2011年03月17日

TOB中の銘柄の株価下落の不思議

震災で多大な被害を受けた方々へ心よりお悔やみ申し上げます。

東京は、当初は今週からは平時に戻るかと思っていましたが、計画停電や原発といった問題で改めて惨事の大きさを実感します。

(注)
今回の記事はメモです。下記文中は本ブログ運営者の単なる所感・日記であり、読者に関連銘柄の購入への誘引を意図したり、購入の推奨を含む何らかの示唆を与えるものではありません。
ブログ運営者は一般投資家として関連銘柄の売買を行っている場合があります。


普段は全く場中の市場の動きをリアルタイムで見ることはないのだが、今週は、常時ではないが傍らで日経225先物や色々な株価の動きを見ている。
3/14(月)、15(火)は株式市場も惨事のようであったが、TOB中の株の株価が大きく下落した。
3/14(月)に、場中にたまたま目についたCCC(4756)の株を購入した。

通常、TOBの成立見通しが低い場合等の特殊要因がない場合には、TOBがかかっている株の株価はTOBの買付価格近辺に張り付く。
TOB価格ちょうどにならないのは、TOBへの応募事務の取り扱い証券会社が特定されているため、一般投資家にとっては株式の移管の手間等を考えると市場で売る方が早いためである。

CCCは600円でTOBがかかっている。TOB期間は2011年3月22日(火)。MBO発表後、地震前までは、概ね596円から598円で推移していた。
それが、今回、株価が下落した。
CCCの月曜以降の安値と終値
3/14 安値 562円 終値 585円
3/15 安値 570円 終値 590円
3/16 安値 585円 終値 591円

アートコーポレーションやワークスアプリケーションも同様に、TOB価格より株価が下落する値動きを見せている。

しかし、600円で買ってもらえると決まっている株の値段が、キャッシュ化までの日数分の金利以上に下がるのは不思議だ。
手数料を抜きで考えると、計算上、580円で買って20円の利益なので利回りは3.4%となる。

月曜(3/11)の一時的な下落は分かる。信用買いの追証発生による強制決済や追証差し入れのためキャッシュがすぐに必要な筋の換金売りがあったのだろう。
しかし、翌日以降も続いた。

3/15(火)の日経新聞朝刊の株式欄には、マネックス証券マーケット・アナリスト金山氏の「合理的な株価ではなく、信用取引の追い証(追加担保差し入れ義務)などに対応する目的で、換金売りをせざるを得ない投資家がいるようだ」と解説された。
日経に出れば、合理的な価格形成が十分にされる程度には一般の目に触れることになっただろうから、3/15(火)にはすぐにTOB価格近辺へいくだろうと思ったが、590円程まで上げたがまだ若干の開きが残っている。安値は570円だが、これは日経平均先物が一時8000円を割れた時間帯に付いた値である。

3/16(水)になっても終値は591円。
利回りが決して高くはないが短期で確実性を考えれば悪くはないはず。
野村が自己売買で買い集めてしまうんじゃないかとも思うのだが(利益相反とかで規制があるんですかね?)、不思議な値付けがされている。

流動性低下に伴う下げ要因以外は何だろう。
何らかのリスクを市場が織り込んだのかを考えなくてはいけない。
考え付くリスク要因は、倒産リスク、MBOの不成立、TOB価格引き下げ、TOB取り下げあたりか。
下記は完全に個人的な読みだが、
・倒産リスク・・・地震の影響が甚大でMBOされる前に倒産するリスクがないかは、確率論ではやや倒産リスクは上がるのだろうが、現状では無視していいだろう。
・MBOの不成立リスク・・・CCCのTOBにはマジョリティ・オブ・マイノリティ(*下記参照)の応募という成立条件が付いている。ここは少々気になるところではある。しかし、これだけ物議をかもして応募が足りなかったから「やっぱり上場維持続けます」はあり得ない。不成立ならTOB価格が引き上げられるだろう。
・TOB価格引き下げリスク、TOB取り下げリスク・・・地震による影響で将来収益の見通しが不透明あるいは下方へ修正ということはあってもそもそも「TOB価格が低いのではないか」と取締役会や独立した第三者算定機関からの指摘を振り切って行っている。始まってしまったTOBの変更は手続上においても厳しいはず。
といったところと私は思う。
特段の理由は思い当たらない。

CCCだけでなく、他のTOB銘柄も同様の値動きであることを考えると、個別要因ではなく流動性によるものが大部分の要因なのだろうなと考えた。

本件TOBのプライシングの件は色々とあるが、色々とありすぎて今回は書く余裕がないのと今回の検討事項に直接の関係がないため省略するが、不成立リスクの「マジョリティ・オブ・マイノリティ」については加筆をしておきたい。
(下の「続きを読む」をクリックしてお進み下さい。)



CCCのMBO成立の可否は、「株主の判断に委ねる」とされている。
ロイター 2011年2月4日
〔焦点〕株主に判断委ねるCCC<4756.T>のMBO、取締役会が応募推奨しない異例のケース
記事リンク:http://jp.reuters.com/article/stocksNews/idJPnTK052352220110203

・マジョリティ・オブ・マイノリティ(公開買付者の非利害関係者が所有する普通株式数の過半数)の応募について(下記【参考】に詳細記述))
@発行済株式総数(自己株式控除後)188,504,067株(194,243,620 株−5,739,553 株)
A増田社長関係保有数 79,257,000株(42%)(77,307,000 株+1,950,000 株)
B新株予約権の目的である当社の普通株式の数 4,992,700株
@−A+B=114,239,767株
「公開買付者は、当社の少数株主の皆様の意思を重視して、本公開買付けに応募する旨の合意をしている大株主以外の多数の株主の皆様の賛同が得られない場合には、本公開買付けを行わない」とされている。

【参考】
(3)買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置
Eマジョリティ・オブ・マイノリティに相当する買付予定数の下限の設定
(下記、平成23年2月3日CCC開示資料「MBO の実施及び当社株式等に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」より引用)
「公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定の株券等の数の下限(59,069,884 株)以上の応募があることをその成立の条件としております。この買付予定の株券等の数の下限(59,069,884 株)は、当社が平成22 年11 月11 日付で提出した第26 期第2 四半期報告書に記載された平成22 年9 月30 日現在の発行済株式総数(194,243,620 株)から、(i)同四半期報告書に記載された平成22 年9 月30 日現在の当社の自己株式数(5,739,553 株)、(ii)増田宗昭氏が応募しない旨を表明している同氏所有に係る当社の普通株式数(77,307,000 株)及び(iii)M&P が所有する本日現在の当社の普通株式数(1,950,000 株)を控除し、かつ、同四半期報告書に記載された本新株予約権(但し、公開買付期間末日までに権利行使期間が未到来の本新株予約権については、行使されて当社の普通株式となる可能性がございませんため、当該新株予約権の目的である当社の普通株式の数(2,195,000 株)は加算しておりません。)の目的である当社の普通株式の数(4,992,700株)を加えた普通株式数(114,239,767 株)の過半数(57,119,884 株。これは、公開買付者の非利害関係者が所有する普通株式数の過半数、即ち、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」に相当する普通株式数に当たります。)を基礎として、これにM&P が所有する本日現在の当社の普通株式数(1,950,000 株)を加えて設定したものです。よって、公開買付者は、当社の少数株主の皆様の意思を重視して、本公開買付けに応募する旨の合意をしている大株主以外の多数の株主の皆様の賛同が得られない場合には、本公開買付けを行わないこととしております。



posted by ASK at 00:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 金融・資本市場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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