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・マネーのネタ帳「債券、株と一体課税に 配当・利子・譲渡損益を合算(日経より)」
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/08/blog-post_976.html
本記事では、「財務省と金融庁は個人の金融所得課税で、債券の譲渡損益を損益通算の対象に加える方針」を伝えています。時期は2015年1月よりとされています。
現在、株式のキャピタルゲイン課税や投資信託の分配金の源泉徴収は10%の軽減税率が適用されていますが、2013年12月末で終了しようとしています。2014年1月からは20%(所得税15%・住民税5%)が予定されています。
これについて、軽減税率の延長が証券関係者や個人投資家からは望まれています。しかし、「財務省は債券売却に伴う損失を損益通算できるようにする前提として、株式や株式投信の税率を14年1月から20%に戻す考え」とも報じられています。
ネット証券4社(SBI証券、カブドットコム証券、マネックス証券、楽天証券)が2013年末で証券税制優遇が終了することに伴い、延長を求める署名活動を2012年6月27日(水)〜7月27日(金)に行いました。703,346名もの署名が集まったとリリースされています。
プレスリリース(平成24年8月3日)
インターネット証券4社共同実施「証券税制の10%軽減税率延長を求めるオンライン署名」の結果について〜総数70万名の方々からご賛同いただきました〜
https://www.sbisec.co.jp/ETGate/WPLETmgR001Control?OutSide=on&getFlg=on&burl=search_home&cat1=home&cat2=corporate&dir=corporate&file=irpress/prestory120803.html
残念ですが、記事のタイミングや日経1面という扱いの大きさから察するに、軽減税率の延長を認めまいとする財務省や金融庁による牽制の意図がありそうです。
現行の個人の課税関係では、公社債、公社債投資信託の売却益は原則非課税とされ、売却損はなかったもの(益が出ても課税されないが、損があってもどこかの所得から差し引けない)として取り扱われています。なお、利付債の償還差益は雑所得として総合課税、割引債の償還差益は原則として購入時に所得税18%が課税、公社債の利子については20%の源泉分離課税となっています。ややこしいですよね。
証券税制はかなりややこしくなっており、もっと税制をシンプルに分かりやすくというのと、特定口座の幅を広げて、可能な限り全てを完結するか確定申告に必要な金額を簡単に集計出来るような仕組みの導入や、債券と株式との損益通算というだけでなく、もっと抜本的な制度改革をして頂きたいところであります。
例えば、海外ETFはマネックス証券が特定口座対応を表明しているものの、現状ではどの証券会社でも一般口座対応となっています(軽減税率の適用もありませんので現行で20%課税)。税制の問題とはちょっと違いますが、手続の煩雑さは、海外ETFの普及を阻害する大きな要因の1つではないかと思います。海外商品を国内と同等に扱えば、海外商品の購入が進み、円高対策になるという大義もたちます。
他にも、株式等とオプションや先物との損益通算も出来ません。外貨建て資産を購入したがFXを使って為替ヘッジをした、日本株式を保有していて動向が不安なので日経平均先物でヘッジしたりプットオプションで損失を限定したとしても、税金が合算出来ないので、利益が出た方に課税がされてヘッジが十分に行えない、という不便さがあります。
記事では、「軽減税率を廃止すれば、個人の株式投資への意欲は一段と冷え込む恐れがある。年末の税制改正の論議は軽減税率の廃止を巡り、難航する可能性も残っている」とされていますので、かすかな期待に望みを繋ぎたいところです。
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