2011年05月18日

パーソナル・ファイナンス(個人のお金の管理)について考えてみた

ちょっとした思いつきではありますが、パーソナル・ファイナンス(個人のお金の管理)をどうやったら良いのかということを考えてみました。
パーソナル・ファイナンスとは、その人の生き方をふまえた「お金の管理」のことを言います。
基本的な事は、マネールック(MoneyLook)というサイトで解説されています。
(マネールックへのリンク) https://www.moneylook.jp/contents/personal_finance/what_personal_finance.html

人生で付き合うお金については、意外と漠然としか考えていない方がほとんどではないかと思います。(私も、頭の中ではたまに考えますが、データに落としたことはありません)
厳密に帳簿をつけることは多くの人にとって非現実的ですが、最低限、頭で描いておくのとおかないのとでは、人生設計の判断ミスを招く可能性がありますから、一回は、また出来れば年に一度くらいは考えてみても損はないでしょう。

内容については、主に、一般のビジネスマンを想定しています。
また、特に何かを参照したわけでもないので、私の独自の「こう考えるのが良いだろう」的なところが入っています。
特に、B/SやP/Lについて、B/SやP/Lという言葉こそ使用していますが、一般の企業会計の方法とはかなり異なった捉え方で考えています。
(よく分からないところ、修正を加えた方が良いところや、見落としているポイントなど、何でもご指摘ご連絡を頂けますと大変嬉しいです)

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@現状認識を考える
BS現状ベース.jpg

まずは、バランスシートで現状の姿の把握を行います。
資産サイドは、キャッシュ及び換金価値で捉えます。
あくまでも「お金」の状況の把握ですから、「お金」にならないと意味がありません。そのため、バランスシートは、全て換金可能な価値で把握するのが良いのかと思います。
その他換金可能資産は、いざという時には売却可能なもの(アクセサリーや車、趣味で収集したもので換金価値のあるもの等)を念頭に入れています。

負債サイドは、ローンの元本や、今の時点で支払をしないといけないことが確定していか確実なもの等を入れておくものです。未払のカード支払等で金額も多額でない場合はあまり気にせずキャッシュの入出金ベースでも問題はないかと思います。

資産と負債の差額が正味財産となります。
住宅ローンがある場合、不動産は一般に購入した瞬間に売却可能見積額が住宅ローン元本より少なくなるため、マイナスとなる人が多いかもしれません。だからといって悲観する必要もありません。大事なのは次の「将来も含めた時価ベース」です。

損益計算書(P/L)
(+)事業・給与収入の手取り
(-)ライフスタイル経費(固定費)
(-)ライフスタイル経費(変動費)
 ネット収入
(+)(-)金利・配当・家賃収入(ネット)
(-)ローン返済額(元利)
 収支合計
(+)(-)金融商品・不動産・換金可能資産の時価変動
 正味財産の増減

私見ですが、個人の財産管理上、P/Lは発生主義会計で行うのではなく、現金収支をベースとしたもので十分であるかと考えます。
収支や正味財産の増減の状況です。概ね過去1年程度や、確定的な見込みを踏まえた暦年ベースでの収支をイメージすれば良いと思います。
ライフスタイル経費のうち固定費は、自分が考える生活に必要不可欠な支出で定期的に発生するもののイメージです。持家でない人の家賃、教育費、携帯代、光熱費、必要な交際費、やめる気のない趣味に掛けるお金です。
変動費は、必ずしも必要かつ自分が考える必要不可欠な生活をする上で必要なものではないが、人生をより楽しむための支出や、定期的でなく一時的な支出です。
変動費と固定費を分けるのは、支出の管理をその方がしやすいのと、将来の発生見込み額を把握しやすくするという趣旨です。何を変動費とするか固定費とするかは、自分の価値観や生活スタイルに従って考えれば良いのかと思います。
手取り収入に対して固定費が大きい状況は浪費的な生活を送っていて、逆に固定費が小さい状況は節約志向であると言えるでしょう。もちろん、「ネット収入」がプラスでないと貯金はなかなか増えていきません。

最後の
(+)(-)金融商品・不動産・換金可能資産の時価変動
正味財産の増減
は、一応B/Sと繋げるためのための欄です(包括利益のようなイメージになります)。そもそも始めてバランスシートを作ってみる場合には考える必要はありません。

A将来も含めて考える(便宜的に「時価ベース」と表現します)
BS時価ベース.jpg

人生プランを考えて作成しないと一気に数字を入れて作れるものでもないかと思いますが、現時点で考えられる、現状の資産と将来の自分の生涯での収支予測に基づくバランスシートです。
理論的には将来予定分はインフレ率を考慮して割引現在価値の金額にするのが正しいとご指摘を受けそうですが、直観的に分かりずらくなる恐れがある気がします。将来の予定の収支額に直接インフレ等を反映して作成し、割引前で捉えるので問題ないかと思います。低金利下の日本の状況であまり難しく考えても仕方ないかとも思います。
項目は、現状ベースに加えて、考慮すべきものを加えてあります。「ネット」というのは、今から将来の支払額と受取額の差額という意味です。
「生涯売却予定のない資産」というのは、子ども達に代々残していく資産です。例えば、不動産を持っていてずっと引き継いでいく予定なら、ここで資産の金額からマイナスします。

時価ベースの正味財産が大きければ大きいほど人生を楽しむ資金的な余裕があることになります。
正味財産がマイナスだと、何かを変えないといけないのかもしれません。

将来予測版の損益計算書(P/L)
(+)将来の事業・給与収入の手取り合計
(-)将来のライフスタイル経費(固定費)の合計
(-)将来のライフスタイル経費(変動費)の合計
 予定ネット収入
(+)(-)将来の金利・配当・家賃収入(ネット)の合計
(-)ローン支払額の元利合計
(+)(-)上記からその他全ての収支合計
 予定収支合計

将来P/Lは、B/Sを作成する基礎データとして使用します。
ライフプランに沿って年次別に区切って作成していき、足し合わせるイメージです。ここで作成された数字を時価ベースのバランスシートへ繋げることになります。
将来プランなので、画一的に作れるものでもありません。いくつかの想定ストーリーを考え、シナリオ別に何パターンか作ってみるというのがベストな方法なのかなと思います。

こうして考えると、パーソナル・ファイナンスというものも、把握しておくべき大事なことだと多くの方が思うかもしれませんが、簡単なものでもなさそうです。
インプットデータを入れたら分かりやすいアウトプットが出てくて、なるべく自動で簡単にデータを収集でき、人生設計や個人の価値観を反映してトータル的にアドバイスを行い、その上で必要な金融商品やファイナンスを提供するサービスというものは、まだまだ日本では根付いていないし総合的なサービスを提供するところは実質的に無いので、一つの有望分野ではあるかと思います。
本来なら銀行が行うべきものではありますが、個人の価値観に合わせたサービスではなく銀行の価値観に従ったパッケージングされたサービスの提供しかされていないのが現在のレベルかなと思います。
内容の見直しを行いブラッシュアップした上で、時間があれば(要望があれば?)、簡単なエクセルシートくらい作ってみても良いかなとは思います。

*B/S・P/Lの意味(腹式簿記の仕組み)が分からないという方は、以前の記事をご参照下さい。
会計の基礎@ 会計(簿記)の仕組み@(会計の個々の「取引」、複式簿記の仕組み、仕訳の基本等について)
http://money-learn.seesaa.net/article/179642938.html




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