TOBへの応募が、アコーディアの発行済み株式の20%に相当する買付下限の209,224 株に届かず、16.68%相当の174,580 株にとどまりました。
PGMが設定したTOB価格は8万1000円で、TOB発表直前のアコーディアの株価5万3200円(2012年11月15日終値)に対し50%超ものプレミアムがつけられていましたが、2013年1月に入り、「レノ」が1月7日に関東財務局長に提出されたアコーディア株の大量保有報告書を提出し、かつての村上ファンドのグループのファンドということで思惑を誘い8万円を超える水準となり、その後のレノによる追加取得やレノによるアコーディアへの要請等の報道等を受けアコーディアの株価は1月17日は高値の83,800円となり、TOBの不成立が公表された1月18日終値においても、82,800円となっています。
下記に状況についてのアップデートを記していますが、当面、こう着状態が続きそうで、今後の株価推移は興味深いところであります。
私の感覚ですと、このまま新しい動きがなければ、TOB期待が薄らいでいき、TOB発表直前の株価とTOB価格の間くらいを彷徨いながら株価が下がっていく気はしますが、どうなりますでしょうか。
アコーディアは、「公開買付価格の不十分性、本公開買付けの目的の不当性(利益相反構造の意図的な創出)、方法の不当性(強圧的買収手法の採用)、当社の中期経営計画の優位性等を理由として反対してまいりました。当社といたしましては、多くの株主の皆様に当社の考えをご理解頂けたこと、また、多くの関係者の皆様から本公開買付期間中にご支援を頂戴いたしましたことに深く感謝いたします」と表明。
・アコーディア「PGM ホールディングス株式会社による当社株式に対する公開買付けの結果について」
http://www.accordiagolf.co.jp/file/pdf/ir_20130118131345.pdf
PGMホールディングスは、「頂いた応募に係る同社株式の数が、本公開買付け成立のために必要な数にわずかに満たなかったため、残念ながら不成立に終わりました。ご支援賜りましたアコーディアの株主の皆様方には、心より厚く御礼申し上げますと共に、お詫び申し上げます」と表明。
また、TOBが不成立となった要因を、「公開買付期間の最終日である昨日(1月 17 日)の正午過ぎに、一部報道機関が流した、「アコゴルフ:10 ゴルフ場売却検討、150 億円規模−自社株買いで」と題する記事(アコーディアが国内で保有している 10 のゴルフ場を総額 150 億円で売却して、それによって得た資金を自社株買いに投じることを検討している旨の記事)が大きく影響しているものと分析」しているとしています。
「当該記事は、アコーディアの株価を大きく押し上げるような内容を、本公開買付けへの応募が集中する公開買付期間の末日の市場が開いている時間帯の最中に流すものであって、本公開買付けの成立を妨害する目的で何者かが行った極めて悪質な情報操作に踊らされたものではないかと考えざるを得ません。実際、当該記事が流された直後から、アコーディアの株価は急騰し、一時公開買付価格を上回る8 万 3,800 円にまで達するなどしており、アコーディア株主の皆様が、本公開買付けに応募するか否か(応募を撤回するか否か)を決断する最終段階でこのような記事が流されたことが、本公開買付けの成否に大きな影響を与えたことは明らか」として、「証券取引等監視委員会に、被疑者不詳のまま、上記記事が流された過程において金融商品取引法違反に該当する事実がないかどうか直ちに調査するよう求める書面を提出」したと表明しています。
・PGM「アコーディア・ゴルフ株式についての公開買付けの結果と証券取引等監視委員会への調査要請について」
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1028695
PGMホールディングスは「経営統合が必要という考え方は変わらないとしながらも、TOB最終日の株価の動きについて証券取引等監視委員会に調査を要請していることもあり、当面は慎重に考えていくとの姿勢を示した」とロイター(2013/1/18)は伝えています。
ロイターと東洋経済の記事によると、PGMホールディングスの神田有宏社長は記者団に下記のように語っているようです。
・ロイター(2013/1/18)「アコーディアとの経営統合、当面は慎重に考えていく=PGM社長」より
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE90H07520130118
・東洋経済(2013/1/18)「アコーディア買収攻防、PGM“敗戦の弁”」
http://toyokeizai.net/articles/-/12565
(PGMホールディングスの神田有宏社長による記者会見コメント)
・TOBが不成立に終わったことについては「結果は結果として粛々と受け止める。最後の2―3日が勝負の中で、通常のTOB案件に比べるといろいろなことが起き、われわれも最後まで対応できなかった」。「いろいろなこと」とは、旧「村上ファンド」の流れをくむ投資会社のレノ(東京都港区)が突如アコーディアの大株主に浮上したこと。そして、アコーディアがレノの要望に応える形で「自己株式取得」を行う可能性を16日に発表したこと。
・TOBをアコーディアとの経営統合に向けたステップと位置付けていたが、「その(経営統合が必要という)フィロソフィー(哲学)は微動だに変わっていない。しかし、今後は、アコーディアの動向と証券取引等監視委員会の調査の進ちょく状況を慎重に検討しながら考えていきたい。今後のプロセスは臨機応変に考えていきたい」。証券取引等監視委員会への調査要請を行ったこともあり、「統合に向けた時間軸が延びるのは間違いない」
・再度TOBを実施することについても「今のところ、その考えはない」。「まず、今回のTOBについて総括するのが先」
・アコーディアの18.12%の保有が明らかになっている投資会社レノは、アコーディアに対してPGMとの交渉に付くよう要請しているが、「アコーディアが経営統合の交渉の席に着くとしたのは、自発的か、非自発的か分からない。レノの要請で無理に行った回答で、非自発的なものならば、交渉しても経営統合は難しいだろう」との見解
・17日の正午過ぎに報じられた記事内容とその後の株価動向を踏まえ、TOB不成立を狙った情報操作の可能性があり、「結果的に、それが原因でTOBが不成立になったと言っても過言ではなかった。移管した口座数は、TOBが成立して十分に余りある数だった」。「個人投資家からの応募数だけでもTOB成立に十分と見ていたが、報道を受けて応募手続きをしていた個人投資家からキャンセルが相次いだ。市場での株価がTOB価格を上回ったことから、機関投資家も受託者責任から応募しにくくなった」
TOB期間中の後半の2013年1月13日付では、株式会社レノが13.75%から18.12%に引き上げた大量保有報告書が出されたことが明らかになりました。
レノは、旧村上ファンドのグループ出身者が多く在籍していることで知られている。PGMがTOBを発表した2012年11月15日直後の11月19日からアコーディア株の保有を開始。2013年1月7日には、他2社と共同でアコーディア株13.75%を保有していることが大量保有報告書で明らかになっていました。
「アコーディアの潜在株式価値は大和証券やPwCの算定に近いとした上で、「潜在株式価値を実現できるかどうかは経営陣の手腕にかかっている。経営陣の考えを聞いた上で、対応方針を最終判断する」としている。仮に、現経営陣の下で株式価値の向上が期待できるなら、TOBには応募せずに、中長期的に株式を保有する。一方、現経営陣で潜在株式価値の実現が困難と判断した場合には、TOBに応募する」と揺さぶりを掛けていました。
・ロイター(2013/1/15)「「レノ」がアコーディア<2131.T>株保有を18.12%に引き上げ、PGMとの経営統合交渉などを要請」
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK059101520130115
レノは、PGM との買付価格を含めた諸条件について交渉の場につくよう、また、株主還元策の継続的な実施および明確な基準の策定を求めています。
レノの要請とアコーディアの回答は下記にようになっています。
アコーディア(2013/1/16)「当社株式大量保有者からの書簡の受領およびこれに対する当社の考え方について」
http://www.accordiagolf.co.jp/file/pdf/ir_20130116134527.pdf
・買付価格を含めた諸条件について交渉の場につくことについて
○レノの要請
「今回の PGM による TOB が終了した時点で、PGM との買付価格を含めた諸条件について交渉(PGM によるデューディリジェンスの受け入れを含む)の場につくことをご表明いただきたいと思っています。」
○アコーディアの回答(抜粋)
PGM との間の経営統合(以下「本経営統合」といいます。)自体については、その内容・条件等が
当社の株主の皆様の最善の利益に資するものであれば、事業戦略上の有力な選択肢の一つとして検討を行うことを否定するものではなく、また、検討を行う必要があると考えております。
従いまして、当社としては、本公開買付けが終了した際には、当社の株主の皆様の最善の利益の実現という観点から、本経営統合についても検討を行う用意がある旨表明させていただきます。そして、本経営統合の検討を行うに際しては、双方において相手方に対しデューディリジェンス(但し、両者は競合他社の関係にあることから事業運営に支障の生じるおそれのある企業秘密などの一定の情報は開示できない可能性があります。)を実施しあう用意もあり、また、PGM 側との間で、本経営統合の内容や条件等(本経営統合の方法や統合比率、本経営統合後の少数株主の利益保護のための方策を含みます。)について交渉の場につく用意もある旨、付言させていただきます
・株主還元策の継続的な実施および明確な基準の策定について
○レノの要請
「株主還元策の継続的な実施および明確な基準の策定をお願いいたします。昨年 12 月 3 日に発表された貴社中期経営計画にて連結の配当性向 90%を目処とする旨発表されておりますが、配当性向を高めるだけではなく、フリーキャッシュフロー(貴社事業計画上は年間100億円レベル)を最大限に活用して、PBR1倍(または貴社が割安だと考えるレベル)までは自己株取得を徹底的に行っていただくといった骨太な株主還元策を実施されることを希望します。」
○アコーディアの回答
当社においては、国内におけるゴルフ場売買市場の縮小傾向など、新規投資の機会が乏しい現在の外部
環境を踏まえ、余剰キャッシュ・フローを積極的にゴルフ場の買収に投下してきた従前の方針を転換し、当社において取得済みの資産の質を一層高め、優良資産による収益力の最大化を追求する段階(すなわち、内部成長を目指す段階)に移行する必要があると考えております。また、当社の財務体質は、継続的に有利子負債を返済したことにより年々向上しているため、資本政策の観点からも、資本効率性を重視することが可能な財務状態となってまいりました。
そこで、当社は、今後、余剰キャッシュ・フローを積極的かつ継続的に株主の皆様に対して還元することにより、当社の真の企業価値を資本市場において顕在化させることこそが、株主の皆様の最善の利益に資する施策であると考え、2013 年 3 月期における期末配当金(予想)を1株当たり 5,500 円に修正し、また、来期以降、連結配当性向 90%を目処とする株主還元策を発表いたしました。
自己株式取得は、このような当社の株主還元重視の方針と方向性において合致しており、当社としても、当社の株主の皆様の最善の利益に資する可能性のある有力な選択肢の一つと認識しております。特に、PBRが1 倍を下回っている局面では、一株あたり純利益及び一株あたり純資産の改善にもつながることから、自己株式の取得を行うことは、株式の潜在価値を実現し、株主様の利益の向上に資する有効な手段であり、当社が置かれた状況において、合理的な選択肢であると認識しております。
かかる自己株式取得に際しては、減価償却費及びのれん償却費から必要な設備投資などを控除した投資
若しくは借入金返済のためのバッファーとして確保可能な資金、又は、当社が中期経営計画でお示ししているアセットライト手法(注)により確保可能な資金等を充当することがありうると考えております。
(注) アセットライト手法とは、保有するゴルフ場等のアセットを切り離すことで資産として自社で保有することなく、ゴルフ場の運営事業に特化することにより、投資効率を高める手法のことをいいます。
【関連記事】
・2012/12/4 PGMによるアコーディアへの敵対的TOB アコーディアは反対を表明 反対の論拠を読む
http://money-learn.seesaa.net/article/305095167.html
・2012/11/26 M&AのFA費用 のれん計上から一括費用計上へ改正の方向性
http://money-learn.seesaa.net/article/303846886.html
・2012/10/16 ソフトバンクはSprintを1兆5千億で買収 報道で株価21%下落も「今が買い」とアピール 成功に「自信があります」
http://money-learn.seesaa.net/article/297612019.html
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