2011年03月17日

東京電力株(9501)についての現状下の検討まとめ 2011/3/17

東京電力株が非常に興味深い局面となっています。
私自身もまだ状況把握について未消化であり、かつ、まとまった情報になっていませんが、現状認識のシェアのためアップ致します。

東京電力(9501)についての検討まとめ(*個人的見解を含み、まだ消化し切れておりません)
・地震後に初めて寄り付いた2011/3/17は安値715円、高値860円で変動幅は145円、始値を基準とした変動率は19.6%である。出来高は181,489,400株、発行済株式数1,607,017,531株であり、出来高の発行済株式数に対する比率は11%)
・2010年12月末の純資産は2兆9821億円で、一株当たり純資産は1,833.16円。2010年3月末の福島原発を含む発電所数3か所(福島第一、福島第二、柏崎刈羽)の固定資産の簿価は6,709億円。
・2010年秋に公募増資により4,468億円を調達しており、2010年12月末の現金及び現金同等物残高は4,320億円ある。ただし、有利子負債は7兆4711億円ある。
・電力供給地域へのほぼ完全独占の事業であり、生活に必要不可欠である。今般の停電等の影響により、いかに必要不可欠であるかが逆に実感される。
・極めて公益性が高く、事業体が存在しなくなる可能性はないが、万が一の場合にはJALのように倒産後に国有化される可能性が絶対にないとは言えない。
・供給地域へのライフラインとして極めて公益性が高く、かつ、競合もなく、他社の参入は事実上不可能であり、現実的な値段の上下では需要の変動は大きく変化しないとも考えられる。中長期的には価格転嫁により存続がされると考えられる。政治的な意図により現時点で想定せざる事態が起こる可能性はある。中長期的には画期的な発電手段の発明により、電力の伝送機能以外に競合が現れる可能性は完全には否定できない。
・現状の不透明な要因
 ・福島原発の行方が極めて不透明であり、また、余震も続いており、どのような事態が起きるか想定できず、進展を見守るしかない。
 ・福島原発に変わる電力供給手段への投資規模、福島原発が廃炉になった場合の処理コスト、今般の事故の対応費用及び近隣地域や住民への保障費用の発生等の定量的な規模が想定できない。例えば、平成23年3月期年度決算への影響としては原発の固定資産の減損損失の発生、資産除去債務の計上額の修正、災害損失関連の引当金等が考えられる。
 ・東京電力へのネガティブキャンペーンが行われ、想定されない方向へ向かう可能性が完全には否定できない。
・保守的に考えるならば、2011年3月期の配当は期待しない方がよさそうである。
・現状の不透明な要因は、今から年度決算短信発表及び来期計画等の発表までの間にかけて、徐々に株価に織り込まれていくとみられ、それまでの間、高いボラティリティが継続するものと思われる。

東京電力関連リンク:
東京電力IRページ
http://www.tepco.co.jp/ir/index-j.html
プレスリリース 2011年
http://www.tepco.co.jp/cc/press/index-j.html
東京電力グループ 中長期成長宣言 2020ビジョン(平成22年9月)
http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/company/philosophy/vision2020/index-j.html
平成23年第3四半期の四半期報告書
http://www.tepco.co.jp/ir/tool/yuho/pdf/2010_3-j.pdf
平成23年第3四半期の決算短信
http://www.tepco.co.jp/ir/tool/kessan/pdf/1103q3tanshin-j.pdf
2011年3月期第3四半期決算補足資料(アナリスト向け説明会資料)
http://www.tepco.co.jp/ir/tool/setumei/pdf/110131setsu-j.pdf
平成22年3月期 有価証券報告書
http://www.tepco.co.jp/ir/tool/yuho/pdf/201006-j.pdf

トップページ > 原子力
http://www.tepco.co.jp/nu/index-j.html

3/11終値
2,121円

3/14終値 *ストップ安値付かず
1,621円(比例配分 1,775,800株)

3/15終値 *ストップ安値付かず
1,221円(比例配分 2,125,400株)

3/16終値 *ストップ安値付かず
921円(比例配分 6,251,000株)
(Bloomberg)終値ベースでの1000円割れは、1983年9月19日以来、約27年半ぶり。時価総額は14日から3日間の急落で1兆9284億円が吹き飛び、1兆4800億円になった。

3/17 *売買成立
終値 798円(変動幅は145円、始値を基準とした変動率は19.6%)
高値 860円
安値 715円
始値 741円

・午前9時58分に前日日20%安の741円で4営業日ぶり完全合致で寄り付き
・売買成立後、午前中は、株価はいったん715円まで下げ、その後791円まで上昇するなど乱高下
・午前中出来高 97,887,900 株 *平成23年に入っての出来高は概ね3百万株〜6百万株程度の日が多い
・午後も乱高下は継続、終値は798円、終値での時価総額は1兆2823億円。純資産は2兆9821億円。
・一日出来高 181,489,400 株(発行済株式数 1,607,017,531株 出来高の発行済株式数に対する比率は11%)

平成22年12月末
総資産 2,982,150百万円
純資産 13,795,134百万円
一株当たり純資産 1,833.16円
発行済み株式数 1,607,018千株
*平成22年10月に公募増資 254,150千株増加(現発行済株式数に対する割合15.8%)
*2011/3期の株式の発行による収入は446,893百万円
現金及び現金同等物(キャッシュ)期末残高 432,082百万円
従業員数 53,036人

(百万円)
   H22/12末   H22/3末
流動資産        1,381,594   982,586
 現金及び預金      366,494   180,183
固定資産        12,413,540 12,221,400
 うち電気事業固定資産 7,781,698  7,814,291
  うち原子力発電設備  852,449   667,866

流動負債 2,079,673 1,913,019
固定負債 8,724,727 8,769,385
*資産除去債務 772,165 -

有利子負債
固定負債-社債 4,504,633 4,739,625
固定負債-長期借入金 1,566,677 1,614,384
流動負債-1年以内に期限到来の固定負債 1,015,158 747,606
流動負債-短期借入金 384,645 363,643
合計 7,471,113 7,465,258

純資産 2,982,150 2,516,478

(百万円)
平成22年4月-12月
売上     3,959,930
経常利益    278,640
純利益     139,896
1株当たり純利益   97.82

平成22年3月期の有価証券報告書より:
原子力発電設備
提出会社の設備概況
平成22年3月31日現在
区分
原子力発電設備 発電所数 3か所
最大出力 17,308,000kW
設備概要
簿価(百万円)
土地 22,884「土地」の面積は9,740千u)
建物 61,193
機械装置その他 586,866
計  670,944
従業員数 3,225人

原子力発電設備
平成22年3月31日現在
発電所名 所在地        出力(kW) 土地面積(千u)
福島第一 福島県双葉郡大熊町 4,696,000   3,944
福島第二 福島県双葉郡楢葉町 4,400,000    1,575
柏崎刈羽 新潟県柏崎市     8,212,000   4,231

平成22年度第3四半期 四半期報告書より
平成22年4月〜12月
発受電電力量  20,997百万kWh
全電力合計   75,278百万kWh
原発の発電量割合  27.9%

関連ニュースへのリンク及び記事サマリー等へ続きます。

**続きは下の「続きを読む」をクリックしてお進み下さい。


【関連ニュースへのリンク】
ロイター 2011/3/17 09:12
焦点:東京電力の信用リスク拡大、再生に険しい道のり
http://jp.reuters.com/article/companyNews/idJPJAPAN-20085320110317?feedType=RSS&feedName=companyNews&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2FJPCompanyNews+%28News+%2F+JP+%2F+Company+News%29
記事要旨
・発電の代替策となる火力発電所の稼働増で燃料費の増加が見込まれるほか、販売電力の減少や設備の復旧費用などで収益は大幅に悪化する見通し。
・「必要なら政府が救済に動くとみられ、破たんの可能性は小さい」(機関投資家)、地域独占企業で日本全体の電力の約3分の1を供給する公益企業の雄を「政府が見放すことはない」(外資系証券アナリスト)との見方もあるが、未曽有の危機からの険しい再生の道のりが待ち受けている。福島原発事故を巡っては、東電のリスク管理や情報開示など経営の不備を批判する声もある。
・「東電は企業として非常に難しい時を迎えている」(みずほ投信投資顧問の荒野浩理事)という見方で多くの市場参加者は一致する。
・今回の福島原発を取り巻く未曾有の事態に収束のメドはたっていないが、たとえ東電が事態を収拾し、設備の復旧に取り組める時期がきても、復旧作業や運転再開への国や自治体からの承認プロセスには長い時間を要する公算が大きい。東電は発電電力量の3割程度を原子力で賄っているが、福島原発停止中は火力発電に頼らざるを得ず、燃料費負担が重くのしかかる。
・大和証券キャピタル・マーケッツのアナリスト、阿部聖史氏は「福島第1・第2原発の停止を火力発電の焚き増しなどで補う場合、燃料費負担は年間5000─6000億円規模で増加する」と試算しており、「2012年3月期に相当額の赤字計上が避けられない」と予想。
・東電は安全確保のために福島第1原発1─3号機に海水を注水しており、アナリストの多くはこれらの原子炉が廃炉となる可能性が高いとみている。大和CMの阿部氏は「特別損失の認識・計上のタイミングによっては11年3月期も大幅赤字に転落する可能性が否定できない」と指摘する。今回の地震と津波による原発設備の被害は広範に渡っており、復旧にも多額の資金が必要となる。柏崎刈羽原発に関しては復旧費用など災害特別損失として08年3月期に1916億円、09年3月期に563億円を計上したが、「福島原発の復旧費用はこれを大きく上回る」(国内証券アナリスト)との見方が優勢。
・東電は2010年秋、公募増資で約4500億円を調達。「資金の一部は復旧費用に充てざるを得なくなる」(外資系証券アナリスト)との声も。東電が2010年発表した「2020ビジョン」では、向こう10年間に原発など低炭素化事業に2.5兆円、海外など成長事業に1兆円を投じる方針を掲げており、増資による調達資金もこれらの成長事業に充当する予定だったが、今回の事故で「攻め」から「守り」に逆戻りする可能性もある。
・原発事故を受け、東電の財務悪化懸念や信用リスクに対する警戒感で、東電のCDSプレミアムが週明けから急拡大。前週末40ベーシスポイント(bp)前後だったプレミアムは、16日には一時400bpと前週末の10倍までワイド化した。「原発事故で財務への打撃は避けられず、海外勢が仕掛け的にワイド化の動きを強めたほか、社債を保有する一部プレーヤーがヘッジ(損失回避)目的で買いを入れた」(国内金融機関)との指摘もある。
・S&Pは15日、「東電の発受電電力量の約20%を占める福島第1、第2原発が運転停止となり、電力の安定供給体制に問題が生じているほか、同格付けの他の事業会社に比べ債務負担が重い東電のキャッシュフロー関連指標や資本・負債構成が悪化する可能性が高まった」として、東電の長期・短期格付けを引き下げ方向で「クレジット・ウオッチ」に指定した。
・CLSAアジア─パシフィック・マーケッツのアナリスト、ペン・バワーズ氏は、東電が火力発電の拡大に伴う燃料費コストの増加に対応できるよう政府は電気料金の引き上げを認めると予想する。
・ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊地真CEO兼CIOは、東電が窮地に追い込まれたとしても「公的資金を入れるなりして国が救済するだろうから、東電が破たんすることはない」とみる。ただ、原発事故の今後の展開が読めないなど「(東電にとって)方向性は確実にネガティブで、当面は投資の対象にはならない」としている。

Bloomberg 2011/03/17 16:15
東電株は13%安、取引時間内成立で売買活発−ほかの電力株上昇(2)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=al3JIZzjc19Q

日経 2011/3/17 16:12
リスク回避の焦り、やや落ち着く 東京市場ドキュメント
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381949EE3E5E295958DE3E5E2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2

大前研一 2011/3/15
大前研一の「産業突然死」時代の人生論
「福島第一原発で何が起きているのか――米スリーマイル島原発事故より状況は悪い」
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110315/263842/?ST=business&P=1
BBT757program(YouTube) 2011/3/13大前研一氏が今回の地震について解説「東日本巨大地震 福島
原発半径20km以内の住民に避難指示」 http://bit.ly/gCP3Ig

(下記、3/14以降のtwitterでのツイートより)
WSJ「被ばく量によって異なる放射線の影響」 http://on.wsj.com/gfpeGw 大量の放射線被ばくは発がん性リスクが増加。NRCは少量の被ばくや約10万マイクロシーベルト未満の被ばくの結果から生じる発がん性について、それを予測する上で信頼できるデータがないという。

WSJ「被ばくの懸念に直面する街」 http://on.wsj.com/eKPiSq 東京都によると、放射線量は一時、毎時0.809マイクロシーベルトに。通常の約23倍。ただ、レントゲン撮影で受ける400〜600マイクロシーベルトには遠く及ばない。

WSJ「オピニオン/原発の行方、日本の行方」 http://on.wsj.com/i5YcND 東京電力は片付けるべき問題を山のように抱えているが、地域規模の天災によってさらに悪化した状況下においてさえ、チェルノブイリ規模の放出は回避される公算が大きそうだ。

ニュートン「放射線 どんな種類がある? 人体への影響は?」 http://bit.ly/et2299 放射線医学総合研究所 放射線防護研究センター長酒井一夫氏の協力による記事(『Newton 2008年 10月号』に掲載されたもののPdfファイル)

WSJ「地震で日本経済と市場が受ける試練」 http://on.wsj.com/eQguzp 「地震で日本のGDPは打撃―1、2四半期」 http://on.wsj.com/fG5N7J ソシエテ/アジア太平洋担当「中期的には投資は持ち直し始め、日本の成長を下支えするだろう」

みずほリサーチ&コンサル「東北地方太平洋沖地震の影響についての論点整理 」http://bit.ly/i9DI4E 経済活動への影響@工場の操業停止など生産活動への影響Aインフラの破損による物流の停滞B企業・家計のマインドへの影響C電力供給の停滞による経済活動への影響

Bloomberg「日本株は歴代3位の下落率、放射能検出など原発事故の影響を不安視」 http://bit.ly/hHnAk6 「長期金利が午後上昇に転じる、あすの20年入札警戒−先物一時141円台」 http://bit.ly/e2v4m3

WSJ「【社説】不屈の日本」 http://on.wsj.com/dTLCnN 日本は文字通り立ち上がっている。いかにすれば計画と産業社会が自然災害に対処できるかの証として。壊滅的な影響にかかわらず近代国家としての日本の業績がもたらす自国を守るという恩恵は指摘せずにいられない。

Bloomberg「債券は続伸、景気懸念で先物1カ月半ぶり高値圏−日経平均5%超急落」 http://bit.ly/e1V9EI
「日本株急落、東日本震災や停電で景気、業績への影響懸念−保険下げ」
http://bit.ly/eczFSs  

(注)
今回の記事はメモです。下記文中は本ブログ運営者の単なる所感・日記であり、読者に関連銘柄の購入への誘引を意図したり、購入の推奨を含む何らかの示唆を与えるものではありません。
ブログ運営者は一般投資家として関連銘柄の売買を行っている場合があります。




ラベル:東京電力
posted by ASK at 23:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 金融・資本市場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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