2012年06月27日

自分年金をつくる 岩崎日出俊/著

日本経済の成熟や年金制度への不安を背景に、老後の生活設計の面倒は自分で考えないといけないという意識が高まっています。
「自分年金」とは、老後の生活を維持するための資産形成や公的年金を補完するものとして自分で積み立てるものを総称し、最近よく目にする言葉になっています。

自分年金をつくる――今からでも遅くない! (ベスト新書)
岩崎 日出俊
ベストセラーズ
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初版発行日 2012年3月20日
全214ページ ・新書

今回ご紹介の本「自分年金をつくる」では、公的年金に加え、生活費を補うために月7万円を老後において資産を取り崩すのではない方法でいかに準備するかという点を主眼としています。全体的に分かりやすく整理されていて、読みやすい一冊であるかと思います。
本書で取り上げられているテーマは下記のものです。
・企業年金
従来は、日本では特に大企業を中心に手厚い年金制度が用意されていましたので、社会的に老後の心配をあまり生じなかったのかもしれません。
一方で、高成長時代は十分に制度が回っていたのだと思いますが、現在は、従来の確定給付年金では高い予定利率により設計されていたために企業側の負担が重くなっています。大企業の企業年金は効果は大きいものの、確定拠出年金への移行に伴い予定利率の改定や、企業の財務や業績の悪化とともに年金給付が削減されざるを得ないケースも今後増えるのではないかと注意を促しています。
・投資信託
対面の金融機関では販売手数料や信託報酬でのコスト負担の重い金融商品が販売されている点に注意が促されており、ETFやインデックスファンドの検討が勧められています。
著者の身の回りの話で、十分に理解していないで投資信託を購入しているケースの話(例えば、毎月分配型投信で分配金が入ってきて安心していたら基準価額が下がって損をしていた)や、「営業担当に美女やイケメンを揃え、男性顧客には若くてきれいな女性、主婦層にはイケメン営業担当を割り当てることも少なくない」(p86)という指摘は個人的には面白かったところです。
・年金保険
1970年代後半〜1990年代前半では予定利率の高い年金保険もあったので、それに加入していれば、自分年金として効果が高い。ただし、予定利率の高い故に「逆ざや」が発生するなど保険会社の負担が重くなっており、保険営業では積立から掛け捨てへの保険の乗り換えが進められてきている状況もあります。よく分からずに乗り換えに乗ってしまっていたら残念ということです。
著者は、年金保険は自分年金として優れているというお考えのようです。




・ワンルーム・マンションへの投資(不動産投資)
管理は不動産会社へ丸投げをすれば仕事に支障もなく、特に当初ほど減価償却や支払利息の損金算入により不動産所得がマイナスとなり所得税の節税効果があり、ローンの返済が終われば賃料収入が自分年金となるとのことです。
ここでの前提は、給与所得者でかつ比較的年収の高い会社員層に適しているということです。年収1500万以上のサラリーマンは節税と資産形成の意味合いが大きく、年収650万以下はリスクに見合う節税効果も期待出来ずお勧めしないと指摘されています。
・グローバル企業株
株式投資については、世界経済の成長とともに成長が見込まれるグローバル企業への投資を勧めています。

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著者の岩崎日出俊さんは、外資系の投資銀行でご活躍をした金融のプロで、現在は独立して経営コンサルタントをされています。
Hidetoshi Iwasaki's Blog / http://hidetoshi-iwasaki.cocolog-nifty.com/1/

全体的には、企業年金や投資信託への注意が促され、年金保険とワンルーム・マンションへの投資の有効性が強調されている印象があるところが特徴です。また、一般論も丁寧に解説されていますが、著者ご自身のご経験等をベースとした考えで構成されていたり、著者は1953年生まれとのことで、著者の同年代に近い層向けの方々に特に参考になる部分が多いようにも思えるところもあります。逆に、このあたりの視点は私にも新たな発見もありました。

私の個人的な感想としては、年金保険について、昔は予定利率も高く良い商品性だったように聞いていますが、今販売されている年金保険はあまり良いとは限らないと思っています。検討にあたってはきちんと想定利回りを把握した方が良さそうです。
終身で定額が入ってくる保険は長生きリスクへのヘッジにもなり得ますが、解約すると経過年数に応じて解約時の資産残高からペナルティが差し引かれ、特に経過時間が短いとペナルティが大きく取られます。引き出しの自由度はなくなりますので、長期的に引き出しの必要のない資金で保険に入るべきでしょう。

私は保険の営業マンから勧められて検討したことがあるのですが、保険料の分をリスクを自分で取って自分で運用する方が期待値は高いように思えました。(結果としてどちらが優位かは確実ではないですが)
また、保障と年金がセットになっていると費用対効果が分かりずらく、自分に必要な保障については、その分だけ保険に加入するというのもリーズナブルなのではないかという考えもあるかとは思います。
このあたりは正解が何かというよりも、個々人の趣向や価値判断かとは思います。

不動産投資は確かに高給な会社員の方にとって節税効果と資産形成効果がありそうです。
不動産投資はローンによるレバレッジがある分うまくいけば資産形成効果も大きく、逆に、資産価値の下落がリスクかと思います。
私は以前、不動産投資を行っている何人かの話を聞いたり、実際の損益の結果を見たりしたことがありますが、実際にうまくいっている人は不動産管理を色々ケアしていて、放置の人は空室期間が長かったりして持ち出しが発生していたりして、そんな簡単なものでもなさそうな印象も持っています。
本書では節税効果に重きを置いている印象で、必要によっては賃料保証も活用すれば良いとあります。そのような観点からはキャッシュフローは安定するので持ち出しリスクは軽減できそうです。
賃料以上にローン金利や減価償却が減っていけば、長い目で見れば自分年金に繋がる要素も大きいかと思います。

レバレッジは効きませんが、不動産管理の手間、ローンをあまり好まない、流動性を考え、インカムゲイン狙いはJ-REIT等を活用するという手段もあるかなと個人的には思っています。J-REITは現在は配当利回りがJ-REIT全体で5〜6%程度で推移していますので、J-REIT投資の経済効果も一度検討したいところです。
[本ブログでの関連記事]
・2012/6/28 J-REIT投資の分配金と資産形成について考える
http://money-learn.seesaa.net/article/277673639.html


Hidetoshi Iwasaki's Blog
自分年金をつくる
http://hidetoshi-iwasaki.cocolog-nifty.com/1/2012/03/post-27e0.html




ラベル:自分年金
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