受け継ぐ方も長寿化・高齢化に伴い高齢化していくと思われますので、さらにまた二次相続・三次相続で遺産の分け方も問題になってきます。
後に残された親族が揉めないよう、遺産の分割方法の検討、国の課税強化もありますから相続税も含めた対策を事前にしっかりと考えていくことが必要です。
2012年6月6日付の日経新聞では、遺言がなかったために係争になった事案を紹介し、「全員遺言時代」として遺言の作成を進める記事が掲載されています。
遺産分割事件と遺産の内訳のデータでは、家裁で調停などが成立した遺産分割事件の件数は2010年には8000件程度であり、2000年代を通じて増加傾向のようです。これは、裁判まで行った件数ですので、水面下で争いや揉め事になっているケースは、かなり多いのではないかと思われます。
遺産争いと言うと「お金持ちの問題でしょ」と思いがちですが、うち74%は5000万円以下の遺産の分け方で揉めているようです。また、分けられない資産の自宅不動産の評価などが揉めやすく、過半は不動産を含むケースということです。

(増加傾向にある遺産分割事件と遺産の内訳 日経新聞2012/6/6)
全体の数で言えば5000万円以下の遺産を残す人数が圧倒的に多いからだということかもしれませんが、マイホームがある一般家庭であれば、十分に相続争いになる可能性はあるということです。
せっかくの親族間で、お互い感情的に嫌悪感が残るのは避けたいものですが、法定相続によりもらえる額は法律で決まっていますから、親の口頭の意向にどのような事情があれ、遺産をもらう方も特に生活が大変だったりすると「もらえるものはもらいたいと思う」という場合もありそうです。
日経記事では、遺言を残しておくことが大切と指摘されています。
事前に協議したり家族間で納得がいくなら自作でも良いのでしょうし、裁判でも耐えられるようにするには公正証書にする必要があります。各親族の事情で最適なものを選ぶことになります。
日経記事では、遺言の方法で3つ紹介されています。書きやすい順から挙げると、エンディングノート、自筆証書、公正証書遺言です。
1.エンディングノート
自分で市販のノートに記入。人生の最終章を迎えるにあたりご自身の思いやご希望をご家族などに確実に伝えるためのノートとして販売されています。
ただ、法的には、「通常は遺言としては認められない」ということです。裁判で争いになった場合にはこの通りにならないということで、相続人で不満のある人がいると、裁判沙汰の可能性がありそうです。
2.自筆証書遺言
市販の遺言書キットを使用。自分で遺言の要件を満たすように作成したもので、証人もいない。全文自筆で、作成日・署名・押印が必要。形式に不備があったり内容が曖昧だとやはり問題が起こる可能性があります。
3.公正証書遺言
公証役場で立会人のもと作成するもの。費用も数万円掛かりますが、公証人が手続をするので法的には遺言の効力に問題が起こる可能性は低い。
経済産業省の調査(2012年)では、70歳以上でいずれ作成するつもりなのは41%で、実際に遺言書を作成しているのは4%しかいないようです。
経済産業省でも取り組みが行われていますので、また下記も読んでみようと思います。
安心と信頼のある「ライフエンディング・ステージ」の創出に向けて
http://www.meti.go.jp/press/2011/08/20110810002/20110810002.html
[本ブログでの関連記事]
・2012/6/5 (本の紹介)モメない相続 長谷川裕雅/著
http://money-learn.seesaa.net/article/273484677.html
(参考記事)
2012/6/6 日経 「全員遺言時代 間近に 財産少なくても「争族」の恐れ 年代問わず準備を」
http://www.nikkei.com/article/DGKDZO42233460V00C12A6PPF000/
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