2014年12月27日

アベノミクスの行く末と、個人投資家としての中長期の投資スタンスを考える

2014年も年末が近づいてきました。
長期・分散投資を志向する投資家は、原油(コモディティ)とロシアの株式・債券へのウェイトをよほど大きくしていなかった限り、2012年・2013年に引き続き円ベースでは良好なパフォーマンスが得られた1年だったのではないでしょうか。
12月には衆議院の解散総選挙が実施され、自民党の政権基盤もより強固になり、消費税の延長・アベノミクスの信認が得られたということで、安倍政権によるアベノミクス経済政策は2015年以降も継続していくことになります。

長期・分散投資を志向する個人投資家として、アベノミクスの終着駅はどこへ向かうのかとともに、来年2015年の投資行動について思いを馳せてみましょう。

アベノミクスの矢の1本目と2本目の大胆な財政政策と異次元の金融緩和という強力なカンフル剤により、円安・株高が思惑通り進行し、アベノミクス前から、円はドルに対して約50%の円安に、日経平均は約2倍となりました。
1本目と2本目の目的は、デフレマインドからの脱却です。異次元の金融緩和は期待に働きかける政策と言われますが、日本国民に長く沁み付いた「デフレ」から、これからインフレになっていくという意識付けをするためのもので、まだまだ半信半疑の人々も多いとは思いますが、じわじわと成果は出ているように見えます。

1本目と2本目の矢は後先のことを考えなければ、政策によって実行可能です。後先というのは、財政問題と量的緩和による出口戦略です。まあ、座して死を待つか、やれるだけのことをやってみるのか、という意味では、アベノミクスに私は個人的には一定の評価は持っています。アベノミクス協奏曲が奏でられている間は、先のことを悲観的に考えるのは止めておきましょう。

財政政策と金融政策により、短期的に資産価格を底上げする効果と景気回復の兆しは確かに出ました。
アベノミクスが成功となるか失敗となるかは、初めは政策による底上げでも徐々に経済の体力を回復して、緩和政策をやめた後も自律的に景気を維持・拡大しつづけ、税収も回復し、財政も自然と再建されるという結果になるかどうかです。 
経済の成長を伴うマイルドなインフレとともに、GDPが増加し、付加価値(給料)が増加し、実質価値として国の借金も減少することになります。(分かりやすく言うと、物価が2倍になれば、借金は半分になります)
給料や企業業績が向上し、経済が活性化し、国民の生活も豊かになる。消費も活性化することにより税収も増え、財政再建の目途を立てていく。
これが成功ストーリーです。

少なくとも、インフレを定着させ、その後にインフレ下での景気回復を目指すことが可能になるかもしれません。
経済の成長にとってデフレというのは最悪で、お金の価値は上がっていくので消費に回さず、景気も悪いので貯蓄に励むという経済行動を強いることになり、ますます経済が悪くなります。
なので、インフレにすることによって、人々の消費行動や投資行動を前向きに刺激し、経済の浮揚を図りたい。
今のところ、インフレ期待は3〜5合目まで来た、というところでしょうか。6合目以降から頂上までは、成長戦略とも合流して進んで行かないといけません。道は険しくなります。

1本目と2本目の矢は、強力なパワーのエネルギーを持つのはあと2年弱程度でしょうから、問題は、3本目の矢である「成長戦略」の実現です。

「成長戦略、成長戦略と言っているけど、具体策はあるのか?何をやっているのか分からないぞ」という人は多いのではないでしょうか。
それはそうです。まだ山のふもとで あーだこーだ やっていることが多いのですから。成長戦略の山登りの方は、既得権益を持っている輩たちが文句を言ってきたりして、色々と大変なのです。
そんなことしているうちに2年が経ちましたね。

もちろん、何もしていないわけではありません。21世紀になって記憶のある日本の政権の中で、安倍政権が1番まともな手を打っているのではないでしょうか。
首相官邸のホームページでは、ちゃんと説明されています。成長戦略をよりわかりやすくまとめた「やわらか成長戦略。」も作成されています。
・首相官邸 成長戦略で、明るい日本に! ≪詳細版≫
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/seicho_senryaku2013.html
・「やわらか成長戦略。」(PDF)
http://www.kantei.go.jp/jp/topics/2014/leaflet_seichosenryaku.pdf

イノベーションの創出に、女性の活躍の場を増やしたり雇用市場を改革したり、医療・農業の構造改革に、エネルギー政策の見直しなど、ちゃんと少しずつ手を打っています。
一方で、アベノミクスでは、日本で今後数十年というタイムスパンでは最も重要な問題である少子高齢化と労働力人口減少による経済の縮小という非常に重たい課題や、既に赤字の垂れ流しの上に今後まずまず増加していく社会保障費の問題、どう財政問題を解決していくか、という問題については、どうしていくつもりなのか今いち見えて来ません。
とりあえず、インフレ経済と一定の成長を確保し、後は小泉進次郎さんにバトンタッチなのですかね。小泉進次郎さん、先の選挙特番で、さかんに2020年以降の少子高齢化と労働力人口減少を前提とした国づくりを今から考えていかないといけないと仰っておりましたね。

山は険しく困難な道ではありますが、「この道しかない」というアベノミクスを国民が信任したわけですから、2018年の日銀黒田総裁の任期・安倍総理の自民党総裁の任期までは、アベノミクスは続いていく可能性が高いと見ていいでしょう。

アベノミクスの1本目と2本目の矢は、劇薬となって副作用が返ってくる可能性があります。
経済成長を伴わず、金利と物価だけが上昇し、重い所得税・消費税・相続税に社会保険の負担、年金の受給は細くなるといった要因により、国民の生活を悪化させる方向に行くかもしれません。
金利上昇により国債価格は下落し、日本国債を保有する金融機関がピンチになり、日本国家の財政問題の顕在化とともに、日本発の経済危機が起こる可能性もあり得ない話ではありません。

以上から、投資スタンスとしては、アベノミクス協奏曲に乗って踊りながら(リスク資産の増:国内資産のウェイト増)、雰囲気が本格的に怪しくなってきてアベノミクス狂想曲のボリュームが大きくなってきたら、徐々に降りていく(リスク資産の減:国内資産のウェイト減、海外資産のウェイト増)、というのが大きな方向性と考えられます。

個人的に現状を見る限りでは、国内要因では、2015年に雰囲気が一気に悪化する可能性はあまり高くないのではないかと見ています。今後、国内外で突発的に発生するイベントへどう対処していくかが重要ですが、見えているところでは、米国の量的緩和の出口戦略がグローバルのマーケットにどう影響していくか、原油価格の情勢や地政学リスクあたりがインパクトがありそうです。
分からない将来のことを予測しても仕方がないですが、消費税増税と日銀の国債購入が限界に近づいてくる「2017年」がターニングポイントになりそうに思えます。
私は、現状ではリスクウェイトをかなり低くしていますので、音楽が鳴っている以上は、短期的な調整局面がくれば、短期的にリスクウェイトを上げるのも考えたくはありますが、悩ましいものです。資産運用に簡単な時はありませんが。その時のマーケット状況次第でどうするか決めていきます。

ジム・ロジャース氏は、日本経済新聞のインタビュー記事(2014/12/24)で、ジム・ロジャース氏は短期的には楽観・長期的には悲観と語っています。「向こう1〜2年(2015〜2016年)は楽観的に見ている。日本株は持っているし、買い足す予定だ。日銀の金融緩和が株価を押し上げているし、原油安も日本経済にとっては追い風」とする一方、「長期的にはかなり悲観的だ。債務が膨らみ、人口が減り、通貨の価値が落ちていく。大惨事ではないか。日本は世界で最も好きな国々の一つだ。でも、私が仮に20歳以下の日本人なら国を出ていくだろう」と。

日本国民としては、雰囲気が怪しくならず、アベノミクス協奏曲がバブルの方の狂想曲に行きつくことを願うばかりであります。

いち日本国民としては、「この道しかない」アベノミクスの成功を願うとともに、いち投資家としては、これから起こるであろう可能性を冷静に見ていきつつ、どのようにマーケットが行っても致命傷を負わないように行動していきたいと思います。

○2014年
黒田バズーカ第2弾により日経平均続伸、円安の進行に拍車が
安倍政権が消費増税延期、解散総選挙、自民党勝利により政権基盤安定 ←今ここ

○2017年
・消費税増税
・年間80兆円規模で拡大する日銀の国債保有額が16年末に360兆円、国債発行残高の4割に達する規模に達すると予測されている。日銀が公的債務を支える「財政ファイナンス」への懸念がさすがに強まり、「17年ごろから緩和縮小へ転換を迫られる」という2017年問題が指摘されている

○2018年
黒田日銀総裁の任期(4月)
安倍総理の自民党総裁の任期(9月)

○2020年
東京オリンピック ←ここまでは日本の景気は良いと思っている人が多い。

○2020年以降
*今考えるのはやめましょう。


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