2012年01月21日

オリンパス上場維持決定!

東京証券取引所より、2012年1月20日付で、オリンパスの上場維持の決定が公表されました。

上場契約違約金の徴求及び特設注意市場銘柄の指定等について−オリンパス(株)−
http://www.tse.or.jp/news/07/120120_a.html

理由は、組織ぐるみといった悪質性は見られず、財務諸表への影響も著しく重要なものではないから、ということです。
引用すると、「発端となった損失の発生やその後の隠蔽行為は、一部の関与者のみによってなされたもの」であり、「本来の主たる事業部門とは直接的に関係せずに、その事業の経営状況には影響が及ばない形で進められたものであり、不適切な会計処理は、売上高や営業利益には概ね影響していませんでした」。また、「財務諸表への影響は長期間に及んでいたものの、同社の事業規模を踏まえれば、その利益水準や業績トレンドを継続的に大きく見誤らせるものであったとまではいえず、同社の本業における経営成績を拠り所とした市場の評価を著しく歪めたものであったとまでは認められませんでした」ということ。

ここでは上場維持の是非については論じませんが、判断基準に明確さや具体性もなく、個人的には結論ありきな印象は受けるところではあります。
事前に観測されていた内容ではありますので大きなサプライズではないですが、「市場の規律」が保たれるのかや、他の事案 特にライブドアを即刻上場廃止と決定したこととの整合性を問う声はあります。
当のホリエモンはともかく、ソフトバンクの孫正義社長( @masason )にして、そのお立場において、Twitterで「オリンパスの歴代経営陣による悪質粉飾決算は大問題。ホリエモンは実刑で塀の中。何故オリンパスのお年寄り歴代経営陣にマスコミも検察も甘いのだろうか?」と発言(2012/1/10)されていることには少々驚きました。(ここで語っている論点は上場維持より刑事告発の方ではありますが)

補足すべき点としては、Bloombergによると、東証自主規制法人の美濃口真琴・常任理事は20日夜の会見で、当局によるオリンパスの「捜査進展で新事実があれば、審査をやり直す可能性がある」と語っているとのことです。

また、今般の問題で株価下落による損失を被った株主から会社への訴訟リスクがあります。
ロイターの記事によると、「「大規模な株主損害賠償訴訟が起きるリスクも慎重に見極める必要がある」(市場関係者)との見方も根強い。これまでに、米投資家が同社の米国預託証券(ADR)購入者全員を代表してクラス・アクション(集団訴訟)を提起。国内の複数の弁護士事務所も、個人投資家から訴訟の相談が来ている」。「実際に提訴の動きがどの程度広がるかは現時点で不明だが、仮に安定株主以外の多数の株主が提訴すれば、賠償額は数百億円から千数百億円規模になる可能性も指摘される」とのこと。


(関連ニュース)
Bloomberg
オリンパスの上場維持決定、東証「関与は一部」−焦点は新体制に
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LY38E46TTDS201.html

ロイター
焦点:オリンパスの上場維持、複数の不確定要因が残り視界不良
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE80J00C20120120

(関連記事)
2011/12/4
オリンパス 上場廃止か維持かの可能性についての論点まとめ
http://money-learn.seesaa.net/article/238620624.html


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