2012年06月20日

資産フライト 「増税日本」から脱出する方法 山田順/著

日本の個人金融資産が海外へ逃避している「キャピタル・フライト」(資産フライト)という現象が一部で起きていると言われており、たびたび話題になります。
本書は、「キャピタル・フライト」について、実際に金融資産を海外へ移している人へのインタビューやその背景、税金の問題、今までのキャピタル・フライトにまつわり伝わっている様々な話が総合的に取り上げられています。
著者の論調としては、日本の国家政策への批判や国内金融機関への批判が随所にあり、キャピタル・フライトという現象は残念ではあるが致し方がないというのが強調されていますが、このあたりの評価は色々な意見もあるかと思います。あまりキャピタル・フライトといった話に縁のない方や聞いたことがないという方が、その一面を知るには読みやすいものであるかと思います。

資産フライト 「増税日本」から脱出する方法 (文春新書)
山田 順
文藝春秋
売り上げランキング: 4260


初版発行日 2011年10月20日
全254ページ ・カバー

著者の山田順氏は、出版社の編集者からフリーランスになったジャーナリストの方です。
プロフィール/
http://junpay.sakura.ne.jp/index.php?option=com_content&view=section&layout=blog&id=1&Itemid=94

キャピタル・フライトの背景には、日本の少子高齢化の進展による経済鈍化の懸念、年金・財政問題に端を発する将来不安や増税への懸念など、日本の将来不安があります。
中には、明日にも国債が暴落し、とんでもない円安やインフレが起き、日本の銀行が潰れたり預金封鎖が起こるなどと不安を過大に煽っているように感じられる週刊誌やインターネットの記事もありますが、多くの人々に日本の将来へ不安を抱かせてしまっている一面が確かにあるのもまた事実かと思います。中長期的に見たときに、日本経済や年金・財政問題への懸念は確かにありますので、リスクを冷静に判断し、ライフプランやキャリアプランとともに、自衛の対処や情報収集をしておくに越したことはありません。




キャピタル・フライトというと、香港HSBCで口座開設だとか、海外の金融商品が魅力的だという話に繋がっていくことが多いのですが、日本に住み続けるという前提であるのならば、焦って海外の金融機関へ口座を作る必要がどれだけあるのかは冷静に判断する必要もあります(海外移住を考えるとなるとまた別の話もありそうですが)。
2012年5月7日のテレビ東京の番組「未来世紀ジパング」でも、海外不動産(ハワイでのリゾートマンションの購入やマレーシアでのマンション購入)を買いに現地を訪れる人たち、シンガポールのHSBCへの口座開設ツアーや、アメリカへ50万ドルを投資してグリーンカードを取得し移住をする人たちへの取材を追っていました。

一般人にとって、海外の金融機関に口座を作っても、その後の管理は基本的には自分でやらなくてはいけません。本当に使いこなしている人はどれだけいるのかは不明ですし、英語で自分で管理が出来るのか、海外の金融商品が運用成績や手数料の面で本当にどれだけ優れているのか分かっているのか、入出金の手間や口座の管理の労力を含めて、自分にとっての必要性を考えた上での行動が求められます。
また、富裕層の方々にとってはリスクヘッジ等の様々な観点からも検討する余地はありそうです。富裕層を中心としたキャピタル・フライト並びに「ヒューマン・フライト」は今後増加していくのかもしれません。

HSBC香港資産運用術(資産を安定的に殖やしたい人のための)
スティーブ 金山
アールズ出版
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本書の目次は以下の通りです。続きは下の「続きを読む」をクリックしてお進み下さい(トップ画面からご覧の場合)。
(目次)
第1章 成田発香港便
第2章 震災大不況
第3章 海外投資セミナー
第4章 さよならニッポン
第5章 富裕層の海外生活
第6章 税務当局との攻防
第7章 金融ガラパゴス
第8章 愚民化教育
第9章 愛国心との狭間で




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