2015年05月04日

宝くじを買うことは経済合理的に正しい事である2つの理由【宝くじの経済学】

ちょっとした学のある人なら、宝くじは胴元(国)が半分を持っていき、残りの半分を分配する仕組みであるから、実に割に合わないギャンブルであるという話を聞いたことがあると思います。
いわんや、「宝くじは貧乏人に課された税金」「貧乏税」などとも言われます。貧乏人に夢を買う機会を与えることにより庶民の不満のガス抜きをするためのものである、期待値が半分の宝くじを買って期待に胸を膨らましているような奴は情弱でバカな愚か者である、と。

本当にそうでしょうか?

まず、基本データの確認のため、宝くじの還元率について調べてみましょう。
法律では、当せん金付証票などと言われるらしいですが、ギャンブルが禁止されている日本では、特別な法律(当せん金付証票法)でもって運営されているのが宝くじです。
総務省の資料によると、払い戻し率(還元率)は45.7%となっています。他、還元率は、競艇74.8%、競輪75.0%、オートレース74.8%、競馬74.1%となっています。国営ギャンブルの中でも、宝くじは実に割に合わない設定がされているように見えます。
(出処)総務省「宝くじ・公営競技・サッカーくじの実効還元率」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000084191.pdf

少し古い平成20年のデータですが、現在でも大差はないでしょう。
総務省の資料によると、払戻金は発売総額の100分の50以内と法律で定められているようなので、宝くじの当選の期待値は必ず50%以下である、と言えます。

つまり、宝くじを1万円分買った場合、返って来るお金の期待値は5千円以下(4570円)なのです。
確かに、宝くじは、買えば買うほど期待値でお金を減らすことになる損で愚かなマイナスサムゲームの経済行為に見えます。深く考えずに期待値だけで捉えると、宝くじを買うのは損であるので賢い人であれば買うべきものではないという主張は正しいように思えます。

宝くじが当たるのは、実際にどれくらいの確率なのでしょうか。
当選金の高いジャンボ宝くじの愛称で親しまれている宝くじは、年に5回発売される大型の宝くじです。
年末ジャンボ宝くじは、平成26年度実績で、1等の当選金額は5億円、1等の前後賞は1億円で、1等・前後賞を合わせて7億円が当たる可能性があります。
また、発行枚数は4億9000万枚(49ユニット)で、1等本数は49本です。1等が当たるのは1000万枚に1枚で、確率にすると0.00001%です。確率が低すぎてよく分かりませんが、1枚300円なので、10万枚を3千万円分購入すると、1等の当選確率が1%になる計算です。
ちなみに、2等でも2000万円、3等でも100万円が当たります。2等は組・番号まで一致が必要だが2番号の当選があり500万分の1(0.00002%)、3等は各組共通なので少し可能性が上がり10万分の1(0.001%)という当選割合です。

ここで考えなければならないのは、まあ、ほとんど当たらないわけですが、7億円が当選する機会は確かに存在するということです。
7億円を手にすれば、平均的な会社員の生涯所得のおよそ倍のお金を一瞬で手にすること出来ます。
7億円あれば、税引き後1%の年間利回り目標で資産運用しても700万円が毎年入ってくることになりますから、無理をしなければリタイアあるいはセミリタイアが可能です。

重要な事は、普通の人が通常に仕事・生活をしていて、7億円を手にすることができるかもしれない機会はない、ということです。7億円というのは、欧米の大企業のCEOや投資銀行のトップ等の成功者が年収で手にすることが出来るような、それこそ1000万人に1人よりは少し多いけど、そうは変わらないというような可能性です。

宝くじは、そんな一般庶民が一気に「あがり」に行ける希少なチャンスです。
一般庶民の目の前に現実としてこのような機会があるのに、トライすることは愚かなことなのでしょうか。
宝くじは買わなければ絶対に当たらないのです。確率が高いか低いかではなく、現実に起こる可能性があるかないかが重要なのです。

愚かで問題なのは、当選する確率はほとんどないものに期待することで、「当選したら何を買おうか」と不毛な夢を見たり、赤字だったとか、しょぼい賞が当たって元が取れたとかで喜んだり悲しんだりすることなのです。
よしんば、どこの発売所では当たる可能性が高いとか言って、わざわざそこで買うようなオカルト的な行動に走ることです。

何も期待せずに、未曽有のチャンスに対して、失っても全く痛くない金額を粛々と賭け続けることは、経済的に不合理だとは私には思えません。
また、「あがり」には確率よりも金額が多い方がいいわけで、ほぼ当たらないものに賭けるわけですから、当たった時には前後賞を合わせるべきで、連番にした方がいいでしょう。




もう1つ大事な要素は、宝くじの当選金の7億円には所得税を課さない(当せん金付証票法第13条)ということになっていることです。
通常、多額のお金を手にしたらガッポリと税金を持っていかれます。日本は成功者に懲罰的な税金を掛けて、一定の成功者にさらに上に行こうという気を萎えさせることによってマクロ的な経済発展を目指すよりも出る杭を打つという政策を取る国です。
そんな日本で、7億円のキャッシュインに税金が掛からないなんて、それこそ夢のようなことです。
大企業のCEOが7億円稼いだり、相続で7億円の遺産を引き継いでも、所得税や相続税で50%超の限界課税です。つまらない計算をしてみると、年間所得7億円の所得税(復興特別所得税除く)は7億×55%−4,796,000円で約3億8020万円、別に住民税が10%で7000万円が掛かりますから、手取りは2億5000万円を切ります。リッチな親から相続でキャッシュを7億円もらっても、相続税は7億×55%−7,200万円=3億1300万円掛かりますから、手取りは3億7800万円です。
ちなみに、宝くじ以外の公営ギャンブルである競馬等には税金が掛かります。例えば、競馬は一時所得なので課税所得が1/2になりますが、宝くじが他のギャンブルに比べて還元率が低いから割に合わないという話もたまに聞きますが、税金も考慮して議論をすべきです。それこそ大当たりでもしない限り競馬の儲けを申告する人なんて少数でしょうが。
税金を考慮すると7億円を得られる期待値はより高いという算定も出来そうですが、確率が1000万分の1でも500万分の1でも、まず起きないという点では、細かい議論は不要でしょう。

つまり、「あがれる」チャンスが現実にあり、所得税も合法的に掛からない、という理由から、宝くじを買うことは経済合理的に正しい事であるというのが本エントリーにおける結論です。
こんな庶民の救済策の国の粋な心意気に、わずかな雲の糸を掴もうじゃありませんか!

ちなみに、私は宝くじを買ったことはありません(笑)。
理由は、当選確率があまりにも低いため、宝くじを買ったり当選番号を確認する作業の労力が期待収益を上回ってしまうためです。
以前、何かの景品で宝くじの券をもらった時に当選番号の確認もしませんでした。誰かが管理してくれるんなら喜んで買いたいです。私の場合、夢を買うという原動力を持った方がいいかもしれません。

このような一攫千金のトレードというのは、投資の世界でもあります。
ディープ・アウト・オブ・ザ・マネーのオプションを買い続けることです。ほとんどは捨て金になりますが、たまに大当たりするとめちゃめちゃ儲かるというストラテジーです。
震災の時に日経平均のプットオプションを買っていたら100倍とかになったりするわけです。
このあたりの投資戦略については当ブログにおいてももう少し研究をしたいと思っています。何か参考になるものがあったら是非知りたいです。

億男
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