2010年12月25日

お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 勝間和代/著

資産運用の初心者、今まで資産運用を全く行っていなかったがこれから学んでいきたいという方向けの本です。
出版は2007年秋ですので、2010年12月の現在では少々古いところはあるのですが、多くは一般論ですので、そんなに問題はありません。
資産運用や投資の方法に関して絶対的に正しいという考え方や正解はありません。
ですから、内容について悪意をもっていちゃもんを付けろと言われれば、突っ込みを入れて批判することも出来ますが、初心者が誤解なく資産運用や投資の知識を学ぶのには、一般的に正しいと思われる考え方を示しながら非常に整理されていると思います。公認会計士の資格を持ちJPモルガンに勤務し、早稲田のファイナンス研究科も出ているので質は十分に担保されていると言えます。新書でもありますし説明も平易で、普段から経済ニュースなんかを多少は気を配って見ているビジネスマンの方でしたら、大方理解出来るでしょう。


ジャンル:資産運用全般初心者向け
出版日:2007年11月20日
全229頁、ソフトカバー

著者の勝間和代さんは、ご存知の方が多いと思いますが、公認会計士と早稲田大学ファイナンスMBAをお持ちの経済評論家です。19歳で公認会計士二次試験合格、アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立というご経歴です。

世間では勝間和代さんに関して好き嫌いが比較的あるように思います。極めて合理的な考え方を億面もなく本に書くところ、優秀なことは分かりますがそのことを遠慮なく主張するように感じられるところ、マーケティングを重視しすぎて一般人にはあざとく見えることもある、そして売れていることのやっかみなどがあるのでしょうか。
本書もキャッチーなタイトルですし。確か「預金はリスク」というようなタイトルで当初著者は考えていたそうですが、編集者が「お金は銀行に預けるな」というタイトルを付けたとどこかで読んだように気億があります。

Amazonで著者全般がネガティブキャンペーンを受けているためAmazonでの評価は良くないものが目立ちます。
私は勝間さんが好きでも嫌いでもなく、味方でも敵でもありませんが、主観的には、本書は良書だと思います。

私は知り合いに「今まで資産運用を全く行っていなかったがこれから真面目に学んでいきたいが何を読んだら良いか」と聞かれたら、本人の志向にもよりますが、基本的には仕事が第一優先でありながら資産運用に取り組んでいくような方を前提にした場合、まずは3冊位の良書を読んでみたら良いと勧めます。
3冊という理由は、繰り返しですが資産運用や投資の方法に関して絶対的に正しいという考え方や正解はありませんので、複数の本を読んで最終的に自分の価値観と照らし合わせて自分にとってのベストな選択は何かの判断を出来るようになる方が良いと思うからです。

本書の目次、サブタイトルは下の『続きを読む』以下でまとめています。
合わせて本書内で出てくるキーワードと著者のメインの説明をまとめました。このあたりを見て問題なく理解しているようでしたら本書の内容に関しては大丈夫な方だと思います。

ちなみに3冊お勧めする場合のあと2冊は、思いつきでは、北村慶さんの「大人の投資入門」と中原圭介さんの著書でしょうか。中原圭介さんの著書は最新のもので良いと思います。



騙されないための世界経済入門
中原圭介
フォレスト出版
売り上げランキング: 279


また、勝間さんに関しては、A4ムック版の「あなたも「お金」に愛される」という本を2009年11月に出されていますので、「お金は銀行に預けるな」が気に入った方は合わせて読まれて損はないと思います。



本書の目次と主な内容は以下の通りです。(下記「続きを読む」をクリックしてお進み下さい)

【本ブログでの関連記事】
2010/12/31 ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理 バートン・マルキール/著
http://money-learn.seesaa.net/article/177621542.html

2011/1/5 投資信託にだまされるな!(2010年最新投信対応版) 本当に正しい投信の使い方 竹川美奈子/著
http://money-learn.seesaa.net/article/178506287.html



目次トピックキーワード
3はじめにイントロダクション
17第1章 金融リテラシーの必要性金融リテラシーとは金融リテラシー(*1)
日本の家計におけるリスク資産の割合ハイリスクハイリターン、ローリスクローリターン
日本人は本当にリスク回避的なのか?
金融リタラシーの能力とは金融リテラシー(*2)
金融リテラシーの基本原則リスク
ファンダメルズ分析
チャート分析
現在価値
57第2章 金融商品別の視点分散投資(アセット・アロケーション)を理解するアセット・アロケーション(*3)
見かけ上のリスクと本当のリスクプロスペクト理論
「ためらい」が儲けの源泉フリーランチ
流動性
投資信託
金融商品別の視点定期預金と国債
【定期預金と国債】・・円建の金利商品を比較する金利の期間構造
イールドカーブ
【株式】・・プロが得して個人が損する株式
効率的市場仮説
ランダムウォーク
【為替】・・お金を外国に預ければ儲かるのか為替
金利
為替予約
グローバル・ソブリン債
(グロスブ債)
スプレッド
外国為替証拠金取引
(FX)
【不動産@住宅】・・個人で持つ最も大きな金融商品住宅ローン
金融資産としての住宅
【不動産AREIT】・・主力の金融商品になる可能性REIT(不動産投資信託)
レバレッジ
【投資信託】・・万人にオススメの金融商品投資信託
分散投資を上手にする金融商品
社会的責任投資(SRI)ファンド
インデックス投信
リターン・リバーサル
401k
【生命保険】・・自宅に次ぐ大きな金融商品生命保険
【コモディティ(商品)】・・21世紀の注目商品コモディティ(商品)
商品ファンド
【デリバティブ】・・先物・オプションの基礎知識デリバティブ
先物
オプション
ヘッジ取引
149第3章 実践円高と円安、どっちがどっちカオス理論
「じゃんけん理論」と「チャート分析」じゃんけん理論
チャート分析
金融でしっかり儲ける方法の基本5原則(*4)
金融リテラシーを身につけるための10のステップ(*5)
(ステップF)シャープレシオ
投資原資の生み出し方
197第4章 金融を通じた社会責任の遂行資本主義の二つのほころび
「小さな政府」路線の結果
金融リテラシーがないと、自分の身を守れなくなってきた
社会責任投資の発展
金融の生涯教育に向けて
223おわりに



*1
金融リテラシーとは何か、金融リテラシーの重要性、金融リテラシーがあることはワークライフバランスの改善の一つの方法であると説く。様々なデータを用いて、日本人にはなぜ金融リテラシーが低いこと、その結果、リスク資産の保有割合が低いことを説明している。
日本人の金融リテラシーが低い理由は、
・学校教育および家庭内教育で金融リタラシーが軽視されてきた
・社会人になると長時間労働で忙しく、金融リテラシーを磨く暇がない。社会人になって金融を勉強し、それを実際に運用するところまでに達するには忙しすぎる
ことにあると著者は考えている。

*2
金融リテラシーとは、具体的には、
・金融の役割について直観的に理解できる力
・金融の基本的な理論、特にリスクとリターンの関係を理解する力
・個別の金融商品について、情報を正しく入手する力
・入手した情報の中から、コストを見抜く力
・入手した情報の中から、リスクを見抜く力
・入手した情報の中から、期待リターンを計量する力
・上記を組み合わせて、自分に合った資産ポートフォリオを作る力
という。

*3
自分の資産を現金・預金として持つことは、リスク資産で運用するのと比べて大きな機会損失を生んでいる。そして、リスクとリターンがどのようなものかをより深く理解すると同時に、一つ一つの商品すべてにリスクとリターンがあるということも知らなければなりません。なおかつ、「タダ飯はない」ことを頭に入れ、リターンが高い商品は、それに伴う何らかのリスクを包含していることも知る必要がある。
著者は分散投資の対象として、今後、外貨資産を積極的に含ませるべきだと考えている。なぜなら、海外の大多数の国は経済の成長率が日本よりも高く、投資先としてより魅力的であり、また、金利も高いためである。

*4
第1原則 分散投資、分散投資、分散投資
第2原則 年間リターンの目安として、10%はものすごく高い、5%で上出来
第3原則 タダ飯はない
第4原則 投資にはコストと時間が必要
第5原則 管理できるのはリスクのも、リターンは管理できない

*5
ステップ@ リスク資産への投資の意思を固める
ステップA リスク資産に投資をする予算とゴールを決める
ステップB 証券会社に口座を開く
ステップC インデックス型の投資信託の積み立て投資を始める
ステップD 数ヶ月から半年、「ながら勉強」で基礎を固める
ステップE ボーナスが入ったら、アクティブ型の投資信託にチャレンジ
ステップF リスクマネジメントを学ぶ
ステップG リターンが安定したら、投資信託以外の商品にチャレンジ
ステップH 応用的な勉強に少しずつチャレンジ
ステップI 金融資産構成のリバランスの習慣をつける
(ステップCに関連して)著者がお勧めするのは、次のインデックス・ファンドに4分の1ずつ投資すること。
@TOPIXまたは日経平均など、日本株式のインデックス・ファンド
A日本債券のインデックス・ファンド
B海外株式へのインデックス・ファンド
C海外債券へのインデックス・ファンド
(いわゆる資産四分法)
*私は、この資産四分法については上記の資産クラスに均等に投資することの根拠が乏しく、資産配分の仕方については他の書籍等も参照した方が良いかと思っています。