この中で、映画の序盤の教授の授業の中で「3つのドアから当たりを選ぶ」ゲームがあり、どういうことかピンとこなかった方は多いのではないでしょうか。
大まかな概要は次の通りです。
映画の冒頭の方で、ラスベガスチームのリーダーになる教授が、講義中に、主人公の類まれな数学のセンスに気づき一目置くシーンがあります。
教授は、授業を聞いている主人公を指しこう言います。
「ここに、A、B、C、3つの閉じられた車庫があり、どれか一つには、ピカピカの新車が入っている。残りの二つには、ロバが入っている。さて、君はどれを選ぶのかな?」
ここで主人公は「A」を選択します。
教授は
「君はAを選択した。私は答えを知っている。それでは私は君にヒントを与えよう。」
と言いながら「C」の車庫を開ける。中身はロバ(外れ)。
教授は続けます。
「さて、残りは「A」と「B」となった。ここで、もう一度選択のチャンスを与えよう。君は、「B」に変更するかね?」
ここで主人公は即座に「A」から「B」に変更します。
教授は言います。
「変えてしまっていいのかね?私は答えを知っているから、ロバになるように誘導しているかもしれないよ。」
ここで主人公はこう答えます。
「確率変数です。最初の選択した「A」が当たりの確率は33.3%。先生が残り2つのうち、一つを開けたことで、「B」の確率は66.6%。すべては変わった。33.3%の上澄みに感謝」
そして教授は「B」を開け、見事新車が出ました(当たり)、という話です。
(内容はこちらのブログから参考に引用させて頂きました。)
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原作はこちら
教授が「C」を開けて再度選択する際に、残っている選択肢が「A」「B」なのだから、確率は「A」と「B」でそれぞれ50%なんじゃないのか、なぜ「B」が当たりの確率が上がるのかと思う方は多いのではないでしょうか。
映画を見ていると詳細な条件説明が省略されているため、「A」と「B」で50%というのは必ずしも間違っている考えではないのですが、教授のやり取りの中に確率を変えるヒントがあります。
(下の「続きを読む」をクリックしてお進み下さい。)
簡単に説明をするとこういうことです。
まず、3つのドアから「A」を指定します。
「A」が当たりの確率は1/3。外れの確率は2/3です。
ここで、「答えを知っている」教授が「わざと外れる」ように「B」か「C」を開けます。
「A」が当たりの場合、教授は「B」と「C」のどちらも選択出来ます。「A」が外れの場合、当たりは「B」か「C」のどちらかなので、教授は「B」と「C」のどちらか外れる方を選択します。
(「A」のドアが当たりで教授が「C」のドアを開ける確率は1/3×1/2で1/6。「A」のドアが外れで教授が「C」のドアを開ける確率は2/3×1/2で2/6。教授が「C」を開ける確率は1/2です。)
教授は「C」を開けました。
残った「B」が当たりの確率はどうでしょうか。
「A」が当たりの確率は1/3。教授は外れになると知っていて外れになるように「C」を開けています。「B」と「C」のうち教授が外れる方を選択してくれているのです。「A」が当たりのときに「B」が当たる確率は0%。「A」が外れの時に「B」が当たり確率は100%です。「A」が外れの確率の2/3が「B」が当たりの確率になります。
つまり、最初に選んだ「A」が外れる場合の確率が、教授が一つのドアを開けた時に残ったドアが当たりの確率になるのです。
まだピンとこない方も多いのではないでしょうか。
ここで、直観的に分かりやすい説明をしましょう。
このゲームを、n個のドアから最初に1つを選び、教授が当たりを1つ残して他の全てのドアを開ける、というルールだと考えます。
例えばドアが100個だとしましょう。まず1つドアを選びます。当たりの確率は1/100ですね。ここで、答えを知っている教授は当たりが出ないようにドアをもう1つ残して全て開けます。もう1度どちらのドアにするか選択出来ます。
この場合、多くの人は残ったドアを選択するのではないでしょうか。残ったドアが当たりの確率は99/100です。
教授が開けるドアを選択することによって外れを消してくれているのです。
それによって、確率は最初のドアの当たりの確率1/nと、教授が開けた後の選択での当たりの確率(n−1)/nになります。
ドアが100個だとすぐにピンときますが、3個だと直感的に分かりずらくなります。
また、この確率の変更はいくつかの前提があって成り立ちます。
すなわち、
・教授は残りのドアのうち1つを必ず開けること(n個のドアのうち1つを残して全て開ける)
・教授の開けるドアは、必ず外れのドアである。
・モンティはプレーヤーにドアを選びなおしてよいと必ず言う。
・ルールをプレーヤーが知っている
事が前提として必要です。
映画「ラスベガスをぶっつぶせ」の中では、この前提が詳しく説明されていませんから、後から悶々と考えた方は多いのではないでしょうか。
なお、この詳しい解説はWikipediaの「モンティ・ホール問題」に記述があります。
リンク:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%95%8F%E9%A1%8C
(Wikipediaの解説より)このゲームは、モンティ・ホール問題(Monty Hall problem)という確率論の問題で、ベイズの定理における事後確率、あるいは主観確率の例題のひとつとして知られています。
由来は、モンティ・ホール (Monty Hall、本名 Monte Halperin) が司会を務めるアメリカのゲームショー番組、「Let's make a deal」の中で行われたゲームに関する論争で、一種の心理トリックになっており、確率論から導かれる結果を説明されても、なお納得しない者が少なくないことから、ジレンマあるいはパラドックスとも称され、「直感で正しいと思える解答と、論理的に正しい解答が異なる問題」の適例とされています。
世の中には、直観的な確率と実際の確率が異なることはままありますので、知らないと確率的に損な選択をしたり、知っておくと確率的に有益なこともあります。このことは、資産運用や投資だけでなくビジネス上におけるビジネスジャッジの場面にも当てはまります。
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つまり単純な確率論ですから
『最初に選ぶ扉が正解の場合』よりも
『最初に選ぶ扉が不正解の場合』を考えてるわけですね
『残り2つの扉に正解が含まれる確率の方が高い』と
その上で教授が2つの内から不正解を教えてくれるので
最初に選んだ扉は1/3で正解、しかし2/3で不正解のはずが
最初に選んだ扉が1/3で正解、残りの扉が2/3で正解になると