2015年07月20日

[感想・書評]勝つ投資 負けない投資 片山晃(五月) 小松原周/著

「勝つ投資 負けない投資」(片山晃(五月)・小松原周 2015年)を読みました。
著者は、バイトで貯めた65万円の資金を10年間で25億円にまで増やしたスーパー個人投資家・片山晃さんと、徹底したリサーチと業績予想に基づき投資判断を行うファンダメンタリストで大手資産運用会社にて現職のファンドマネージャー・アナリストを務める小松原周さんで、別々にパートを設け、それぞれの投資観が記されています。
数十億の資産を作った個人投資家と大手運用会社のファンドマネージャーの2人が投資のコンセプトを主眼とした内容で、カジュアルでさらっと読めばよく、結果を出している投資家が書いているということが目玉かなと思います。
アマゾンレビューでは叩かれていますが、基本的には投資初心者向けです。個人的には、片山晃さんの章は、デイトレーダーから長期投資家、個別株投資家からインデックス投資家まで、投資の考え方について、あらゆる「投資家」が読んで得るものがあるかと思います。アクティブ投資家でなくても、自分には真似できないからインデックス投資家になろう、というのもまた気付きかもしれませんし、どのような運用手法であっても、マーケットを知ることと、マーケットのプレーヤーを知ることは大切です。

勝つ投資 負けない投資
片山 晃(五月) 小松原 周
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
売り上げランキング: 3,036

初版発行日 2015年5月21日
全223ページ ・ソフトカバー

片山晃さんは、ネット上では、五月(ごがつ)のペンネームでも知られています。また、2013年から1年間ほど、ひふみ投信を運用するレオス・キャピタルワークスで機関投資家業務もしていたことで知られています。
「東証Project」というブログを運営しています。
・「勝つ投資 負けない投資」 出版しました(2015/5/16)
http://blog.livedoor.jp/love_aeria/archives/51914682.html

小松原周さんは、大手資産運用会社に勤めているということなので、コンプラの関係などだと思いますが、個人情報は公開されていません。
「仙人の祈り」というブログを運営しています。
・【告知】「勝つ投資 負けない投資」(2015/5/1)
http://senninn.blog.fc2.com/#entry702

担当分けがされていて、前半は「勝つ投資」というパートで片山晃さん(p36-p103)、後半は「負けない投資」というパートで小松原周さん(p108-216)です。
著者たちは、「これまでにない誠実な投資本にしよう」というコンセプトで、具体的な手法などよりは投資の考え方、向き合い方などが内容の多くを占める作品にしたと語っています。
一方、本としてはニーズがありそうな、個別の投資手法(いつ何に投資をして儲けたのかという具体例)についての言及はほとんどなく、読み手によってはこれを読んでも勝てるようにならないじゃないか、という意見があることも承知の上だということで、そこにこそ投資の本質があるからだという趣旨とのことです。
片山晃さんは最近、雑誌や新聞などへの露出がちょいちょいあるので、トレーディング内容を知りたければ、そういう記事を読んだ方がいいかもしれません。スマホ広告の黎明期にファンコミュニケーションに張ったなど、個別のトレードについてもインタビュー記事で読んだ覚えがあります。

片山晃さんのパートは、ネトゲ廃人からデイトレーダーになり、割安株投資へと投資スタイルを変化させていった変遷や、投資についての考え方が書かれていて、味わい深い洞察がありました。
「どんなやり方が向いているかは人それぞれ」「かけられる時間と情熱によって取れる手法が決まる(=片山さんと同じようなやり方をするのならそれなりの時間と情熱を注ぐことを覚悟する)」「大事なのは「変化」と「想像力」」「「いつか上がるかではなく「いつ上がるか」「チャンスは平等にはやってこない。大きく勝つにはチャンスに対して大胆にリスクを取っていく」「数字の先にあるストーリーを見る」など。
投資の考え方それ自体は特別な事が書かれているわけでもないと言えばそうで、同じようなことを言うことはある程度の経験者なら出来そうですが、実際に勝ち続けている投資家が語っているということに意義があります。本質的な事柄が書いてあるので、内容を「分かっている」と言うのと、本当に「腹落ち」しているのとでは、天と地の差があり、その差が「自分が見えているもの」の差になって、パフォーマンスを上げ続けながら長期的に生き残るかどうかに鍵なのかもしれません。

個人的に目を引いた箇所は、時間も情熱もかけられない、地道な作業が向いておらず、値動きを読んでトレードで勝つほどのセンスもなさそうだという人は、投資には向いていないので他の分野に目を向けた方がいいというアドバイスとともに、それでも投資で勝ちたい人への3つの選択肢です(p49-50)。
1.あまり適性がない事を自覚して、無理のないリターンを上げる手法を磨く
2.信頼できるプロフェッショナルを見つけ、自分のかわりに運用してもらう
3.投資で勝つために自分自身を殺し、勝てる性格に少しでも近づける

私は、情熱はなくはないですが、本業が別にあるので時間がないのと、マーケットの波に乗る事が得意ではない・個別株トレードで思いっきりリスクを取っていくのに似合わないというので、現状では長期志向のグローバル分散投資という「1」に近い状態になっているのかなと思いました。

小松原周さんのパートは、どちらかというと株式投資の基本です。株式投資をしたことがない人、経験が浅い人向けといった感じです。
だいたい、レオス・キャピタルワークスの藤野英人さんが言うのと同じような内容です。あまりにも似ているので、これは実は藤野さんのペンネームなのか、というくらい頭が混同しましたが、確かな筋から確かめたところでは、藤野さんの弟子のような人らしいです。弟子なので限りなくポリシーが近いのだなということで理解しました。

また、アマゾンレビューが荒れているのは、片山さんのブログで、「Amazonへの開示請求とレオス在職中の資産増加について」(2015/6/14)という記事にあるように、色々なやっかみなどがあるようで、このあたりの対応への反発などもあるようです。
足元では25億円より資産額が増えているようで、カブドットコム証券の評価額と、未上場株が数億円、現預金、貸付金、その他資産で数億円あり、合計すると30億円の中盤が2015年6月現在の資産額だということです。





posted by ASK at 18:04| Comment(1) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お邪魔させて頂きます。

トラックバックお願いします。
宜しくお願いします。
Posted by ホロコサン at 2015年11月05日 07:42
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/422695693
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック