複式簿記の仕組みは、経済行為を発生事実と発生原因の二面的に捉え、発生と原因が分かるような仕組みです。
二面的というのは、左側(借方)と右側(貸方)に性質ごとに取引を分けることをいいます(仕訳)。
左側(借方)は、主に、資産の増加、負債の減少、費用の発生
右側(借方)は、主に、資産の減少、負債の増加、資本の増加、収益の発生
でした。
参考:会計の基礎@会計(簿記)の仕組み@(会計の個々の「取引」、複式簿記の仕組み、仕訳の基本等について)
(記事リンク)http://money-learn.seesaa.net/article/179642938.html
取引ごとに仕訳を行い、これらの仕訳を積み上げていき、仕訳を集計します。
この仕訳の集計したものが残高試算表となり、資産と負債・資本に分けたB/Sと収益と費用に分けたB/Sになります。
これが財務諸表(B/S・P/L)が出来るまでの基本的な流れです。
なお、財務諸表と決算書は同義です。
参考:会計の基礎A会計の仕組みA(仕訳の集計、試算表とB/S・P/Lについて)
(記事リンク)http://money-learn.seesaa.net/article/179717866.html
一般に目に触れる機会の多いのは完成されたB/S・P/L等(財務諸表)になります。
会計の仕組みから知っておくことが最終的には理解が深まるのかと思いますが、まずは、ゴールである財務諸表(B/S・P/L)のそれぞれの意味合いを大まかにを押さえておきたいところです。
そこで、ここでは財務諸表の簡単な見方を説明していきます。
(*ここでは財務諸表とは、いったんB/S・P/Lをイメージしておきましょう)
その前に財務諸表(又は決算書)についての基本的な情報です。
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上場会社であれば、会社のホームページにIR情報があり、「決算短信」や「有価証券報告書」「四半期報告書」という資料が開示しており、その中で財務諸表があります。思いついた会社のホームページに行って見てみるか、上場会社にお勤めの方は自社の財務諸表を見てみましょう。
決算短信は一般に、「短信」(たんしん)、有価証券報告書は「有報」(ゆうほう)と呼ばれます。四半期報告書は決まった略称はないように思われますが、単に「四半期」(しはんき)とか「四報」(よんぽう)とか言われるかと思います。
現在は四半期決算となっており、決算期を1年に定め(日本では3月決算の会社が多いが決算期は会社の任意で決まる)、3ヶ月毎に決算期を区切って、第1四半期、第2四半期、第3四半期、年度決算(第4四半期)とそれぞれ開示されます。第1四半期、第2四半期、第3四半期は四半期決算、第4四半期は本決算(年度決算)と呼ばれます。3月決算であれば、6月期、9月期、12月期が四半期決算、3月期が年度決算となります。
「決算短信」とは、東京証券取引所等の取引所の上場規則で開示が義務付けられているものです。決算短信は通常の上場会社はホームページのIR資料の中で確認できます。
決算短信の公表は、ホームページの他に、東証の運営する「適時開示情報閲覧サービス」(Company Announcement Disclosure Service)で日々の開示資料として公表されています。
「適時開示情報閲覧サービス」(Company Announcement Disclosure Service)のホームページ:
https://www.release.tdnet.info/inbs/I_main_00.html
「有価証券報告書」「四半期報告書」とは、金融商品取引法により開示が義務付けられているものです。決算短信と異なり、上場会社のIR資料で開示している会社と開示していない会社があります(開示している会社の方が多いのではないかとは思いますが、会社の開示姿勢によります)。有価証券報告書は、金融庁が運営する「EDINET」で確認できます。EDINETとは、Electronic Disclosure for Investors' NETworkの略で、金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システムのことです。
第1四半期、第2四半期、第3四半期は四半期報告書が作成され、年度決算は有価証券報告書が作成されます。
EDINETのホームページ:
http://info.edinet-fsa.go.jp/
「決算短信」と「有価証券報告書」は、決算短信は速報性が重視されていますので、決算日後概ね45日以内に開示する会社が多い(東証が上場企業に45日以内には出しなさいとか30日以内を奨励しますとか指導します)、有価証券報告書は決算日後3ヶ月以内に提出することが金融商品取引法により定められていますので、決算日後3ヶ月以内(3月決算の場合は6月末日まで)にEDINETへの提出が義務付けられています。
「決算短信」と「有価証券報告書」の内容上の違いは、有価証券報告書の方が提出に時間がある分、情報量が多いです。特に、非財務情報は有価証券報告書の方が多く、また、会計情報としては、B/S・P/Lといった基本的な財務諸表は同じですが、注記情報と呼ばれる財務諸表の補足情報は、やはり有価証券報告書の方が充実はしていますが、会計情報に関して、近年は「決算短信」と「有価証券報告書」とでそこまで大きくは変わらないというイメージでも問題はないのかと思われます。
「決算短信」と「有価証券報告書」は上場規則や金融商品取引法に定められている会社の義務ですが、その他、「決算説明資料」等の名称で、会社が別途分かりやすい説明資料をIR資料の中で開示している会社も多くあります。
様式が決まった堅苦しいものではないため、視覚的に分かりやすい、法定開示書類よりも会社の実態に応じた詳細な情報が記載されていることが多いことがあります。ただ、あくまで企業側のIR姿勢に基づく任意の資料ですので、企業間比較という観点からは必ずしも統一性はありません。一部の企業では自社に都合の良い情報を全面に出し都合の悪い情報が出てこないという批判がされることもあります。
決算書自体についての前の決算書自体の説明の前置きが長くなりましたが、P/L・B/Sの見方・読み方へと続きます。
次回会計の基礎C「P/Lの見方、読み方」
会計の基礎D「B/Sの見方、読み方」
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