簡単に言うと、M&Aにおける、買収する会社が買収対象会社(被買収会社)へのM&Aの対価と買収対象会社の資産と負債の純額との差額がのれんです。
下の図のようなイメージです。
買収価格は、通常、純資産は一つの価値指標ですが純資産のみをベースとして決定されるものではなく、会社の将来の収益力を見積もった現在価値をベースとしたDCF法等の方法や、上場している類似会社との指標をベースとした類似会社比較法等の方法による評価を検討して決定されます。
そのため、取得価格と純資産が一致することは偶然の一致を除いて通常の場合にはあり得ず、必ずのれん又は不ののれんは発生します。
会計的には、一般的には、のれんは対象会社の超過収益力の源泉などと説明されます。
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のれんは、20年以内のその効果が及ぶ期間において規則的に償却します。のれん償却費は販管費となります。
効果の及ぶ期間の考え方は個々の会社がのれんの償却期間として決める必要があります。
買収後の業績が想定より悪化した場合には、その時の将来キャッシュフローの見積もりを行い、固定資産の減損会計の枠組みの中で減損損失が計上されます。
2000年代の前半では楽天がM&Aで発生したのれん(当時は連結調整勘定と呼ばれていましたが)を発生した年度に全額費用処理していましたが、のれんの発生年度に全額費用処理は認められなくなっています。効果の発現が不確実だといった理由とされていましたが、買収後の販管費負担をなくし営業利益を向上する意図も指摘されていました。
一方、負ののれんは2010年4月以降は特別利益で一括計上することとなっています。
IFRSが適用された場合に大きな影響が出る項目として伝えられています。
IFRSではのれんの定期的な償却を行わず、毎期、のれんの超過収益力が損なわれていないかの減損テストという会計上の手続の対象となります。
のれんの買収時に発生した残高は一定で残り続け、買収成果が出なくなったら価値の測定をし直し、毀損した分の価値についてP/Lの損失になるというイメージです。
一度、減損損失されたのれんについては戻入れはされません。
のれんの償却自体はキャッシュフローに影響を与えるものではなく、また、バリュエーション(企業価値の測定)がEBITDAを基として行われる場合には理論的には影響はありません。
ただ、営業利益の見た目の数字が変わるため、一定の影響はあるものと思われます。
EBITDA:Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略。税前利益に支払利息、固定資産の減価償却費を加えて求める。又は簡易的に営業利益に減価償却費を加えて求める方法もある。金利・税率・会計基準の違いを最小限にした利益であるためグローバル企業間の比較や、キャッシュフローベースにした収益力の指標として用いられる。
【元の記事】
会計の基礎D-1 B/Sの見方、読み方(資産の部)
・(リンク先)http://money-learn.seesaa.net/article/183706955.html
IFRS対応 戦略的M&A会計
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