2011年01月11日

バイロン・ウィーン氏の2011年10大びっくり予想

2011年1月3日付で米PEのブラクストンのバイロン・ウィーン氏(Mr.Byron R. Wien)より、2011年10大びっくり予想が発表されました。毎年年初の恒例となった” 10大びっくり予想”です。
同氏は、長年モルガン・スタンレーのストラテジストを勤め、2005年にヘッジファンドのピークス・キャピタル・マネジメントへ移籍、2011年現在ブラクストン・アドバイザリー・パートナーズ副会長となっておられます。
びっくり予想は、同氏がモルガン・スタンレーに在籍していたときから毎年続けられていて、1986年から続き、今回26回目となります。
2010年の予想は結果的に外れが多かったようですが、過去において的中率が高いことから、ウォール街における年明けの風物詩となっているものです。

10大びっくり予想とは、一般に実現するのが1/3未満とされているが実際は50%以上の確率で起こりそうなウィーン氏の予想で、一般に起こる確率は高くないとされているのにウィーン氏は起こりそうだと思うから「Surprises(びっくり)」とされているものです。(原文より:Byron defines a “Surprise” as an event which the average investor would only assign a one out of three chance of taking place but which Byron believes is “probable”, having a better than 50% likelihood of happening.)
原文はこちら:
01/03/2011 Byron Wien Announces The Ten Surprises for 2011
http://www.blackstone.com/cps/rde/xchg/bxcom/hs/news_pressrelease_6596.htm

年初に年末の予想というものは、その年のその後のイベントや事件が織り込めないため現状のシナリオから想定外の事象が発生した場合に意味がないとも言えますが、識者の現状の見通しを知っておくことと予想の当たり外れのお楽しみという効用があるでしょう。

また、日経ヴェリタス(2011.1.9)にてバイロン・ウィーン氏へのインタビューが掲載されています。
10大びっくり予想の内容と重複するところももちろんありますが、下記が主な概要です。(詳細については日経ヴェリタス紙面をご購読下さい。)
・今年の10大予想は楽観的な項目が並んでいる。きっといい1年になるはず。
・雇用、住宅市場は回復し、新興国の高成長で輸出増、キャッシュに余力のある企業の投資もあり米景気が回復する。これらによる米景気回復が株高(S&P500種株価指数)高を見込む最大の要因。
・米GDP成長率は3〜4%の市場平均より上振れ5%近くになる公算は十分ある。
・日本は相対的に見劣りする。
・今年は円、ユーロに対しドルは上昇しそうだが、ドルは政府債務の拡大等の問題があり長期的なドル高は見込めない。
・中国はインフレと国内景気の過熱を抑えるための人民元の切り上げは想定した方がいい。
・米長期金利が5%程度は決して高くなく、米経済への影響は限定的。
・商品価格の高騰は実需の裏付けのある構造的なもの。
・欧州の金融危機はEUやIMFの支援により後退する。
・最大のリスクはユーフォリア(陶酔)が市場を支配すること。投資家が高成長がずっと続くと思い込んだ時が天井。ただリスクの顕在化は2012年以降になるのでは。


タイトルはTen Surprises for 2011となっていますが、2011年は20の項目がリリースされています。
11項目以降は、”ALSO RANS(番外編)”となっています。
2011年10大びっくり予想の番外編を含めた20の項目は次の通りです。(下の「続きを読む」をクリックしてお進み下さい。)



1.ブッシュ減税と失業保険給付の延長で、米労働者のムードが改善。貿易、設備投資に加え小売売上高が改善し、11年の米実質成長率は5%近くに達する。米失業率は9%未満に低下する。

2.米財政赤字や政府債務の拡大が、ついに債券市場に悪影響を与える。海外投資家が購入に慎重になり、米10年物国債の利回りは5%に近づく。

3.景気拡大を背景に米S&P500種株価指数は過去の高値圏である1500に接近する。
幅広い銘柄が買われるが、通信・公益株は出遅れる。企業収益の改善で株価が割安になり、個人投資家が金融危機後で初めて株式に回帰。M&A(合併・買収)が活発化し、相場はユーフォリア(強烈な幸福感)に到達する。金利上昇を契機に、株価は年後半に調整する。

4.インフレは落ち着いたままだが、世界の投資家が実物資産を求める流れに乗り、金の価格は1トロイオンス1600ドル超に上昇する。多くのドル建て外貨準備を持つ国々の国富ファンド(SWF:Sovereign wealth funds)も主な買い手になる。

5.インフレと景気過熱を懸念し、中国が通貨を政策手段として使うことを決心する。成長率を10%未満、消費者物価上昇率を4〜5%に抑えるため、中国当局は人民元の価格を積極的に動かす。この動きは、世界が人民元を含む通貨バスケットを米ドルに代わる準備通貨として受け入れる前兆とみなされる。

6.新興国の生活水準の向上が農産品需要を深刻なほどに押し上げる。トウモロコシの価格は1ブッシェル8ドル、小麦は同10ドル、大豆は同16ドルに上昇する。

7.(米国の)住宅市場が改善する。在庫水準は高いが、供給過剰はかなり改善する。S&Pケース・シラー住宅価格指数は上昇に向かい、住宅着工件数は年換算60万戸を超える。

8.新興国需要の高まりと供給不足により、原油価格は1バレル115ドルに上昇する。それでも自動車の運転を減らそうという流れにはならない。ハイブリッド自動車の販売が増えるか、議会が資源保護の取り組みを始める。

9.アフガニスタンでのタリバン対策の遅れと、カルザイ政権の腐敗にいらだち、オバマ米大統領は米軍を撤退する。アフガンは再び軍事勢力が支配する。イラクからの撤収とあわせ、中東ではテロの恐れが高まる中、主要西側諸国の存在感がなくなる。

10.メルケル独首相の強硬姿勢のもと、欧州の金融改革が進む。財政基盤が弱い国々は、14年までに財政赤字の半減を約束したうえで、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)の追加的な金融支援を受ける。欧州金融危機への懸念は薄れる。欧州の政策は金融市場で好感されるが、一時しのぎで解決につながらないため、長期的には有害となる。

以下、”ALSO RANS(番外編)”
11.アフガニスタンとイラクの問題が沈静化する一方、パキスタンと北朝鮮の情勢が急激に悪化する。パキスタンが引き続きテロリストの温床となるほか、北朝鮮は韓国に対しさらに敵対的な攻撃を仕掛ける。中国はこの問題にあまり深く関与せず、国際社会はお手上げの状況になる。

12.イランへの国際的な制裁が機能し始めるアハマディネジャド大統領は、金融支援や海外からの投資の見返りに、核兵器開発縮小へ向けた交渉の席に着く

13.米金利上昇と米景気拡大で、米ドルはユーロや円に対して上昇する。欧州金融危機が和らぎ、日本は景気後退を回避するが、それでも米国市場は世界の投資家の投資先になる

14.(08年の大統領選に出馬した共和党の)サラ・ペイリン氏が、保守派の草の根運動である茶会党(ティーパーティー)の支持を受け、(12年の)大統領選出馬を表明する。ペリー・テキサス州知事が同党内の対抗馬に。民主党では、左派がオバマ大統領に裏切られたと感じており対抗馬を立てるだろう。しかし、米景気回復によりオバマ氏が再選され2期目に入る可能性が高い。

15.新興国の中でも経済が出遅れていることを受けてロシアが「投資家寄り」の姿勢に転じる。ロシア政府はさらなる核兵器削減に同意し、同国に投資を考える企業に対し、法の支配を約束する。ロシア株は急騰する

16.マリフアナ使用に関する法律が、(米国の)より多くの州で自由化される

17.米国の年インフラの立ち遅れが深刻化する。ニューヨーク地下鉄が信号機の故障で数日にわたって止まる。ロサンゼルスの高速道路渋滞がひどくなり、乗り合いが奨励される。各州や自治体政府の不満は高まるが、資金不足で対応できない

18.米主要州が、資金不足から州債の利払い不能に陥る。地方債市場が大混乱する

19.米同時テロから10周年で再発懸念が高まるが、諜報(ちょうほう)や監視活動の成功で、今年の9月11日は平和に終わる

20.環境活動家の叫びにもかかわらず、気候変動問題は米国にとって重要さの程度が低下する。冬は寒く、夏の暑さはひどくない。家庭用エネルギーや公共交通で天然ガスの使用が増え、天然ガス価格は上昇する。環境問題への取り組みは欧州とアジアでは進む。
(1~20の日本語の文言は、ブログ 証券マンのつぶやき より引用させて頂きました。)




【過去の予想】
2010年
1.米実質成長率は大方の予想5%を超え、失業率は9%未満に
2.FRBはゼロ金利政策を解除し、政策金利は年末までに2%へ
3.米国債の発行過多と海外中銀の買い意欲の後退により、長期金利は5.5%を上回る
4.米株式市場は乱高下、S&P500は1300まで上昇後、1000まで下落、2009年末水準に
5.ドル上昇。ドル/円は1ドル100円を超え、ドル/ユーロは1ユーロ1.3ドルを下回る
6.円安を追い風に日本株は先進国で最大の上昇。日経平均株価は12000円超えに
7.米大統領は環境保護でのリーダーシップを狙い、原子力発電を後押しする法案を承認
8.米景気回復を受けてオバマ政権の人気復活。11月議会選挙で民主党の議席減は予想より小さい20議席減
9.金融規制法は金融業界よりの内容に。金融銘柄急騰
10.イランのアハマディネジャド大統領が失脚

2009年
1.S&P500は1200ポイントに上昇
2.金価格は1トロイオンス1200ドルに上昇
3.原油は1バレル80ドルに上昇
4.ドルは対円で1ドル75円まで、対ユーロで1.65ドルまで下落
5.米国の10年国債利回りは4%に上昇
6.中国の成長率は7%を越え、株式市場は復活
7.税収不足からニューヨーク州が破綻の危機に陥る
8.住宅価格は2008年の年末レベルから15%低下した後に安定
9.米国の貯蓄率は3%を越すことはない
10.イラクからの撤兵が遅れ、アフガニスタンへの派兵が増す


【この記事の参照記事等】
・日経新聞 2011.1.4夕刊
・日経ヴェリタス 2011.1.9
・証券マンのつぶやき「バイロン・ウィーンの「びっくり10大予想」 今年は 20大予想」
http://ameblo.jp/nanzan55from2784/entry-10758370367.html
・ひろこの”ボラタイルな日々” 「バイロン・ウィーン氏の2011年びっくり10大予想」
http://hiroko.yutaka-shoji.co.jp/2011/01/201110.html
・本気で中国株「2011年 びっくり10大予想(バイロン・ウィーン)」
http://stock2020.seesaa.net/article/178875002.html


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