(前回記事)
http://money-learn.seesaa.net/article/185588076.html
日本板硝子がIFRS適用に向けた説明資料を公表しました。
2011年4月1日よりIFRSを適用することを2010年11月4日に表明していましたが、それに伴う影響額等を公表しています。
IFRS移行日となる2010年3月31日時点での開始貸借対照表が開示されています。各項目について日本基準とIFRSの数値を記載しています。IFRS適用によって純資産が40,026百万円減少することなどを説明しています。各項目について会計処理の方針も記載しています。
適用のタイムテーブルの詳細は「説明資料」で説明されています。
日本板硝子 プレスリリース(2011年2月25日付)
国際会計基準(IFRS)適用準備について
http://www.nsg.co.jp/press/2011/0225.html
・適用のタイムテーブル
・2011年3月期の開始貸借対照表にあたる、IFRSを適用した2010年3月31日時点の
開始貸借対照表
・2011年3月期通期業績予想へのIFRS適用影響
・2010年11月4日公表の戦略的経営計画(SMP)へのIFRS適用影響
日本板硝子決算説明会資料ページ
国際会計基準(IFRS)の2011年4月1日からの適用について(2011年2月25日)
http://www.nsg.co.jp/ir/library/presentation.html
説明資料PDF:http://www.nsg.co.jp/ir/library/pdf/20110225.pdf
解説付き説明資料PDF:http://www.nsg.co.jp/ir/library/pdf/20110225-02.pdf
他、ナレーション付き説明資料(音声)もあります。
説明資料では、開始貸借対照表(2010年3月31日時点)、予想損益計算書(2011年3月期)に係る日本基準とIFRSへの修正で影響のある項目別に、分かりやすく作成されており、見やすさ等への配慮も感じられます。
開始貸借対照表の影響額(日本基準⇒IFRS 単位:十億円)
資産合計 933⇒945
負債合計 693⇒745
資本合計 239⇒199
影響として、金額的に目に付くものは、
<開始貸借対照表(2010年3月31日時点)>
・非流動資産 無形資産 113⇒118 (説明資料p14)
うち主なもの、資産計上要件を満たす開発費用 5
(説明)
一定の要件をみたす開発費用について、無形資産として計上(IAS第38号第57項)
・非流動資産 売却可能投 17⇒10 (説明資料p17)
うち主なもの、持分法で処理されている投資への振替 8(*1)、公正価値評価 2(*2)
(説明)
(*1)重要な影響力の認識基準(IAS第28号第6項)に照らして、日本基準では原価で計上されていた関連会社投資について、IFRSでは持分法(IAS第28号第11項)を適用
(*2)その他の売却可能投資についても、公正価値で評価。(IAS第39号第48項)
・流動負債 引当金 20⇒23 (説明資料p28)
内容は、有給休暇引当金 2
(説明)
権利が確定し債務としての性格を持つ有給休暇について、日本での付与分を引当金として追加計上。(IAS第37号第14項)
・非流動負債 金融負債 319⇒349 (説明資料p29)
うち主なもの、優先株式 30(資本の資本剰余金が30減が対応:説明資p33)
(説明)
優先株式は、IFRSでは負債として扱う。(IAS第32号第11項)
・非流動負債 退職給付引当金 59⇒81 (説明資料p31)
うち主なもの、日本基準における未認識債務の一括認識 25
(説明)
退職給付債務は、未認識部分を残さず全額を負債として計上。(IAS第19号第54項)
*退職給付債務の増加に伴い、繰延税金資産・法人所得税費用へも影響している。
・資本 (説明資料p33)
利益剰余金(IFRS移行に伴う為替換算調整勘定振替)△68
評価・換算差額等 68
(説明)
開始貸借対照表に関する調整は全て、2010年3月31日現在の為替レートで換算し、算出。
また、IFRSの初度適用企業に認められているオプションを適用し、為替換算調整勘定については、累積額を利益剰余金に全額振替え、残高をゼロとした。
為替換算調整勘定に計上されていたマイナスは、利益剰余金に吸収されますが、これまでの利益剰余金額と区別可能なよう新たに細目を設定し表示する予定です。新設の細目名は、「IFRS適用に伴う為替
換算調整による利益剰余金」となる予定。
<予想損益計算書(2011年3月期)>
・償却前営業利益 33⇒35 (説明資料p36)
うち主なもの、退職給付費用 5(*1)、表示の組替 △3(*2)
(説明)
(*1)退職給付の数理差異損益について、J GAAPでは損益計算書で償却され認識されていたが、IFRSではその他包括利益で認識。(IAS第19号第93A項)
(*2)表示の組替とは、IFRSとJ GAAPとの間で損益計算書の表示箇所が異なる科目に関する調整。特別損益や営業外損益から営業費用への組替等。
・償却費 18⇒9 (説明資料p37)
うち、のれん償却費 6(*1)、ピルキントン・ブランド償却(*2)
(説明)
(*1)のれん及びピルキントン・ブランドは、J GAAPでは20年で償却されていたが、IFRSでは耐用年数の確定できない資産となるため期間償却は行わない。(IAS第38号第88項)
(*2)IFRS第3号に従い、ピルキントン買収に伴って発生したその他の無形資産については、20年を超えない経済的耐用年数にわたって償却を継続。
*日本板硝子は、2006年6月にピルキントン社を約6,160億円で買収している。
2006年2月27日付プレスリリース
英国ピルキントン社の買収手続き開始について
http://www.nsg.co.jp/press/2006/0227.html
・営業外損益項目 5⇒7 (説明資料p38)
うち主なもの、優先株式配当 2
(説明)
優先株式は、IFRSでは負債として扱う(IAS第32号第11項)。これに伴い、優先株式の配当も金融費用として認識する。
【関連記事】
・IFRSフォーラム 2011/2/25
日本板硝子がIFRS適用に向けた説明資料を公表
http://www.atmarkit.co.jp/news/201102/25/nsg.html
・CFOのための最新情報 2011/3/3
日本板硝子 IFRS適用により利益剰余金がマイナスに
http://news.livedoor.com/article/detail/5386749/
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