀
Q6 ETFの売買で参照すべき価格は?
リアルタイム基準価額(ETF基準価格のリアルタイム推定値と呼べるインディカティブNAVが東証のウェブで公開されている)。低流動性のETFは×(流動性が低いと市場価格と純資産総額(NAV)が乖離しやすくなる)
Q7 為替リスクはないか?
海外の株式や債券、商品等のETFにある(円建てで売買できても投資対象の通貨の影響を受ける)
Q8 分配金で投資資産は目減りしないのか?
投資信託のような「タコ足分配」は禁止(投資信託と異なり元本の払戻しはない。ETFでは期間収益を超える分配金の支払いは認められていない)

Part2 達人に学ぶETF投資術(p66-71)
「どの銘柄を選ぶかより、まとまったおカネをどの地域のどの資産に投じるかのアセットアロケーション(資産配分)が大事。米国の投資教育では当然のこととして教えられるが、日本では十分伝わっていない」という沼田優子・明治大学特任准教授(米国の個人向け金融サービスの研究を専門)のコメントが掲載されています。
ETF投資の4ステップが紹介されています。(p66)
@自らのライフスタイルや価値観を勘案しつつ投資戦略を考える(ex.最低5年後、なるべく安全に、1~2割増やしたい)
A資産・地域の配分を決める(世界の中から、現金、株式、債券、不動産、商品といった資産を選択)
B銘柄を選ぶ(商品選定)→流動性、コスト、資産規模が大事
C定期的なポートフォリオのリバランス(たまにポートフォリオを見直す)

達人の4名の予算100万円のポートフォリオ(銘柄名も含む)が推奨されています。ポートフォリオの比率や選択した銘柄の詳細は誌面をご覧ください。

・カン・チュンドさん(普陽FPオフィス)〜世界経済の成長に乗る王道の国際分散投資
特定の地域や資産特有のリスクを極力避け、世界の資産に平均的に投資することが基本コンセプトとされています。
米国の資産運用の世界でポピュラーな比率であるとし、株と債券の比率は6:4としています。債券は価格変動を抑えるため。株、債券、現金で世界の資産時価総額の98%を占めるので、あえてREITやコモディティは入れなくてもいいとの見解です。
株式はGDP比で日本10%、先進国55%、新興国35%。(時価総額比にすると新興国を過小評価)
また、出来高が少ないETF(特に国内ETF)は手を出さないことが注意で信託報酬や分配金の大小はその次に考慮する、最低1年に1回はリバランスをするべき、としています。
→一般的なアセットアロケーションというお題がそもそも答えようのない難しいテーマですが、読者のニーズは何をどう買うかという答えになってしまうので、こういう誌面では必ず出てきます。
カンさんの推奨ポートフォリオは基本に忠実なお手本のポートフォリオであるなと思いました。

・浅川夏樹さん(「銀座 八千花」オーナー兼個人投資家) 〜下落ヘッジ+高分配金で鉄壁
分配金を手堅く稼げて、かつ相場下落に強いポートフォリオがコンセプトとされています。
米国株45%、米国債券35%、株下落ヘッジ10%、債券下落ヘッジ10%というポートフォリオです。米国株は高配当(VYM)、ヘルスケア(XLV)、公共事業(XLU)、ナスダック(QQQ)、債券は米国物価連動債(TIP)、米投資適格社債(LQD)、株下落ヘッジはVIX短期先物指数(1552 日本)、債券下落ヘッジはProSharesウルトラショート20年超国債(TBT 米)を組み入れるようです。
→これは「通」なポートフォリオで、ユニークで面白いですね。
市場は米国市場に集中するというのも独特かなと思います。米国経済が長期的に強いと思っていらっしゃるのでしょう。
VIX短期先物指数(1552)などは仕組み上で時の経過で減価していくので長期投資向きではありません。ヘッジで長期的に保有するというよりは、売買をどうやるかがかなり難しいので、私ならヘッジ部分は「待機資金」にするかなと思います。このへんは投資スタンスの問題かな。
浅川さんは、「ETF 世界を舞台にした金融商品」(2009/8)など、資産運用の本も書かれているようです。

・深野康彦さん(ファイナンシャルリサーチ 代表) 訪日客「爆買い」はこう狙え
日本の投資機会は外需株式会社よりインバウンド消費などが期待できるディフェンシブ系の内需株にあり、サテライト戦略の投資法としてのポートフォリオ提案がコンセプトとされています。
日本株のセクターETFで、食品、医薬、運輸・物流、小売のポートフォリオで、運輸・物流、小売が厚めに提案されています。
また、編集部の追記か深野さんのコメントか分かりませんが、東京五輪特需への期待が出来る投資対象として、日経平均に加え、セクターで建設・資材、銀行、不動産、東証REIT指数によるポートフォリオが示されています。
→これもユニークなポートフォリオですが、「サテライト戦略」との通り、日本株とセクターを絞った提案です。
編集から「一般的なアセットアロケーションより、独特な提案をしてくれ」というオーダーがあったのでしょうか?

・渡邊雅史さん(お金のデザイン チーフETFストラテジスト) 成長、配当、物価ヘッジで勝つ
グロース型、インカム型、インフレヘッジ型という3機能に応じ、グロース、インカム、インフレヘッジのそれぞれに着目した3つのポートフォリオ案が示されています。
グロース型は成長期待のポートフォリオで、米国株を50%で、指数S&P・NASDAQ、米国株中小型株を組み込み、米国株除く先進国指数(VEA:バンガードFTSE先進国(除く米国))35%、新興国(VWO)15%、フロンティア(FM)5%。
インカム型はインカムゲインである利息・配当を重視したポートフォリオで、米国債券、ハイイールド債、シニアローン、米優先株(PFF)で構成。ハイイールド債については、HYGはiシェアーズの定番商品で、信用リスクは高いが約1000の構成銘柄があり特定の1社がデフォルトしても影響は限定的としています。また、米国以外のハイイールド債IHYも紹介されています。
インフレヘッジ型は、コモディティや不動産などの実物資産と通貨資産に比重を置きインフレリスクをヘッジするポートフォリオで、国債(物価連動国債)70%にコモディティ15%、REIT15%となっています。
→渡邊雅史さんはもともとブラックロックでETF事業に従事したETFのスペシャリストの方で、紹介されている内容は、お金のデザインのサービスで実際に行っている提案ポートフォリオに則ったグロース型、インカム型、インフレヘッジ型の3機能ごとのポートフォリオです。各機能のどこに重点を置くかは個々人の年齢・職業、資産構成・収入状況、将来プランと資金計画によってだいぶ変わると思いますが、各機能内のポートフォリオはプロっぽい感じで参考になります。
インフレヘッジ型は、円のインフレヘッジというよりドルのインフレヘッジのようにも見えます。インフレヘッジは、リスクを取れるのであればグロースへの配分でカバーできる気がするし、よほどの富裕層で資産を殖やすよりは減らさないようにしたいという守り主体で良いというような方でなければ不要な気がしないでもなく、どこまで考慮する必要があるのか、という点は私の今後の研究テーマにしておきたいと思います。
(参考)2014/12/21 (株)お金のデザインの新サービス「ETFラップ」の説明会に行ってきました。
http://money-learn.seesaa.net/article/411045614.html

○レバレッジ・インバースの衝撃 メガバンク、トヨタ株を超える大商い(p72-73)
日本の株式市場でもはや主役になっているレバレッジETF、インバースETFが紹介されています。
8月28日には日経レバETFの純資産総額が設定上限7000億に想定外のスピードで近付き、新規設定を一時停止にする事態も起きました。
また、ボラティリティインデックス(VIX)に連動するETFも人気が出ていると紹介されています。
記事内では、レバETFは数日程度の短期売買向けで、レバレッジ・インバース型には「複利効果」という性質があり、前日比で見た時の変動率は基準指数の2倍になっても、2日以上のスパンで見ると2倍になるとは限らず、投資期間が長期になるほど基準指数の2倍になるというレバレッジ型の特性が薄くなるが、日経平均が先々2倍になるとレバETFも2倍になると誤解している投資家が多く、留意をして欲しいと言う東証の中の人の声が掲載されています。レバレッジ3倍のETF導入には慎重な姿勢のようです。

○著名投資ブロガー 水瀬ケンイチのポートフォリオの組み方 自分で耐えられる最大損失額をまず決めよ(p74-75)
と、ここで、ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」の水瀬ケンイチさんの解説が登場!
・水瀬さんのブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)
http://randomwalker.blog19.fc2.com/

下記のような内容が2頁にわたり詳しく解説されています。アセットアロケーションの考え方や手順の基本が分かりやすくまとまっています。
・銘柄選びや売買タイミングよりアセットアロケーションの方が重要
・リスク(標準偏差で図られる資産価格の変動率)と期待リターンを過去データや年金基金の算出数字(誌面ではGPIFの推計値が参照)から、リスク許容度=耐えられる最大損失額を「毎年○○万円まで」とハッキリ把握し、その範囲内におさまるようにアセットアロケーションを決める。自分が欲しいリターンから逆算してアセットアロケーションを決めるのは間違いのもとになる。
・最大損失額は投資金額×(期待リターン − 2×標準偏差)で計算する。
・アクティブ投信は運用管理費用(信託報酬)が高く、せいぜい年数%程度のリターンを目指す分散投資には向かない。将来のパフォーマンスは不確実であるのに対し、コストは確実にパフォーマンスを引き下げる。
・自己責任の上、ネットで無料公開されているサポートツールも紹介。
@ファンドの海 長期投資予想/アセットアロケーション分析
http://guide.fund-no-umi.com/tools/aa.html
Aわたしのインデックス 資産配分ツール
http://myindex.jp/user/myaa.php

→水瀬さんは、初心者向けに分かりやすくインデックス投資を解説した本も出版されています。
・(関連記事)2015/7/25 [感想・書評]全面改訂 ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド 山崎元 水瀬ケンイチ/著
http://money-learn.seesaa.net/article/423002177.html

Part3 徹底解剖!ETFの投資対象 相場激変でも慌てない(p76-87)
代表的なアセットクラス別のETFが紹介されています。(p76-83)
・国内株
・国内ETFのスマートベータ(スマートベータは企業の財務指標や株価変動率などの要素で銘柄を選別し、市場平均以上の成績を目指す)
・海外株
・債券
・コモディティ
・REIT

○次のバブル崩壊はETFが引き金か?(p84-85)
世界のETF残高はリーマンショック当時の4倍の360兆円に迫るまで大きくなっています。
欧米でブームのETFが次なるバブル崩壊の引き金になるリスクが指摘されています。

リスク1 裏付けの原資産を持たず、金融機関の信用リスクを含むものがある
ETN(上場投資証券)、リンク債型ETF、OTCスワップ型ETFなどでシンセティックETF(合成ETF)と呼ばれる種類のETFやETNは、原資産の代わりにリンク債に投資し指数との連動を保証する形になっていたり、デリバティブ型には契約先の金融機関があり、その金融機関が破綻すると指標との連動が不可能になり、純資産額と基準価格、それを参照とする市場価格が暴落するカウンターパーティー・リスクがあります。何らかの混乱時にカウンターパーティー・リスクが金融のシステミックリスクへ連鎖する可能性がある、と解説されています。

リスク2 ジャンク債など流動性の低い原資産を組み込んだETFの拡大
ハイイールド債、バンクローンなどのジャンク債、レバレッジドローンを組み込んだ高利回りETFは残高が増えています。また、信用リスクの上昇により利回りが急に上がり価格が急落の際に、売りが増え、一部では現物市場で流動性に難のあるものに価格が付かない状態になると、基準価格算定不能→市場価格暴落→さらなる投げ売り、という連鎖の可能性がある、と指摘されています。

リスク3 レバレッジ・インバース型ETFやVIX連動ETFは純資産が徐々に目減りする
これらは減価する性質があり、短期売買向きであることを認識する必要があります。
また、指数先物が原資産になっており、一部の先物市場は低流動性で、リスク2と同様の可能性をはらんでいる、と指摘されています。

→私もあまり知らなかったり、認識の薄かった内容も含まれていて、参考になりました。
これらのリスクを認識し、リスクの顕在化に何か予兆をキャッチした際には、慎重に動いて行こうと思います。

○日本人が知らないETF大手の正体(p86)
ETF運用会社の大手3社はアメリカの独立系運用会社で、これらの運用会社3社について紹介と解説がされています。

2015年6月でのETF大手ランキング
1位 ブラックロック(iShares) 運用資産 1兆951億ドル ETF本数 773 シェア 37.3%
2位 バンガード(Vanguard) 運用資産 4943億ドル ETF本数 118 シェア 16.8%
3位 ステート・ストリート(SPDR) 運用資産 4394億ドル ETF本数 239 シェア 15.0%

○ETF大国米国では独立系アドバイザーが活躍(p87)
沼田優子・明治大学特任准教授による解説です。
ETF市場における個人と機関投資家・事業法人の保有割合で、アメリカは個人が42%ですが、日本は7%にとどまります。残高もアメリカが2兆ドル(約240兆円)であるのに対し、日本は10兆円です。
これの背景には、米国証券リテールの新潮流があります。
米国証券業界は、資産管理型営業を標ぼうし、投資アドバイス能力を高度化させてきて、p66で紹介した4ステップによる提案がされ、運用収益が低下してコスト意識が高まる中で資産配分重視により商品選択はETFが選ばれるという考えが広まりました。
また、RIAという投資一任サービスを提供する独立アドバイザーが率先してETFを顧客へのアドバイス対象に組み入れたり、ETF版のファンドラップのようなロボアドバイザーというビジネスの登場、ETF専門の投資顧問業者であるETFストラテジストがETF投資の一任サービスを営業担当者に提供する、などのビジネスが拡大したことが解説されています。

→沼田優子さんは、野村資本市場研究所の研究員から2012年に現職に就かれたそうです。
野村資本市場研究所では、アメリカで広がる独立系アドバイザー(IFA)ビジネスの研究をされていて、いくつかの研究成果はウェブでも公開されています。私もかつて、一通り拝読させて頂き、大変参考になりました。
・野村資本市場研究所
http://www.nicmr.com/nicmr/report/author/rp_numata.html

日米では、マーケット環境の違いや法整備が異なるためという要因も大きいのですが、日本では、長期的な資産運用を志向し、コストとベネフィットが見合う資産運用のアドバイスを提供するサービス及び提供者がほとんど存在しません。顧客との対面でETFが勧められることは、ごく一部の例外を除いてありません。
なお、日本で「IFA」という職種が最近少し出てきていますが、独立系アドバイザー(フィービジネス:資産残高に応じて報酬を受け取る=顧客資産を殖やし長く関係を続けることが収益になる)ではなく、独立系証券マン(コミッションビジネス:取引手数料や信託報酬を収益源とする=たくさん売ることが収益になる)ですので、どちらが良い悪いではなく、概念が異なりますので念のため付言しておきます。ただ、日本の証券業界・保険業界・不動産業界では、コミッションビジネスをする者がアドバイザーを名乗るケースが多く見られます。なぜかあまり突っ込まれませんが、本来はフェアではありません。
(このあたりの研究成果も、今後、当ブログで発表していくかもしれません。)

Part4 買ってよいETF ダメなETF 主要銘柄を徹底評価(p88-97)
国内ETF、国内証券会社を通じて買える海外ETFの236銘柄が厳選、資産規模・流動性・コスト・分配金利回りなどが一覧になっています。ETFにどのような商品があるのか、ETFに投資したい場合の選定の際の参考データとして活用できます。

週刊東洋経済 2015年 9/19号[雑誌]

東洋経済新報社 (2015-09-14)


【関連記事】
・2015/8/8 海外ETFのネット証券大手3社の残高ランキング ダントツ1位はVTで残高299億円、上位20本の合計残高は1178億円
http://money-learn.seesaa.net/article/423812856.html
・2015/7/11 インデックス商品(ETF及び投資信託)による長期志向でのグローバル分散投資のメリット・デメリット
http://money-learn.seesaa.net/article/422197628.html
・2014/12/23 モーニングスターETFカンファレンス2014に行ってきました。2015年の投資スタンスは「用心深く、楽観的に」(朝倉智也社長)で
http://money-learn.seesaa.net/article/411149960.html






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