2011年02月10日

会計の基礎E IFRSについての基本(IFRSとは)

新聞、雑誌、インターネット等で、「IFRS」(あいふぁーす、あいえふあーるえす、いふぁーす*読み方はまちまちで統一されていないが「あいふぁーす」がポピュラーだと思われる)という言葉が増えてきていますが、これは、各国の会計ルールを「IFRS」に統一しようという動きの中で、日本においても、「IFRS」のルールが適用される流れになってきていることに起因するものです。
IFRSとはInternational Financial Reporting Standardsの略で日本語訳では「国際財務報告基準」です。国際会計基準審議会(IASB)によって設定される会計基準です。
経済・資本市場のグローバル化の流れの中で、資本市場の資金提供者(投資家)にとって各国で会計基準が異なると、資金調達に支障をきたしたりコストがかさんだりする可能性があります。例えば日本企業がEU在住の投資家から資金調達をした方が有利かつ大規模に資金が集められるのに、EUの投資家にとって投資判断の基礎となる財務諸表が日本基準だから分かりずらいという理由で資金調達が出来なくなったりEUの投資家が分かる財務諸表を用意するためにメリット以上のコストが掛かってしまうとなると残念ですので、こういう残念を解消しましょうということです。
このような理由から、世界的に会計基準を各国で統一しましょうという動き(会計基準のコンバージェンス化と言われます)があり、各国の政治的意図等も反映しながら、IFRSが採用されるトレンドとなっています。

会計基準のコンバージェンスの流れの中、日本では、制度を制定する官庁である金融庁の企業会計審議会において議論が進んでおり、「2010年3月期(年度)から、国際的な財務・事業活動を行っている上場企業の連結財務諸表に、任意適用を認めることが適当」で、「強制適用の判断時期は、2012年を目途(2012年に判断の場合、2015年又は2016年に適用開始)。」とされています。
一般的には、日本でのIFRSの2015年又は2016年での適用は「既定路線」という見方で捉えられているようには見受けられます。
金融庁(平成21年6月16日):「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」の公表について:
http://www.fsa.go.jp/news/20/20090616-1.html

IFRSは2010年度3月期からの任意適用ですが、2010年度3月期に正式にIFRSを適用した会社は日本電波工業1社にとどまりました。
日本電波工業のホームページでの2010年3月期決算短信:http://www.ndk.com/pdf/1003-year_ja.pdf
日本電波工業の2010年3月期の有価証券報告書はEDINETでの閲覧になります(閲覧の「有価証券報告書等」⇒EDINETコード「E01807」又は提出者名称「日本電波工業株式会社」で検索⇒提出書類の「有価証券報告書 ‐ 第69期(平成21年4月1日 ‐ 平成22年3月31日」):(EDINETのURL)http://info.edinet-fsa.go.jp/
*EDINETは有報のページにリンクしてもEDINETトップページへ飛ばされますので、上記の通り進みます。

2011年3月期以降から徐々にIFRSの適用企業が広がっていくことが想定されますが、様子見の企業が多いようです。
HOYAは2011年3月期の有価証券報告書を国際会計基準(IFRS)で開示する方針が伝えられており、同社のホームページにおいて、先だった2010年3月期のIFRS財務諸表が開示されています。
HOYAのIFRS開示のホームページ: http://www.hoya.co.jp/japanese/investor/d0h4dj0000002a8b.html
HOYAの2010年3期IFRSに基づく連結財務諸表直接リンク: http://www.hoya.co.jp/japanese/investor/IFRS2010j.pdf
HOYA(平成23年1月31日)指定国際会計基準による連結財務諸表の作成に関するお知らせ: https://www.release.tdnet.info/inbs/140120110131022532.pdf

続きは下の「続きを読む」をクリックしてお進み下さい。



会計基準というものは各国の定めたルールにより運用されています。
少々ややこしいのですが、日本の場合、会社法、金融商品取引法、税法の中で会計ルールが定められています。
会社法は、企業の組織や企業行動のルールを定めた法律で、その中で、会社の計算(決算)について定められています。これは全ての会社が従うものです。
金融商品取引法は、主に上場会社が有価証券報告書の提出に際して従わないといけない会計上のルールが定められています。
もちろん会社法と金融商品取引法で会計処理が変わるということはないので様式は異なりますが内容的には同一となります。ただし、実際は、一定規模(資本金5億円以上又は負債200億円以上)以下で公認会計士による監査義務のない中小企業等は税法基準に近い会計処理で決算処理が行われている会社も多く存在します。
IFRSにより恩恵を受ける企業というのは、上記の通り、主として、一部の国際的な資本市場での資金調達を行う企業であり、上場企業全体で見ても一部であることもあり、連結財務諸表のみIFRSを導入すべきだとか、導入するのは一括ではなく一定規模以上の大企業から順次の方がいいのではないかといった点については議論がされている状況です。
税法(会社の場合は主に法人税法)は、会計上の利益から税法のルールに基づき税額の算定の基礎となる課税標準を計算するルールでした。IFRS適用時代に税法との関係をどう整理していくかは今後の課題です。⇒「会計の基礎C P/Lの見方、読み方」を参照:http://money-learn.seesaa.net/article/183402072.html

従来、日本の会計基準を実質的に決めているものは、「企業会計原則」というものがあり、日本の会計基準は旧大蔵省の企業会計審議会により制定されてきました。
しかし、国際的調和の観点から、諸外国と同様に民間による会計基準の設定を望む声が強くなり、2001年に設立された財団法人財務会計基準機構内の企業会計基準委員会に順次移行することとなっています。
財務会計基準機構:
https://www.asb.or.jp/asb/top.do

基本的な会計基準の策定組織は下記の通りとなっています。
*IASB:International Accounting Standards Boardの略で訳すると国際会計基準審議会。IFRS(International Financial Reporting Standards:国際財務報告基準)を策定する組織。
*FASB::Financial Accounting Standards Boardの略で訳すると米国財務会計基準審議会。米国の会計基準を策定する組織。
*日本では、財団法人財務会計基準機構内の「企業会計基準委員会」という組織が日本の会計基準を策定している。

参考リンク:
日本公認会計士協会「IASB・IFRSの基礎知識」:
http://www.hp.jicpa.or.jp/ippan/ifrs/basic/index.html

監査法人のサイトでの解説、情報提供へのリンク:
あずさ監査法人「IFRSとは」
http://www.azsa.or.jp/b_info/keyword/ias.html

トーマツ「IFRS/国際財務報告基準(国際会計基準)」
http://www.tohmatsu.com/view/ja_JP/jp/knowledge/ifrs/

新日本「国際財務報告基準(IFRS、国際会計基準)」
http://www.shinnihon.or.jp/services/ifrs/index.html




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