特別損失は災害特別損失として1兆円、原発や放射線物質の処理コストの引当や福島原発の減損損失等が主な内容です。
また、税効果について「回収可能性を慎重に検討した結果、回収が見込めない部分について取り崩し」を行い、繰延税金資産をゼロとしたため、4,358億円の法人税等調整額を計上、純損失1兆2,473億円となり、純資産は1兆6,024億円となっています。
賠償に係る引当については、「福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害について、わが国の原子力損害賠償制度上、当社は原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年6月17日 法律第147号)の要件を満たす場合、賠償責任を負うこととされている。また、その賠償額は原子力損害賠償紛争審査会が今後定める指針に基づいて算定されるなど、現時点では賠償額を合理的に見積ることができないことなどから、計上していない」とされています。
「枠組みの詳細については今後の検討に委ねられていることや、立法化については今後国会での審議が必要となることを踏まえると、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる」ことから、継続企業の前提に関する注記も付されています。
「原発事故について平成22年3月期の有報のリスク情報に記載がない!」とソーシャルメディア界隈では話題になっていました。今般の決算短信では事故を受けた変更の記載がされています。
<東電決算発表資料>
・決算短信(平成23年3月期)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120110512023357.pdf
・当面の事業運営・合理化方針
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120110520031991.pdf
・決算説明会資料
http://www.tepco.co.jp/ir/tool/setumei/pdf/110520setsu-j.pdf
・第87回(平成22年度)定時株主総会
http://www.tepco.co.jp/ir/soukai/soukai-j.html
決算内容の詳細です。
・B/Sについて。
B/Sの第4四半期(H23/1/1〜3/31の期間中)の変化


*1 減損損失101,692百万円。P/Lの「災害特別損失」にて計上
*2 平成22年3月期有価証券報告書の記載によると、公益財団原子力環境整備促進・資金管理センターへ拠出しているもの。増加理由は不明(見たところ増加理由について説明なし)。
*3 回収可能性を慎重に検討した結果、回収が見込めない部分について取り崩し
(税効果についての参考記事)会計の基礎C補足 税効果会計・繰延税金資産とは
http://money-learn.seesaa.net/article/183446783.html
*4 震災後の2兆円融資
*5 震災に伴う特別損失。P/Lの特別損失の金額と一致しませんが、災害特別損失には減損損失(固定資産をマイナス)等が含まれているためです。
災害損失引当金残高の内訳(短信P27)
56,495百万円 @新潟県中越沖地震による損失等に係るもの
775,278百万円 A東北地方太平洋沖地震による損失等に係るもの
A内訳
a 425,000百万円 原子炉等の冷却や放射性物質の飛散防止等の安全性の確保等に要する費用または損失
b 4,472百万円 福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止に関する費用または損失のうち加工中等核燃料の処理費用
c 211,825百万円 福島第一原子力発電所5・6号機及び福島第二原子力発電所の原子炉の安全な冷温停止状態を維持するため等に要する費用または損失
d 49,710百万円 火力発電所の復旧等に要する費用または損失
e 84,270百万円 その他
計 831,773百万
*6 震災に伴う特別損失の計上、繰延税金資産の取り崩しによる損失計上
賠償引当について(短信P30)
(連結貸借対照表関係)
原子力損害の賠償に係る偶発債務
東北地方太平洋沖地震により被災した福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害について、わが国の原子力損害賠償制度上、当社は原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年6月17日 法律第147号)の要件を満たす場合、賠償責任を負うこととされている。また、その賠償額は原子力損害賠償紛争審査会が今後定める指針に基づいて算定されるなど、現時点では賠償額を合理的に見積ることができないことなどから、計上していない。 一方、政府より「東京電力福島原子力発電所事故に係る原子力損害の賠償に関する政府の支援の枠組みについて(平成23年5月13日 原子力発電所事故経済被害対応チーム 関係閣僚会合決定)」が公表された。この枠組みでは、当社は被害を受けられた皆さまに対し、新設される支援組織(以下「機構」という)から必要な資金の援助を受け、責任をもって補償を行うこととされている。また、電力の安定供給の維持及び金融市場の安定等を考慮し、当社は機構に対し毎年の事業収益等を踏まえて設定される特別な負担金を支払うこととされている。当社は徹底した経営合理化による費用削減や資金確保に取り組み、この枠組みの中で賠償責任を果たしていく予定である。
社債の償還予定額(億円)
2011年 5,489億円
2012年 7,479億円
2013年 5,855億円
2014年 4,464億円
2015年 4,381億円
向こう5年 2兆7668億円
*決算説明会資料P26を参照し作成
有利子負債残高の内訳(億円)
社債 4兆9745億円
長期借入金 3兆6432億円
短期借入金 4062億円
計 9兆0239億円
*決算説明会資料P25を参照し作成
・P/Lとキャッシュフローの平成23年3月期の四半期別推移


*1 原発の3月に発生した処理費用や対応費用によるものと推察
*2 災害によって生じた「1兆円」の損失です(賠償含まず)
災害特別損失の主な内訳
イ 426,298百万円 原子炉等の冷却や放射性物質の飛散防止等の安全性の確保等に要する費用または損失
ロ 207,017百万円 福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止に関する費用または損失
内訳
@ 101,692百万円 原子力発電設備に関する減損損失
A 45,842百万円 原子力発電施設の解体費用
B 44,855百万円 核燃料の損失
14,627百万円 核燃料の処理費用
ハ 211,825百万円 福島第一原子力発電所5・6号機及び福島第二原子力発電所の原子炉の安全な冷温停止状態を維持するため等に要する費用または 損失
ニ 39,360百万円 福島第一原子力発電所7・8号機の増設計画の中止に伴う損失
ホ 49,724百万円 火力発電所の復旧等に要する費用または損失
へ 86,270百万円 その他
計 1,020,496百万円
*3 B/Sの繰延税金資産の減少に伴うもの。回収可能性を慎重に検討した結果、回収が見込めない部分について取り崩し
*4 災害特別損失のうちほとんどは3月末までにキャッシュアウトをしていないので、平成22年3月期までの営業キャッシュフローには大きな変動はみられない
*5 期中は短期の投融資を行い、期末時にはゼロとするよう資金の運用を行っている模様
*6 震災後の2兆円融資のキャッシュイン
関連ニュースへのリンクと、東京電力の開示資料による災害関連の記載の決算事項抜粋をしています。
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<東電決算に関わるニュース記事>
日経 2011/5/20 20:35
"東電、震災特損1兆200億円 事故対応や廃炉費用など
11年3月期、最終赤字1兆2473億円"
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819596E0E2E2E7828DE0E2E2E7E0E2E3E39F9FEAE2E2E2;n_cid=DSGGL001
Bloomberg 2011/05/20 17:12
東電:前期赤字1.2兆円超、原発で過去最大−資産6000億円売却へ
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=aUgXhPdjYoAU
ロイター 2011/5/20
東電が史上最大の赤字1兆2000億円、清水社長が引責辞任
http://jp.reuters.com/article/companyNews/idJPJAPAN-21221520110520
日経 2011/5/20 19:24
東電1.2兆円赤字、市場はどうみるか プロに聞く
http://www.nikkei.com/news/article/g=96958A9C93819596E0E2E2E6E38DE0E2E2E7E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
産経ニュース 2011/5/21
東電1.2兆円赤字 「貸し手責任」焦点 銀行団は消極的
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110521/biz11052114200049-n1.htm
金利は優良企業向けの年0・5%
フジニュースネットワーク 2011/5/21
東京電力、2011年3月期決算が1兆2,473億円の赤字 来期以降の業績見通し立たない状況
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00199812.html
<その他>
週間ダイヤモンド
"独自入手の極秘資料が暴く
国民欺く東電賠償スキーム"
http://diamond.jp/articles/-/12350
大前研一
東京電力賠償問題〜政府の発言で消えた国民負担以外の選択肢
http://news.livedoor.com/article/detail/5573316/
(おまけ)
<東京電力の開示資料による災害関連の決算事項抜粋>
*一部文言順序の置き換え等あり
(短信P8-)
事業等のリスク
@福島第一原子力発電所事故
A続企業の前提に関する事項
B電気の安定供給
C原子力発電・原子燃料サイクル
D事業規制・環境規制
E販売電力量
Fお客さまサービス
G金融市場の動向
H火力発電用燃料価格
I安全確保、品質管理、環境汚染防止
J企業倫理遵守
K情報管理
L電気事業以外の事業
参考:【事業等のリスク】平成22年3月期の有価証券報告書に記載の事項
(1)電気の安定供給
(2)原子力設備利用率
(3)原子燃料サイクル等
(4)安全確保,品質管理,環境汚染防止
(5)企業倫理遵守
(6)情報管理
(7)事業規制・環境規制
(8)自家発電や他のエネルギーとの競合
(9)お客さまサービス
(10)経済状況等
(11)金融市場の動向
(12)火力発電用燃料価格
(13)電気事業以外の事業
(短信P24)
継続企業の前提に関する注記
東北地方太平洋沖地震により被災した福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害について、わが国の原子力損害賠償制度上、当社は原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年6月17日 法律第147号。以下「原賠法」という)の要件を満たす場合、賠償責任を負うこととされている。従って、当社の財務体質が大幅に悪化し継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在している。 当社としては、原子力損害の原因者であることを真摯に受け止め、被害を受けられた皆さまへの補償を早期に実現するとの観点から、国の援助をいただきながら原賠法に基づく補償を実施することとし、誠意をもって補償するための準備を進めている。 当社は原子力事故の収束と安全性の確保、電力の安定供給を確保するための設備投資、高騰する化石燃料の手当等に相当な資金が必要となる一方で、社債の発行及び金融機関からの借入等の資金調達も極めて厳しい状況にあることを踏まえ、こうした補償を確実に実施するために、原子力経済被害担当大臣に対し原賠法第16条に基づく国の援助の枠組みの策定をお願いした。 それに対して、政府より「東京電力福島原子力発電所事故に係る原子力損害の賠償に関する政府の支援の枠組みについて(平成23年5月13日 原子力発電所事故経済被害対応チーム 関係閣僚会合決定)」が公表された。この枠組みでは、当社は被害を受けられた皆さまに対し、新設される支援組織(以下「機構」という)から必要な資金の援助を受け、責任をもって補償を行うこととされている。また、電力の安定供給の維持及び金融市場の安定等を考慮し、当社は機構に対し毎年の事業収益等を踏まえて設定される特別な負担金を支払うこととされている。当社は徹底した経営合理化による費用削減や資金確保に取り組み、この枠組みの中で賠償責任を果たしていく予定である。しかし、枠組みの詳細については今後の検討に委ねられていることや、立法化については今後国会での審議が必要となることを踏まえると、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。 なお、財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を財務諸表に反映していない。
(短信P26-27)
災害損失引当金
@ 新潟県中越沖地震による損失等に係るもの
新潟県中越沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用または損失に備えるため、当連結会計年度末における見積額を計上している。
A 東北地方太平洋沖地震による損失等に係るもの
東北地方太平洋沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用または損失に備えるため、当連結会計年度末における見積額を計上している。 なお、当社グループの原子力発電所、火力発電所及び流通設備等は甚大な被害を受け、その被害額の全容の把握が困難であることなどから、現時点の合理的な見積りが可能な範囲における概算額を計上している。 平成23年5月20日開催の取締役会において、福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止について決定したため、当連結会計年度に廃止に関する費用または損失の合理的な見積額を計上している。 災害損失引当金に含まれる主な費用または損失の計上方法等については以下のとおりである。
a 原子炉等の冷却や放射性物質の飛散防止等の安全性の確保等に要する費用または損失 福島第一原子力発電所の事故の収束に向け、原子炉及び使用済燃料プールの安定的冷却状態を確立し、放射性物質を抑制するための費用または損失を計上しており、その具体的な内容は、燃料域上部までの格納容器への注水、原子炉熱交換機能の回復、使用済燃料プールへの注水、放射性物質で汚染された水(滞留水)の保管・除染処理、原子炉等からの燃料取出し等に係る見積額である。 これらのうち、平成23年5月17日に公表した「福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋」における当面の取組みのロードマップに掲げた目標であるステップ1(放射線量が着実に減少傾向となっている)及びステップ2(放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられている)に係る費用または損失については、具体的な目標期間と個々の対策の内容に基づく見積額を計上している。 一方、具体的なロードマップを示していない中長期的課題に係る費用または損失については、工事等の具体的な内容を現時点では想定できず、通常の見積りが困難であることから、海外原子力発電所事故における実績額に基づく概算額を計上している。
b 福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止に関する費用または損失のうち加工中等核燃料の処理費用 今後の使用が見込めない加工中等核燃料に係る処理費用について、使用済燃料再処理等準備引当金の計上基準に準じた見積額を計上している。 なお、装荷核燃料に係る処理費用は使用済燃料再処理等準備引当金に含めて表示している。
c 福島第一原子力発電所5・6号機及び福島第二原子力発電所の原子炉の安全な冷温停止状態を維持するため等に要する費用または損失 被災した福島第一原子力発電所5・6号機及び福島第二原子力発電所の今後の取扱いについては未定であるものの、原子炉の安全な冷温停止状態を維持するため等に要する費用または損失は、新潟県中越沖地震により被災した柏崎刈羽原子力発電所の復旧等に要する費用または損失と同程度と判断し、これに基づく見積額を計上している。
d 火力発電所の復旧等に要する費用または損失 被災した火力発電所の復旧等に要する費用または損失に備えるため、当連結会計年度末における見積額を計上している。資産の損壊状況の把握が困難であるものについては、再取得価額に基づく除却損相当額を見積り、その損失見込額を計上している。
(追加情報)
・当連結会計年度末における災害損失引当金残高の内訳
56,495百万円 @新潟県中越沖地震による損失等に係るもの
775,278百万円 A東北地方太平洋沖地震による損失等に係るもの
A内訳
a 425,000百万円 原子炉等の冷却や放射性物質の飛散防止等の安全性の確保等に要する費用または損失
b 4,472百万円 福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止に関する費用または損失のうち加工中等核燃料の処理費用
c 211,825百万円 福島第一原子力発電所5・6号機及び福島第二原子力発電所の原子炉の安全な冷温停止状態を維持するため等に要する費用または損失
d 49,710百万円 火力発電所の復旧等に要する費用または損失
e 84,270百万円 その他
計 831,773百万
・福島第一原子力発電所1〜4号機の安全性の確保等に要する費用または損失のうち中長期的課題に係る費用または損失の見積り
原子力発電所の廃止措置の実施にあたっては予め原子炉内の燃料を取出す必要があるが、その具体的な作業内容等の決定は安定的冷却状態が確立し原子炉内の状況を確認した後の判断となる。したがって、平成23年5月17日に公表した「福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋」において具体的なロードマップを示していない中長期的課題に係る費用または損失については、燃料取出しに係る費用も含め変動する可能性があるものの、現時点の合理的な見積りが可能な範囲における概算額を計上している。
(短信P28)
原子力発電施設解体費の計上方法
「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(昭和32年6月10日 法律第166号)に規定された特定原子力発電施設の廃止措置について、「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第21号 平成20年3月31日)第8項を適用し、「原子力発電施設解体引当金に関する省令」(経済産業省令)の規定に基づき、原子力発電施設解体費の総見積額を発電設備の見込運転期間にわたり、原子力の発電実績に応じて費用計上する方法によっている。また、総見積額の現価相当額を資産除去債務に計上している。 なお、被災した福島第一原子力発電所1〜4号機については、平成23年5月20日開催の取締役会においてその廃止を決定したため、当連結会計年度において、原子力発電施設解体費の総見積額と原子力の発電実績に応じて計上した累計額との差額については、災害特別損失に計上している。
(追加情報)
・福島第一原子力発電所1〜4号機の解体費用の見積り 被災状況の全容の把握が困難であることから今後変動する可能性があるものの、現時点の合理的な見積りが可能な範囲における概算額を計上している。
(短信P29)
資産除去債務の計上額は、759,907百万円(うち、原子力発電施設解体引当金からの引継額は510,010百万円)
(短信P30)
(連結貸借対照表関係)
原子力損害の賠償に係る偶発債務
東北地方太平洋沖地震により被災した福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害について、わが国の原子力損害賠償制度上、当社は原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年6月17日 法律第147号)の要件を満たす場合、賠償責任を負うこととされている。また、その賠償額は原子力損害賠償紛争審査会が今後定める指針に基づいて算定されるなど、現時点では賠償額を合理的に見積ることができないことなどから、計上していない。 一方、政府より「東京電力福島原子力発電所事故に係る原子力損害の賠償に関する政府の支援の枠組みについて(平成23年5月13日 原子力発電所事故経済被害対応チーム 関係閣僚会合決定)」が公表された。この枠組みでは、当社は被害を受けられた皆さまに対し、新設される支援組織(以下「機構」という)から必要な資金の援助を受け、責任をもって補償を行うこととされている。また、電力の安定供給の維持及び金融市場の安定等を考慮し、当社は機構に対し毎年の事業収益等を踏まえて設定される特別な負担金を支払うこととされている。当社は徹底した経営合理化による費用削減や資金確保に取り組み、この枠組みの中で賠償責任を果たしていく予定である。
(短信P30-)
(連結損益計算書関係)
災害特別損失
東北地方太平洋沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用または損失を計上している。 当社グループの原子力発電所、火力発電所及び流通設備等が甚大な被害を受け、その被害額の全容の把握が困難であることなどから、現時点の合理的見積りが可能な範囲における概算額を計上しており、その内容は、原子炉等の冷却や放射性物質の飛散防止等の安全性の確保等に要する費用または損失、福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止に関する費用または損失等である。 なお、平成23年5月20日開催の取締役会において、福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止及び同発電所7・8号機の増設計画の中止について決定したため、当連結会計年度に廃止及び中止に関する費用または損失を計上している。
(1)災害特別損失に含まれる費用または損失の計上方法等 イ 原子炉等の冷却や放射性物質の飛散防止等の安全性の確保等に要する費用または損失
福島第一原子力発電所の事故の収束に向け、原子炉及び使用済燃料プールの安定的冷却状態を確立し、放射性物質を抑制するための費用または損失を計上しており、その具体的な内容は、燃料域上部までの格納容器への注水、原子炉熱交換機能の回復、使用済燃料プールへの注水、放射性物質で汚染された水(滞留水)の保管・除染処理、原子炉等からの燃料取出し等に係る見積額である。
これらのうち、平成23年5月17日に公表した「福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋」における当面の取組みのロードマップに掲げた目標であるステップ1(放射線量が着実に減少傾向となっている)及びステップ2(放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられている)に係る費用または損失については、具体的な目標期間と個々の対策の内容に基づく見積額を計上している。
一方、具体的なロードマップを示していない中長期的課題に係る費用または損失については、工事等の具体的な内容を現時点では想定できず、通常の見積りが困難であることから、海外原子力発電所事故における実績額に基づく概算額を計上している。
ロ 福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止に関する費用または損失
@ 被災した原子力発電設備について、被災状況から今後の復旧が見込めない設備であると合理的に判断できるものの、その資産の特定が困難であるものについては、固定資産の減損処理に基づく損失額を計上している。
A 原子力発電施設の解体費用について、「原子力発電施設解体引当金に関する省令」(経済産業省令)に基づく総見積額と発電実績に応じて計上した累計額との差額を計上している。
B 装荷核燃料及び加工中等核燃料のうち、今後の使用が見込めない核燃料に係る損失について、評価損を計上するとともに、当該核燃料の処理費用について、使用済燃料再処理等準備費に準じて計上している。
ハ 福島第一原子力発電所5・6号機及び福島第二原子力発電所の原子炉の安全な冷温停止状態を維持するため等に要する費用または損失
被災した福島第一原子力発電所5・6号機及び福島第二原子力発電所の今後の取扱いについては未定であるものの、原子炉の安全な冷温停止状態を維持するため等に要する費用または損失は、新潟県中越沖地震により被災した柏崎刈羽原子力発電所の復旧等に要する費用または損失と同程度と判断し、これに基づく見積額を計上している。
ニ 福島第一原子力発電所7・8号機の増設計画の中止に伴う損失 福島第一原子力発電所7・8号機の増設計画の中止について、平成23年5月20日開催の取締役会において決定したため、当連結会計年度に当該増設計画に係る建設仮勘定の額を減損損失として災害特別損失に含めて計上している。
ホ 火力発電所の復旧等に要する費用または損失
被災した火力発電所の復旧等に要する費用または損失を計上しており、資産の損壊状況の把握が困難であるものについては、再取得価額に基づく除却損相当額を見積り、その損失額を計上している。
なお、当該損失計上額は、一部を除き発生見込額である。
(2)災害特別損失の主な内訳
イ 426,298百万円 原子炉等の冷却や放射性物質の飛散防止等の安全性の確保等に要する費用または損失
ロ 207,017百万円 福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止に関する費用または損失
内訳
@ 101,692百万円 原子力発電設備に関する減損損失
A 45,842百万円 原子力発電施設の解体費用
B 44,855百万円 核燃料の損失
14,627百万円 核燃料の処理費用
ハ 211,825百万円 福島第一原子力発電所5・6号機及び福島第二原子力発電所の原子炉の安全な冷温停止状態を維持するため等に要する費用または 損失
ニ 39,360百万円 福島第一原子力発電所7・8号機の増設計画の中止に伴う損失
ホ 49,724百万円 火力発電所の復旧等に要する費用または損失
へ 86,270百万円 その他
計 1,020,496百万円
(3)災害特別損失に含まれる減損損失
イ 資産のグルーピングの方法
@電気事業に使用している固定資産は、発電から販売まですべての資産が一体となってキャッシュ・フローを生成していることから、廃止を決定し代替的な投資も予定されていない資産のうち重要なものを除き全体を1つの資産グループとしている。
A電気事業以外の事業に使用している固定資産は、原則として事業毎、地点毎に1つの資産グループとしている。
Bそれ以外の固定資産については、原則として個別の資産毎としている。
ロ 減損損失を認識した資産または資産グループ
減損損失101,692百万円 福島第一原子力発電所1〜4号機(福島県双葉郡大熊町)
減損損失 39,360百万円 福島第一原子力発電所7・8号増設工事
固定資産の種類ごとの内訳
建物 2,335百万円
構築物 2,103百万円
機械装置 90,169百万円
建設仮勘定 45,241百万円
その他 1,204百万円
ハ 減損損失の認識に至った経緯
福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止及び同発電所7・8号機の増設計画の中止の決定に伴い、投資の回収が困難であるため、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として災害特別損失に含めて計上している。
ニ 回収可能価額の算定方法
回収可能価額は正味売却価額を使用しており、正味売却価額については、他への転用や売却が困難であるため零円としている。
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